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Sunday, July 17, 2022

地中海周辺で山火事相次ぐ、南欧で熱波 イギリスでは40度超になる懸念も - BBCニュース

Firefighter in Baiao, Portugal, 15 Jul 22

画像提供, EPA

厳しい熱波に見舞われるポルトガル、スペイン、フランス南西部で山火事が相次ぎ、数千人の消防士が消火活動にあたっている。15日にはポルトガル北部で、空中消火機が墜落し、パイロットが死亡した。猛暑による初の非常事態宣言が出されたイギリスでは、週明けに41度まで達する恐れがある。

スペイン南部コスタ・デル・ソル近くでは、「白い村」として有名なミハスを臨む丘で火事が広がり、約2300人が避難した。ミハスに近い観光名所トレモリノスの海岸からは、ミハスの丘から巨大な火柱が立ち上るのが見えたという。

ミハスに住むイギリス人のアシュリー・ベイカーさんはBBCに対して、火の勢いが特に強かったのは15日で、それ以降は風によって自宅からは遠ざかる様子だと話した。空中から飛行機が鎮火物質を投下しているほか、ヘリコプターが海と火災現場を何往復もして、消火用の海水を運んでいるという。

「自分が住んでいる地区には約40軒の民家がある。住民は誰もが緊張して、バルコニーに立って火の様子を見ていた」とベイカーさんはいう。「今でも山頂付近に火が見える。ここからは遠ざかってくれて、とてもほっとしている」。

Mijas hills fires, 15 Jul 22 (pic courtesy of Ashley Baker)

画像提供, Ashley Baker

激しい山火事が相次ぐフランス南西部ジロンド県では、1万2000人以上が避難を余儀なくされた。

大西洋に面するジロンド県のラ・テスト=ド=ビュックに住むカリンさんは、AFP通信に対して、森が燃える様子はまるで「終末後」の世界のようだとして、「こんなことは見たことがない」と話した。

ジロンド県ボルドーの南でも大きな山火事が起きており、県内では1万ヘクタール近くが消失した。約3000人の消防士が消火活動にあたっている。

クリストフ・ナデルさんと義理の息子は、カゾー村の自宅から着の身着のままで脱出するしかなく、今はラ・テスト=ド=ビュックのシェルターに避難している。ナデルさんはBBCに対して、飼い猫を助け出すために自宅に戻りたいとしている。

ラ・テスト=ド=ビュックの一時避難所には数百人が避難している。

残された動物の救出が計画されているものの、進捗(しんちょく)ははかばかしくないと、BBCのジェシカ・パーカー記者は説明する。

「あまりにもあっという間で。炎はあまりに大きすぎて。本当に大きくて」と、マノン・ジャカールさん(27)はBBCに話した。勤務先のキャンプ場から13日朝に避難して、ラ・テスト=ド=ビュックに近いシェルターで寝泊まりしているという。

「本当に心配で、怖いです。できるだけしっかりしようとしているけれど、大丈夫じゃない。今週のことは忘れたい」と、ジャカールさんは言う。

Manon Jacquart

フランスでは最高気温が40度に達する日が続き、緑、黄色、オレンジ、赤の4段階に分かれる警戒警報は現在も、南部については「オレンジ」になっている

スペインとポルトガル、暑さで300人以上死亡

12日以降の最高気温は、ポルトガルでは47度、スペインでは40度超に達し、地面の乾燥と山火事の発生につながっている。

スペインのエフェ通信によると、スペインとポルトガルでこれまでに計300人以上が暑さのためになくなっている。

ポルトガルでは北部ポルトの東側で山火事が相次いでいる。今年に入って3万ヘクタールが焼失しており、約100人が死亡した2017年夏の山火事以来、ポルトガルでは最悪の被害となっている。

イタリアでは、国内最長のポー川の水位が大幅に下がり、場所によっては干上がっているため、政府がポー平原一帯に非常事態を宣言した。

モロッコ北部でも、ララシュ、ウエザーヌ、タザ、テトゥアンなどで山火事が広がり、複数の村から住民が避難した。全焼した村もあり、少なくとも1人が死亡した。

イギリスでは41度に達する懸念も

イギリス政府は15日、高温予想のため非常事態を宣言した。イギリス気象庁の予報で、18日と19日にロンドンやマンチェスターなどで、40度に達する恐れがあるため。41度に達する危険もあるという。

英気象庁は、「イギリス国内で摂氏40度の予報を出すのは初めて」だと説明。人命に危険が及ぶ恐れがあるとして、通常の活動を変更する必要があるとしている。

スティーヴ・バークリー保健相は16日、熱波に備えて救急サービスの対応能力を強化していると述べた。保健相は「熱対策には、水分を取り、日陰にとどまり、肌を覆う」のが何より適切な対応だと述べ、「影響を受けやすい人や隣近所の人の状態に注意して、気にかけてもらいたい」と呼びかけた。

ロンドン西部のヒースロー空港と王立植物園では16日、29.1度を観測。17日の最高気温は31度が予想されている。

UK Heatwave
Presentational white space

イギリスで猛暑警戒システムが導入されたのは2021年と間もないが、最高レベルの「赤」警戒が発令されたのは、今回が初めて。これまで英気象庁が観測した最高気温は2019年7月に、ケンブリッジ大学の植物園で観測した38.7度だった。

地球の気温は18世紀後半に比べて既に約1.1度上昇している。各国が温室効果ガスの排出を大幅に削減しない限り、気温は上昇し続けると、多くの専門家が予測している。

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BBCのジャスティン・ロウラット環境担当編集委員によると、イギリスの観測史上最も暑かった10日の記録のうち、7日は2003年以降に記録された。

イギリス気象庁のペネロピーー・エンダースビーCEOはBBCの取材に対して、「40度というのはイギリスでは、きわめて異例の気温」で、大幅な気候変動が起きていなければ「100年に1度とか300年に1度の特異な事例であるべき」だが、「こうした異常気象が2100年までには、15年に1回とか、それよりさらに頻繁に起きる事態になり得ると考えている」と話した。そのうえで、エンダースビー氏は、「実際にそうなるのかどうかは、温室効果ガスの排出を今後どうするか、私たちが生物の種族としてどう選択し、どれだけ速やかにネットゼロに向けて減らしていくか次第だ」と述べた。

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