終戦から78年が経過した。一般的な日本の時代区分では、明治維新から終戦の日までを「近代」、その後は「現代」に分けられる。3年8か月の「戦中」を加えた「戦前」は77年だから、今年で「戦後=現代」は「戦前=近代」より長くなった。
太平洋戦争を知る人は減り、戦争の記憶は風化が進んでいる。終戦より遠い戦前の記憶はさらにぼやけ、大枠すらつかみにくくなっている。近現代史研究者の辻田真佐憲さんは近著『「戦前」の正体』で、戦前という時代の大枠を示そうと試みている。
辻田さんがこの本を書いたきっかけのひとつは、昨年末にテレビ番組「徹子の部屋」に出演したタレントのタモリさんの発言だったという。2023年がどんな年になるのかと問われたタモリさんは、「新しい『戦前』になるんじゃないですかね」と答え、この発言を受けて戦前について様々な考察や論評が出された。だが、大きな議論にはならなかった。
「右派は戦前の日本を『美しい国』といい、左派は『暗黒時代』という。戦前に対する国民共通の認識がなくなって、右派も左派も自らに都合のいい戦前のイメージをつまみ食いしているだけ。これでは議論はかみ合わない」と辻田さんは言う。では、戦前とはどんな時代だったのか。辻田さんは戦前の大日本帝国を「神話に基礎づけられ、神話に活力を与えられた神話国家」と定義する。
その痕跡は、昭和天皇(1901~89)が78年前、玉音放送で読み上げた「終戦の
「神器」とは
実際に読み上げられた詔からは「神器を奉じて」は消されている。その理由は、敗戦で国体は崩壊し、神器を守る意味がなくなるから、ではない。文書の起案にあたった内閣書記官長の迫水久常(1902~77)の回想によると、当時の閣僚から「こんなことを書くと、連合国が天皇の神秘的な力の源泉が神器にあると考え、神器に関心を持ってしまうのではないか」という声が出たためだという。
からの記事と詳細 ( 戦後78年…辻田真佐憲氏(「戦前の正体」著者)にベテラン記者が聞く - 読売新聞オンライン )
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