2人が対談を繰り広げたのはJ-WAVE(81.3FM)×「MUSIC FUN !」連動企画である、深夜の音楽座談プログラム『WOW MUSIC』。“すごい”音楽をつくるクリエイターが“WOW”と思ういい音楽とは? 毎月1人のクリエイターがマンスリープレゼンターとして登場し、ゲストとトークを繰り広げる番組だ。
7月のマンスリープレゼンターはMONGOL800のキヨサクが務める。7月30日(土)のオンエアでは、加山がゲストとして登場した。
バンドを1日で終わらせたくなかった
加山とキヨサクは、2014年に加山を中心に結成されたロックバンド・THE King ALL STARSのメンバーである。ふたりの出会いは2013年。宮城県で開催された「ARABAKI ROCK FEST.13」で、加山が「加山雄三 & ARABAKI YOUNG KING BAND」で出演した際に、キヨサクもゲスト参加したことがきっかけだった。キヨサク:同じステージに上がって、まさか一緒に『サライ』を歌うとは夢にも思わなかったです。
加山:あはは(笑)。
キヨサク:そのときのバックバンドのメンバーも、すごくロックな人たちで。
加山:そうなんだよ。今は一人ひとり有名な人たちばっかり集まってね。
キヨサク:そのなかで歌う加山さんの歌声がみんなに届くってことが印象的でした。あのときのステージってどんな感じでしたか。
加山:大勢の人たちの前でやれること自体がものすごく幸せなことなんだ。でもそういうチャンスがなかなかなかったじゃん。
キヨサク:最強メンバーを集めて、加山さんをバックアップする準備はできていて。
加山たちの圧巻のライブを近くで観ていたキヨサクは「このバンドは1日で終わらせたくない」と心の底から思ったと振り返る。
キヨサク:それで加山さんにモンパチ(MONGOL800)のフェスがこのあとにあるので、もう一回やりませんかって少しダメもとで言ったことで、(バンドが)その後に続くんですよ。
加山:そういうことだな。(THE King ALL STARS)はあなたの発案だもんね。
キヨサク:加山さんが持っているロックのルーツがめちゃくちゃカッコよすぎて、いちミュージシャンですけど、いちお客さんとしてもいろんな人に届けたいって純粋に思ったのが始まりでした。
加山:それが素晴らしかった。俺だって気持ちとしてはロック系をやりたいって昔から思ってて。自分でバンドも持って活動してたんだけど、活動の場所がなくなってきてどうしたらいいんだろうってときにちょうどこの話が出てきたから、よしやろうと思ったんだよね。
THE King ALL STARSを結成した年には「FUJI ROCK FESTIVAL'14」に出演。そのときのステージがすごく印象的だったとキヨサクは語る。
キヨサク:バンドをゼロから作って、加山さんがギターを弾いて、ソロを弾いて生き生きしていて、ステージ袖でスタンバイしている姿も、ステージでギターを弾いてる姿も印象的でしたね。THE King ALL STARSにいる加山さんの姿は。
加山:まさに自分の原点に戻ったような気持ちになったんだよ。ギターを弾きながらってチャンスがなかなかなかったから、こういうのっていいなって。みんながやる気を持たせてくれたんだよ。
コンサートに父を招いて…
加山は、「音楽にはもともと縁がある」と自身の音楽ルーツを話し始める。加山:うちのおやじが影響してると思うんだけど。おやじが集めていたクラシックのレコードを聴いて。特にベートーヴェン、ブラームス、バッハのレコードを集めていたから、俺はおやじのいないときに聴いてたんだ。それからショパンとも出会って、すごく気に入っちゃって。そうやってクラシック音楽から入ったけど、おふくろはジャズばっかり聴いてたんだよ。
キヨサク:へえ。
加山:その影響はものすごくあって、音に対して敏感であるし、あらゆる種類の音楽を聴いた。聴いたものはみんな身に付いていった。それでやがてカントリーに出会って、カントリーに魅せられて、そういうのをやってみたいと思って学校の友だちとバンドを持つようになった。そのうち自分で曲を作ってみようってことになって、自分でどんどんやっていって。こんな出会いはないなってくらいいい出会いだったね。
キヨサク:楽器はギターから始められたんですか。
加山:ピアノだね。おやじが中古のピアノを買ってくれて、それがよかった。ピアノを弾きながら曲ができたんだよ。バイエルとかソナチネみたいな音楽を作って、俺が弾いてたらおやじが「それはなんだい?」って言うから「これは俺が作ったんだ」って。そうしたら「お父さんはピアノコンチェルトが大好きだから、勉強してピアノコンチェルトを書いてくれよって」って言ったんだよ。
そこから数十年後に父から「ピアノコンチェルトは書いてるか?」と訊かれ、「まだ何もやってない」と答えるとすごく落胆されたという。加山はそこで「ちゃんとやらなきゃいけない」と思い、『父に捧げるピアノコンチェルト』を完成させた。加山は完成した曲を携えて、コンサートに父を呼んだという。
加山:いちばん前の席におやじが座って、その曲を演奏して。そのあとにおやじをステージに引っ張り出して「これがおやじに作った曲だ」って手書きのスコアを渡したら、おやじがぽろぽろと涙を流したんだよ。いいことしたなと思って。それは忘れられない。
キヨサク:曲を作ってプレゼントするってすごいですね。
続けて、キヨサクが加山にロックとの出会いを訊くと、加山は学生時代に行ったスキー合宿だったと答えた。
加山:そのなかにひとりギターを持って来たやつがいて、そいつがひょうひょうとカントリーウエスタンを弾いたんだよね。それを見てて、これは面白いなって。教えてくれよって言って、そこから1時間くらいで3コードくらい弾けるようになったのよ。それで英語も覚えて。
キヨサク:その話は初めて聞きました。
加山:それでカントリーウエスタンをやって、いろいろ覚えるじゃない。そのうちにエルヴィス・プレスリーが出てきて。それからガラッと変わって、みんな影響されたんだよね。それでみんなでバンドを組んで曲を覚えたりやったり、自分で曲を作ったり。それがきっかけだな。
キヨサクが『君といつまでも』をオマージュ
2020年、加山は芸能生活60周年を記念して13年ぶりにオリジナルアルバム『DEDICATED to KAYAMA YUZO』をリリース。このアルバムは、加山の長年の音楽活動に対する尊敬の気持ちを込めて、ゆかりのあるアーティスやバンドメンバーが制作した楽曲を収録している。キヨサクは加山の代表曲『君といつまでも』をオマージュした『いつまでも君を』を楽曲提供した。
キヨサク:最初のタイトルは「君といついつまでも」にしたような。オマージュもあったので、『君といつまでも』を倍にしようと思って。加山:あはは(笑)。
キヨサク:沖縄の言葉とかけて「君といついつまでも」と言ったら、加山さんから「『いつまでも君を』でいいんじゃないか」って言葉がありましたので(笑)、このタイトルにしました。
加山:そんなこと言ったっけ(笑)。
キヨサク:本当に不思議なプロジェクトでした。加山さんの『君といつまでも』を何回も聴きながら、僕のなかでの『君といつまでも』の続編じゃないけど、勝手なイメージですけど、その後、みたいな。あとは参加メンバーのみんなが加山さんに対するリスペクトも含め、楽曲への愛情が溢れすぎて。でも楽しみながらみんないい意味でオマージュ、曲を崩しながらまた新しい曲にしていく作業がめちゃくちゃプロジェクトとしても面白いので、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいなっていうアルバムですね。
加山にとって音楽は「永遠の親友」
加山は2022年内をもってコンサート活動からの引退を発表。9月9日(金)に東京国際フォーラムホールAにて引退公演「加山雄三ラストショー~永遠の若大将~」を開催する。この公演は全国47都道府県の映画館で生中継(ライブ・ビューイング)も予定されている。キヨサク:でも表現者として、アーティスト加山さんの活動は止まらないと思いますし、未発表曲があるとの噂があったり。
加山:あはは(笑)。
キヨサク:一緒にフジロックなりステージに立てたって本当に光栄なことで。
加山:いやいやこちらこそ、本当にありがとうございます。
キヨサク:いつでも沖縄来てくださいよ。俺のバーベキューでよければ。落ち着いたら沖縄で一緒にウクレレとか弾きたいですね。最後に、加山さんにとって音楽とは、歌とはなんでしょうか。
加山:僕にとっては永遠の親友です。
加山雄三の最新情報は、公式サイトまで。
『WOW MUSIC』はJ-WAVEで土曜24時-25時にオンエア。また、『MUSIC FUN !』のYouTubeページには、同番組のトーク動画のほか、ミュージシャンやプロデューサーによる音楽の話が数多く配信されている。
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