モンゴル政府は新型コロナウイルス感染症拡大後の観光業の復興のため、年間100万人の旅行者受け入れを目指しており、2023年から2025年を「モンゴル訪問の年(Welcome to Mongolia)」として、観光業振興のためさまざまな施策を行っている。
自然環境・観光省は同施策の一環として、フェイスブック上にモンゴル観光を宣伝する動画を多数投稿している。中でもモンゴルの自然を紹介する動画は10月10日時点で115万回以上再生された。また、世界的に有名なインフルエンサーをモンゴルに招待して動画コンテンツを作成するなど、SNSでの広報に力を入れている(注1)。
また、政府は「モンゴル訪問の年」に関連して、文化観光を発展させるとしている。文化省は「文化復興2023」キャンペーン(注2)を全国で展開しており、モンゴル第3の都市ダルハン市では同キャンペーンの一環として、30本以上の長編映画が撮影されていることに関連し、「映画に優しいダルハン市」をスローガンに掲げている。9月23日に同市を訪問したチンバト・ノミン文化相は「2023年に日本のテレビドラマ「VIVANT」の一部がダルハン市で2カ月間撮影された。このドラマはモンゴル国内での撮影中、計6,000億トゥグルク(約240億円、1トゥグルク=約0.04円)の経済効果を生み出した。これはモンゴルのコンテンツ産業発展の可能性を示している」「文化省は地方自治体と協力し、ダルハンでの映画撮影環境を整備し、国内外の観光客の注目を集める文化的空間の創造に取り組む」と述べた(注3)。
2023年夏は多くの外国人観光客がモンゴルを訪れた。国家統計局によると、2023年1~8月のモンゴルへの入国者数のうち、最も多かった上位5カ国はロシア、韓国、中国、カザフスタン、日本だった(添付資料表参照)。中でも韓国は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年通年を上回っており、韓国への定期航空便はピーク時には週60便程度就航していた(注4)。モンゴル政府はさらなる旅行者数の増加を目指し、衛生設備の改善や、冬のモンゴル観光にも力を入れていく必要があるとしている。
(注1)ソーシャルメディアで6,500万人以上のフォロワーを持つナス・デイリー氏がモンゴルで撮影した動画が自然環境・観光省のフェイスブックサイトに掲載された。
(注2)モンゴル政府・文化省はモンゴルの長期開発方針「ビジョン2050」の一環で、国民の共通の価値観を強化し、歴史、言語、文化、伝統、習慣を継承・保存・発展させ、国民の文化教育や文化へのアクセスを増やすことを目的として、「文化復興2023」全国キャンペーンを実施している。
(注3)モンゴルの映画芸術支援法には、文化省付属のモンゴル国立映画評議会(Mongolian national film council)の承認を受けた作品に対し、製作費の一部を還付する規定がある。「VIVANT」の撮影も、同規定の適用を受けた(「Mongol TV」、9月17日)。
(注4)新ウランバートル国際空港の夏スケジュールによると、韓国便はピーク時には1週間当たり約60本運航しており、中国やロシア、日本便よりも高い頻度になっていた。
(藤井一範)
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