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Monday, September 11, 2023

詐欺電話言葉巧み、「カードが偽造されている」…84歳女性 ... - 読売新聞オンライン

 7月27日、南区の女性(84)宅に、有名百貨店の従業員を名乗る男から電話があった。

男「もしもし、私は(有名な)百貨店のナガノと申します。お客様はご在宅でしょうか」

女性「はい、私ですが」

男「お客様名義のクレジットカードを使って、百貨店で10万円の商品券を買い求めようとした40歳前後の方がいらっしゃいました」

女性「私はそもそもカードは持っていません」

男「カードが偽造されている。全国銀行協会なら被害の有無を調べられます」

 男は、女性を だま そうとする特殊詐欺の犯人だった。警戒した女性が協会の連絡先を聞くと、男は一方的に電話を切った。

 もしこのまま女性が話に乗っていれば、協会職員を装った回収係が女性宅を訪れ、「クレジットカードが偽造され、(銀行などの)キャッシュカードも作り直した方がいい。こちらで預かります」などと言って、カードが騙し取られてしまう恐れがあった。

 一連の電話音声を、京都府警特殊詐欺対策室がホームページ上で公開している。言葉巧みな詐欺犯の具体的なやり口を知ってもらうことで、高齢者らの防犯意識向上を図るのが目的だ。

 女性は特殊詐欺予防の講習を受けた経験があり、録音機能付きの防犯装置を電話に取り付けていた。電話を終えた後すぐに警察に通報し、事なきを得たという。取材に応じた女性は「自宅の住所と部屋番号まで知られていて、慌てた。詐欺は身近だと多くの人に伝えたい」と訴えた。南署によると、女性が電話を受けた日、管内では詐欺電話を不安視する通報が9件あったという。

 府警によると、特殊詐欺被害の84・5%は固定電話がきっかけだといい、府警は固定電話に取り付けられる録音・警告機能付きの防犯装置を約半年間、無償で貸し出している。防犯機能付き固定電話の購入補助を行う警察署もある。

 「もしかしたら家の電話に詐欺電話がかかってくるかも」と用心し、防犯装置などを備えていれば、落ち着いて対処しやすくなる。府警は「まずは最寄りの警察署に気軽に相談してほしい」と呼びかけている。

 7月末時点の府内全体の特殊詐欺被害件数は116件(昨年同期比13件増)で、被害額は約3億9500万円(同約2億5900万円増)。犯人が高齢者宅を訪問し、キャッシュカードを騙し取る手口は60件(同21件増)に上り、全体の約半数を占める。

 丁寧かつ冷静で、会話の間の取り方は、ごくごく自然。男が発する言葉はいかにも有名百貨店の従業員らしい口ぶりで、「思わず聞き入ってしまった」と話す女性の言葉にもうなずけた。

 女性は老人クラブの会長を務め、周囲にも詐欺被害の注意を呼びかける立場にあったことから、男の口車に乗ることはなかった。それでも音声からは動揺が感じ取れ、記者自身「私も騙されるかもしれない」と思うほど、男の話しぶりは堂々としていた。

 息子を装って電話をかける「オレオレ詐欺」や、市職員らを かた って「還付金を返す」とATMへと誘導する「還付金詐欺」など、犯罪グループは次々と新たな手口を繰り出し、いかに金を騙し取ろうかと企てている。

 年齢や性別に関係なく、「自分は大丈夫」と思わずに、詐欺被害について〈知る〉ことが必要だろう。府警が公開する犯人らの声を一度、聞いてみてほしい。(畝河内星麗)

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