つばぜり合いを演じる衆院選(31日投開票)の候補に遠方から駆け付ける応援弁士は心強い援軍だが、ときには「おや?」と感じる人物も。東京電力福島第1原発事故を巡り、対応が過去に波紋を呼んだ「あの2人」にとって福島の選挙区は、さぞかし敷居が高いのではなかろうか。有権者の反応を探った。
教訓生かして
JR郡山駅前で28日夕、松下政経塾の後輩に当たる立憲民主党新人を応援しようと党最高顧問の野田佳彦元首相がマイクを握った。
舌鋒(ぜっぽう)の鋭さは折り紙付き。政府与党の新型コロナウイルス対策予算を「73兆円のうち20兆円は使い切れずに繰り越した。一方でワクチン開発に投じた予算はたった100億円。お金の使い方を間違っている」とやり玉に挙げる。
新人と議席を争う自民党前議員の陣営の偵察要員が反応した。「財務官僚の言いなりになって延々と財源論を議論し、東日本大震災の復興予算の本格編成を遅らせた当時の財務相は誰なんだ」
立民支持の60代女性は「確かに旧民主党政権の震災対応はひどかった。野田さんの顔を見てつらい記憶が少しよみがえった」としつつ「教訓を生かして政権交代を目指そうというのだから、いいじゃない」。
理解が進んだ
自民党の高市早苗政調会長は26日、9月の総裁選で自身の推薦人に名を連ねてくれた「同志」の自民前議員の応援にはせ参じ、白河市の街頭で、関西弁でまくし立てた。
原発事故の処理水を海洋放出する政府方針に触れ「私は風評被害を払拭(ふっしょく)する外交努力が先やろ、とほえた。地元の努力はどうなるんや、と。官邸に文句を言われ、いろんな人に怒られた」。
「以前に比べたら、福島に対する理解が進んだよね」と話すのは30代の男性支持者。「以前」とは高市氏が「原発事故で死んだ人はいない」と口走って謝罪、撤回に追い込まれた2013年を指す。当時も党政調会長の重責にあった。
自民県議は「確かに当時は現場との温度差を感じる発言だった」と指摘。それでも別の党県連関係者は「あの発言は『直接の害を受けて亡くなった人はいない』という意味だろう。関連死した人がいることは当時も分かっていたはず」と擁護する。
息詰まる戦いが続く中、各陣営は大物弁士が来てくれただけで「感謝」と捉えているようだ。
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確かに
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