[オーランド(米フロリダ州) 11日 ロイター] - ヘッジファンドの間でドルに弱気な見方が急速に消滅しつつあり、買いが今のペースなら今月末には強気一色になると予想される。
さらに最近の動きを振り返ると、ファンドがドルを買い持ちにする場合にはその状態をしばらく続ける傾向が見て取れる。
米商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、ファンドのドル売り越しは71億7000万ドルに減少。これは6月半ば以来の低水準で、6週間前の3分の1だ。
ドルの売り越しは過去2週間で半減しており、このペースが続けば月末までに投機筋のドルのポジションは買い越しに転じるだろう。こうしたポジションの変動は、ドルが主要通貨バスケットに対して6カ月ぶり高値まで上昇した為替相場の動きと同時に進んだ。
ヘッジファンドは長期的なトレンドをつかもうと、為替相場の方向性を予測する取引をする場合が少なくない。
こうした動きはCFTCの持ち高サイクルに広く反映されている。
米連邦準備理事会(FRB)議長を務めたベン・バーナンキ氏が唐突に量的緩和の縮小(テーパリング)に言及した、かの有名な「テーパータントラム」発言があった2013年5月から17年6月までの4年間、ファンドはほぼ切れ目なくドルのポジションを買い越しにし続け、ドルの買い越しが14年後半には過去最高の510億ドルに達した。
ドルはその後の1年間売り越しとなった後で約2年間買い越しとなり、また1年間売り越しとなった後、1年余りにわたり再び買い越しとなった。昨年11月以降は売り越しとなっている。
ここから読み取れるのは、ドル売り持ち解消に伴う相場上昇の余地がそれほど残っていないかもしれないが、投機筋が本格的な強気に転じれば長期的にドルの需要を支える源泉になり得るということだ。
こうした展開になるかどうかは金利見通しにかかっている。
FRBは利上げサイクルを終了したとの見方が強まっており、これは直感的にはドルにとってマイナスの材料となる。しかし重要なのは相対的な動き、つまり現在の市場価格に対する利回りの変化や、他の国・地域との相対的な動きだ。
特に日本の足元の動きを考えると状況は複雑だ。
日本と米国の2年債の利回りスプレッドは500ベーシスポイント(bp)前後と過去20年間で最大で、ドルが有利な状態が続いている。日銀が現在想定されているよりも早く引き締めに転じれば、利回りスプレッドは急速に変動するだろう。
CFTCのデータによると、円はなおも82億ドルほどの売り越しとなっている。ファンドは2021年3月以降円を売り越しにし続けており、何かのきっかけで円が急上昇する可能性を秘めている。
一方、ユーロの買い越しは7カ月ぶり低水準となる13万6000枚まで減ったが、それでも180億ドルとかなりの水準あることに変わりはない。
欧州中央銀行(ECB)が利上げサイクルを早期に終了させた場合、ファンドがユーロの買い越しを解消する余地は十分にある。成長見通しが下方修正され、ドイツが景気後退に陥ると見られることから、ECBの変節を想定するのは無理筋とは言えない。
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筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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