外資系企業の広報といえば華々しく、“キラキラ”輝いている仕事のように思えるでしょう。確かにそうした一面もあるかもしれませんが、筆者の鈴木正義氏は「そうとは限らない」とくぎを刺します。実は外資系ならではの「3つの地獄」が存在するとか。なんとも大変というか、気の毒というか……。
NECパーソナルコンピュータはレノボとのジョイントベンチャーで、私自身レノボの広報という肩書も持っています。つまり「外資系の広報」ということです。
「わー、外資の広報、すてきですねー」という声が聞こえてきそうです。以前にも書いたのですが、まず広報という仕事はイメージとは裏腹に地味で過酷な職場です(関連記事「『広報は華がある』は幻想 現実は泥くさく、気まずい」)。もう一つ声を大にして言いたいのは外資系企業といっても決して華やかな職場とは限りません。しかし最近では、自分のSNSのプロフィルに「元GAFA」と書く人がいるそうで(それはもはやプロフィルではないのでは……)、外資になぜかいいイメージを持つ人がいるようです。
そんなキラキラの2乗ともいえる外資系広報に憧れる方も多いようなので、ちょっと実態を知ってもらいたく、今回はかなりニッチなネタかもしれませんが「外資系広報が経験する3つの地獄」を書いてみたいと思います。なお、これからお話する内容は私が過去に複数の外資系企業で経験したことを一般化したものです。どこの誰の話だろうと想像するのはやめてください。
【地獄第1フェーズ】取材をセットしなければならない
地獄第1フェーズは「本社の偉い人が来るので取材をセットしなさい」と言われることです。「偉い人」=CEO(最高経営責任者)ならいいのです。ここでいう偉い人とは、例えば間接部門担当のVP(副社長)とか、複数ある事業部のうちの1つの、しかもあまり権限のない部長とか、そういう人です。しかも「トップメディアを呼ぶように」という条件付きです。当然全国紙やテレビのニュース番組からすると、その肩書であれば相当注目されている企業か、よほど面白いテーマでない限り取材する理由はありません。つまるところこの問題は、「あなたはあなたが思っているほど偉くないので、取材はできません」ということをストレートに本人に伝えなければならないということです。
You are not as great as you wish.
お役に立てていただければと例文を用意しましたが、書いてみると改めて絶対言っちゃいけない一言であることが分かります。結局それは伝えられるはずもなく、無理くり取材を入れることになります。何とか拝み倒して取材を設定できたとしても、地獄はこれで終わりではありません。次なる地獄「取材現場」が待ち受けているのです。
【地獄第2フェーズ】取材当日振り回される
続いて地獄第2フェーズは、取材当日に振り回されることです。せっかくの海外の幹部取材、何か「初出し」のコメントでも取れないかとあれこれ角度を変えて質問してくる記者の方も多いのですが、海外のスポークスパーソンは非常にガードが堅く、当初予定したシナリオから発言は1ミリもはみ出しません。どういうことかといいますと「それ、ホームページに書いてありましたよね……」と取材する側が言いたくなるような回答ばかりなのです。
かみ合わない問答にいらだつ記者、いらだつスポークスパーソン。このいらだちの矛先はどこに向くのでしょう。そうです日本の広報です。
「鈴木さん、このままじゃ記事になりませんよ……」
「ヘイ、鈴木サン。彼ハナゼ同ジ質問バカリ繰リ返スノカ?」
これを回避するには、“取材する側”とかなり入念に打ち合わせておくしかありません。ここまでしか言えませんよ、それならこういうアングルの記事で使えますね、という感じです。取材が設定できたと安心していると、取材した後から「ボツ」も最悪あり得ますから、広報としてはちゃんと記事を出してもらうために事前のレクチャーをしておくか、ボツになったときのために逃げ足を鍛えておくかのどちらかを準備しておくべきです。
そんなこんなで予定した取材を冷や汗をかきながらもこなし、残る取材もあと2件。このあたりで最後のワガママが発動されます。さっきから、ちらちらスマホの画面を見ているなぁと思うと、こう言ってきます。
「ヘイ、鈴木サン。チョット疲レタノデ、コノ後ノ取材ハキャンセルデキナイカ?」
えっ……。
からの記事と詳細 ( これが外資系広報の実態! 広報担当を待ち受ける3つの地獄 - 日経クロストレンド )
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確かに
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