定期的に競売セミナーを開催し、日々、競売の相談を受けているドクターKである。今回、競売で公開されていた一棟マンションの競売事例をご紹介する。
紹介する物件は、北関東の一棟マンションである。裁判所から公開された資料では、築年数は約40年の築古であり、3階建ての一棟マンションである。
一般的に、競売物件の一棟マンション、アパートは大家が賃貸管理を怠り、空室が目立つ物件が多い。
しかし、今回紹介する物件は築古にも関わらず、賃貸中であり、家賃収入が月々27万円もある。理由は、新幹線も停止する最寄り駅から徒歩圏内であり、立地条件が良いことが影響している。
本物件が公表された際、裁判所が評価した評価金額(基準価格)は、440万円であり、かなり低い。もし、基準価格で落札することができたら、利回り50%以上という、かなり優良な物件になるが、そのようなことはなく、入札件数が多く、落札金額も高騰する。
落札結果は記事の中で紹介する。この物件を参考頂き、このような競売物件もあることを理解頂けたらと思う。
1.物件概要
(1) 所在地
物件がある市町村は、北関東の約66万人が住んでいる大規模な都市である。特徴は、御三家の一つである徳川家の文化資産が多くあり、観光名所になっている。時代劇のドラマの場所としても有名である。食べ物では、納豆の生産が盛んである。
(2) 物件概要
物件は、土地が164平米であり、建物の床面積が415平米であり、築43年、3階建ての一棟マンションである。
用途は全室店舗用であり、賃貸中である。最寄りの駅は新幹線が停車する非常に大きい駅である。駅周辺には、駅ビル、デパート、飲食店などの娯楽施設があり、活気がある。物件は、その駅から約900メートル離れたところに位置し、非常に立地条件が良い。
(3) 間取り、室内
間取りは、以下の通り、店舗用になっている。合計5室あり、その内、4室が賃貸中である。残り1室は、共有者が占有していたと記載されている。この部屋も賃貸することができれば、賃料アップにつながるだろう。
以下、室内の写真である。店舗用として賃貸中である。写真を見る限り、アルコールなどの飲食ができる夜のお店だと思われる。
2.物件詳細
(1) 賃貸契約の内容
裁判所の公開資料には賃貸契約の内容が記載されている。そこに賃料も記載されており、合計は月々422,400円である。
しかし、関係者のコメント欄にはコロナの影響により、賃料が減額されているとのこと。減額後の賃料は、1階の片側の店舗が70,000円、1階の残りの店舗から3階までの店舗が合計200,000円と記載され、合計で月々270,000円である。
(2) 関係者のコメント
裁判所の公開資料には、債務者、賃借人の関係者のコメントが記載されている。以下、その一部の資料を添付する。
中身を確認すると、先ほど説明した賃料の見直しの記載がある。減額はコロナの影響により、減額とのこと。しかし、コロナが落ち着いたら、再度、賃借人と交渉し、元の賃料への見直しも相談可能かもしれない。
(4) 物件評価の金額
裁判所から依頼された不動産鑑定士による競売の基準価格は以下である。
4,400,000円
上記の金額は、裁判所から依頼された不動産鑑定士によって、査定される。この金額は、一般流通市場の価格よりも安く設定される。理由は、この金額が一般流通市場よりも高いと誰も入札せず、競売自体が成り立たないためである。
3.落札結果
(1) 落札結果
落札金額は以下である。入札件数は30件であった。
20,650,000円
(2) 利回り
利回りを計算する前提として、裁判所から公開された賃料が継続可能であるとする。また、3階の一部屋は空室中であり、そこも賃貸できれば、更に利回りはアップするだろう。
落札金額 20,650,000円
月額家賃収入 270,000円
諸費用 1,000,000円(登録免許税や不動産取得税などの概算金額)
表面利回り 14.9%
4.最後に
本物件に関して、北関東の一棟マンションであり、利回り14.9%で落札されている。落札者は、おそらく利回り15%狙いで落札したと思われる。
また、5室中、4室は賃貸中であり、落札後、直ぐに賃料収入がある。更に、コロナが落ち着ければ、再度、賃借人と元の賃料交渉の可能性があり、利回りが上げられる可能性もある。本物件に関して、築古というリスクはあるが、悪くはないように思える。このような物件もあることをご理解頂き、ご参考頂ければと思う。
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執筆:
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