皆さんはゴルフをしたことがありますか? マナーが厳しかったり、お金がかかったり、ゴルフは大人のスポーツ… という印象を持っている方も多いかもしれません。一方、最近のプロゴルフ界は、プロになって間もない若い選手が次から次へと優勝するような状況。ジュニアの頃からゴルフを始め技術を磨いてきた選手が、プロになってすぐさま活躍をしています。
今回、将来のゴルフ界を担うジュニアゴルファーの大会で、スポーツのスキル向上をサポートするアプリ「AIスマートコーチ」を体験してもらいました。
世界に羽ばたくことを夢見るジュニアゴルファーたちのハイレベルな戦い
この日訪れたのは、中・高生の男女ゴルファーを対象にしたゴルフ大会「進藤大典ジュニアトーナメント2023 supported by アイダ設計」が開催されるセブンハンドレッドゴルフクラブ(栃木県さくら市)。
プロゴルファー松山英樹選手の元専属キャディーとして有名な進藤大典さんが発起人を務めるこの大会は、ジュニアの大会としては珍しい、各ホールのスコアをポイントに換算する「ステーブルフォード方式(アルバトロス12pts/イーグル8pts/バーディー3pts/パー1pts/ボギー0pts/ダブルボギー以上-2pts)」を採用しているのが特徴。通常のストロークプレーとは違い、各ホールのスコアで変わるポイントの獲得数で勝敗が決まるため、攻める気持ちとゴルフの楽しさを学べるのだそうです。
3回目を迎える今年の大会には、将来世界に羽ばたくことを夢見る総勢121名のジュニアゴルファーが参加。ちなみに、この大会の高校生の部の優勝者には、副賞として、プロのトーナメント出場権が与えられるだけでなく、進藤さんがキャディーを務めてくれる特典がついています。
午前中こそ曇り空で肌寒さがあったものの午後には天気も回復。今年から始まった「スコア速報」の効果で、最終ホールでイーグルを取る選手や逆転劇が生まれるなど、イーグルやバーディーが飛び交うハイレベルな戦いが繰り広げられました。進藤さんは表彰式で「自分の状況が分かれば分かるほど、逆に緊張したりゴルフが難しくなることもあると思います。そこでうまく行っても行かなくても、皆さんの糧になる」と選手たちに語りかけました。
惜しくも2位となった選手たちには、ソフトバンクからの副賞として「『スマートコーチ』で進藤さんにオンラインで質問できる権利」を授与。受賞した選手たちは「進藤さんにコースマネジメントを教えてもらいたい」と来年の巻き返しへ意欲を見せていました。
ジュニアゴルファーが「AIスマートコーチ」を体験
ソフトバンクが提供する「AIスマートコーチ」は、「動画で学ぶ、比較する、振り返る」を通してスポーツのスキル向上をサポートするアプリ。スマホで撮影した動画と、お手本となる動画のフォームを並べて比較したりすることで、自分のどこが違っているのか、改善すべき点を視覚的に把握することができます。またAIによる骨格解析では、映像だけでは分かりにくい腕や脚など骨格の動きが確認できたり、マッチ度判定で理想のフォームとの差を確認することも。
プレーを終えた選手たちが、練習場に設置された「AIスマートコーチ」の体験コーナーにやってきました。アプリに入っている星野陸也プロや選手同士でスイング比較をする選手や、AI骨格解析を見ながら自分のスイングをチェックする選手など、「AIスマートコーチ」でどんなことができるのか興味津々の様子でした。
初めて「AIスマートコーチ」を体験してみた選手たちからはこんな声が。
「自分のスマホで動画を撮るだけで、こうやって簡単にプロのスイングと比較できるのはいい」
「自分の良い時のスイングと悪い時のスイングを比べられるので便利」
「骨格の動きを見ながらどこを修正したらいいのかなどが分かるので、今後使ってみたいと思います」
「もっといろんなプロゴルファーの動画を見られるとうれしい」
「ゴルフ上達の秘訣(ひけつ)はお手本との比較」ということはよく言われていますが、これからはAIやスマホを駆使することが上達の一歩になるのかもしれませんね。
マネして学ぶ! トレーニングアプリ「AIスマートコーチ」
「動画で学ぶ、比較する、振り返る」を通してスポーツのスキル向上をサポートするアプリ。お手本動画と自分の動きを比較できる分析機能など、基礎からスポーツを学ぶことができます。ゴルフのほかに、野球、サッカー、バスケ、ダンス、水泳など、子どもたちの部活動などでも活用できるサービスです。
進藤大典さんがジュニアゴルファー育成に注力する理由とは
本大会の発起人である進藤大典さんに話を聞いてみました。
今回で3回目の開催とのことですが、ジュニアゴルファー育成に力を入れている進藤さんの思いを教えてください。
進藤さん 「僕が松山英樹選手とアメリカや世界で6年半闘った中で、アメリカのチャリティやジュニア育成などの社会貢献活動がものすごく盛んだったんですね。僕自身これに大変刺激を受けまして、日本に帰ってきたときに松山選手との経験をどう生かせるかを考えたときに、次の世代に生かせることはジュニア育成だと考えました。
次の世代の子たちが、この大会を通じて何かを感じてくれて、さらに次の世代に紡いでいけるような、そして世界への懸け橋となるような大会にしたい、という思いで育成の活動をしています」
「ステーブルフォード方式」ってプロの大会などでしかあまり見かけないと思いますが、この方式をジュニアの大会で採用した目的を教えてください。
進藤さん 「世界で活躍するためには『挑戦』と『攻める姿勢』、『諦めない気持ち』が大事だと感じました。この方式はポイント制なので、ボギーを打ってもバーディーで取り返せる、最後まで諦めない気持ちが養われる、かつ前向きになれる、いろいろな意味合いが込められている形式です。実際に日本で初めてジュニアの大会で『ステーブルフォード方式』を取り入れてみたら、ジュニアや親御さんから毎年たくさんの好評の声をいただいています。
ジュニア育成に関わる中で、親が子どもに対してプレッシャーを与えていて、本来のゴルフの楽しさを感じられずに、スコアをごまかしてしまったり、ゴルフに対しての想いがマイナスになったりしているという声も聞こえてきました。しかし『ステーブルフォード方式』では、ダブルボギー以上は追加のマイナスにならないので、その観点からしてもジュニアの子たちから楽しかったと声が届いていて、どんどん広めていきたいと強く思っています」
今回の大会では「AIスマートコーチ」のブースが出展されています。進藤さんは実際にご覧になってみていかがでしたか?
進藤さん 「まさに今の時代の象徴ですよね。自分はついていくのが大変だなというのもありますけど、想像を超えているものがどんどん出てきて、まさに伸び盛りのジュニアの子たちにとっては、まさに“栄養”ですよね。ゴルフに限った話ではないですが、アスリートには自分では分からない悩み、感覚だけでは分からない悩みって絶対あると思うんですね。それがAIによって原因が分かるようになって悩みや不安が解消されれば、もっとスポーツが楽しくなるだろうし、こういった才能をもっと伸ばしてくれるような最新テクノロジーがどんどん普及すれば、世の中のレベルももっともっと上がっていくんだろうなということをものすごく感じますね」
2位の選手への副賞として、進藤さんへの「スマートコーチ」でのオンライン質問権が授与されましたね。受賞した選手からは「コースマネジメントを教えてもらいたい」との声もありました。
進藤さん 「ゴルフは頭を使うことが大事で、コースマネジメントといっても100人いたらそれぞれのマネジメントが存在します。より自分を知ること、その中で自分がミスしやすい傾向や癖を知り、起こりうるミスをどう減らせるか、そのような頭の使い方を、ジュニアの頃から覚えてほしいと思っています。『フェアウェイの右が良いのか、左が良いのか』『グリーンの右が良いのか、左が良いのか』、そこを考えてもらうために、この大会ではヤーデージブックを選手たちに無料で渡していました」
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ちなみに、プロゴルファーになるような方はどんなタイプが多いのでしょうか? こんなタイプの人がプロ向きとか、もしあれば教えてください。
進藤さん 「一番は自分に厳しい選手。あとは努力をし続けられる人。それに尽きるかなと思います。
一方で、プロになる前に、飯を食えるかどうかでふるいにかけられます。さらにその先の世界で活躍する松山英樹選手を見て思うのは、止めても止めても止まらないくらいやり続けられる人間じゃないと、世界で活躍できないのではないかな、と思います。
『もっとやれよ』とか『もっと考えろよ』と言われるのは、二流。やるのは一流。超一流は周りが止める。止められるまでやるのが超一流だと思います。そこが違いだと思います」
プロキャディーを長年務められていて、選手とキャディの関係についてどのようにお考えですか?
進藤さん 「一言で表すと難しいですが、アメリカではキャディのことを「バディ」という言い方をするのですが、まさに“相方”ですね。選手に頼ってもらう存在。苦しいときには助けになるような声掛けやアドバイスをする。良いときには前のめりに行き過ぎないように、冷静にさせるような、足をとめてあげられるような、そういう存在が理想かな、と思います。
そうなれるように、普段のコミュニケーションや、緊張感がある中での所作や言動をどれだけ選手ファーストにできるか、選手に尽くせるか、そういう気持ちを大事にやっていました」
最後にあと1つだけ。読者の皆さんに、コースマネジメントのコツを1つでいいので教えていただけないでしょうか? いちばん重要なポイントはズバリ何ですか?
進藤さん 「過信しないことですかね(笑)常に100点を目指そうとすることも大事だけど、ゴルフはミスをするスポーツなので、常にうまくいかなかったときのことを想定してコースを攻める。ナイスショットが出たときの感触や爽快感、良いショットが続いたときの『ゴルフの感覚をつかんだ幸福感』もよく分かりますが、プロでもそれほど良いショットが続くわけではないので、スコアを減らすためにどういうミスなら大丈夫かを常に考えながらやってみてください」
ありがとうございました!
(掲載日:2023年11月6日)
文:ソフトバンクニュース編集部
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