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文章や画像などを自動で生成する「生成AI」の活用がさまざまな分野で広がっている。中国では広告最大手「藍色光標」(BlueFocus:ブルーフォーカス)が生成AIを本格導入するため、クリエイターなどの採用を停止したことが大きな話題を呼んでいる。すでに小売や広告の分野では、生成AIの活用は“前提”となりつつあり、「AIによる失業」が始まっている。実際のビジネスで生成AIがどのように使われているのかを実例とともに紹介しよう。
消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。
中国広告大手では特定の職種の雇用を無期限停止に
生成AIで1分にまとめた動画
中国では、デジタル広告制作大手「藍色光標」(BlueFocus:ブルーフォーカス)の社内メールがSNSに流出し、大きな話題になった。そのメールとは、生成AIを本格導入するため、クリエイティブデザイン、コピーライティングの2つの職種について、短期雇用とアウトソーシング契約を無期限に停止するという内容だった。
BlueFocusでは現在、2000人の従業員すべてに3年から5年で生成AIのスキルを取得させる「All in AI」(AIにすべてを賭ける)戦略を進めている。この方針と理由がわかる事例がある。
四川省眉山市が観光プロモーションをBlueFocusに依頼したところ、その観光大使に任命されたのは、「蘇小妹」というバーチャルキャラクターだった。眉山市は有名な文人・蘇軾の故郷であり、その蘇軾の妹をイメージして制作されたキャラクターで、宋時代の文化と蘇軾の作品を前面に出して、眉山市の観光プロモーションを展開する予定のようだ。
従来の手法であれば、人間のモデルを起用して宋時代の衣装を制作し、眉山市で撮影をすることになるだろう。これがすべて生成AIに置き換えられる。コンテンツの展開先が、SNSや動画共有サイトであるため、バーチャルキャラクターのほうがマッチするのだ。
マクドナルドは広告制作に生成AIを活用
すでに広告制作の分野では生成AIは当たり前に使われるようになっている。中国のマクドナルドでは、無料で配布しているデジタル小冊子「冲浪月刊」のvol.003で、生成AIを使ったビジュアルを公開し、大きな話題となった。
それは「マクドナルドのおなじみのメニューが、1000年前の文化遺物として出土した」という設定で、フライドポテトなどが中国で有名な文化遺物になっているというクリエイティブだ。
モチーフとなっているのは、故宮博物院などに収蔵されている国宝級の文化遺物で、青銅器、白メノウ、青花磁器など中国国内ではよく知られているものだ。手作業によって描けないビジュアルではないにしても、生成AIを使って、今まで見たことがないイメージを見せることに成功している。
もはやクリエイティブな職種では、生成AIは避けて通れない技術だ。2016年から毎年開催されているアリババ主催の「淘宝造物節」(タオバオ・メイカー・フェスティバル)では、毎年テーマに沿ったビジュアル、映像、デザインなどが出品されるが、2023年は「人類とAIの共生」がテーマになった。そのティザー映像も、生成AIを活用して制作されているという徹底ぶりだ。
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