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Friday, November 27, 2020

新しい「iPad Air」は、「iPad Pro」が必要ないほど素晴らしく進化した:製品レヴュー - WIRED.jp

技術のトリクルダウンは大歓迎である。しかし、新しい「iPad Air」は単なるトリクルダウンではない。トップエンドにある「iPad Pro」の強みの大部分が、Proと銘打たれていないiPadにもたらされているのだ。包括的な再設計によって、タブレット端末分野におけるiPadの牙城はさらに強固になったといえる。

2020年の新しいiPad Airは非常に魅力的なパッケージであり、高額なiPad Proと食い合う部分さえあるのだ。レヴューの冒頭で端的に言えば、いま買えるものとしては圧倒的にお薦めできるiPadである。以下でその理由を説明していこう。

想定される購入者

想定される購入者としては、簡単に使えるモバイルコンピューティングを探していて、579ポンド(62,800円)を出せるすべての人だ。価格は2019年モデルから100ポンド(約13,500円)上がっている。

確かにAirで可能なことは、そのほとんどすべてが329ポンド(日本では34,800円)の第8世代「iPad」でも可能だ。しかし、使い勝手はiPad Airがはるかに上であり、250ポンド(同28,000円)多く払う価値はある(しかもモデルチェンジが多いiPhoneと比べて、iPadは使える期間が長い)。

ほかの想定される購入者としては、上位のiPad Proに魅力を感じつつ、一部のとりわけニッチなパワーユーザー向けの製品に1,000ポンド弱(日本では10万4,800円)出すことを正当化できなかった人たちすべてが含まれる。

2020 iPad Air

PHOTOGRAPH BY APPLE

デザイン

アップルの経営陣のページからジョナサン・アイヴの名前が消えてからもうすぐ1年であり、彼がクパチーノにいないことは間違いない。だが、新しいiPad Airを見たところ、アイヴが抜けたことでアップルの工業デザインの質が下がるきざしはない。新しいiPad Airは、グレイとシルバーのほかにフレンドリーなパステルカラーから選ぶことができ、むしろこれまででいちばん魅力的な外観のiPadになっている。

Touch IDを正面からトップボタンに移したのは、うまい工夫だ。認証スピードは落ちていないようだし、おかげで、「Liquid Retina」ディスプレイの画面サイズが10.5インチから10.9インチへと少し大きくなった。数字上はわずかな差だが、スペースが広がったことは実感できる。さらに画面が大きくなったことを抜きにしても、ホームボタンがなくなりベゼルが小さくなったことで、明らかにより美しくなっている。

重量はわずか458gと、現在手に入るiPadのなかでいちばん軽い。また、再生アルミニウムの筐体は、クオリティの高さがしっかりと感じられる。見た目と手触りには欠点が見つからない。

2020 iPad Air

PHOTOGRAPH BY APPLE

使い勝手

アップルの「A14 Bionic」チップを搭載しているので、ある意味では現行iPad Proを上回る最新のチップが入っている。これをもって性能でiPad Proを上回っているとすることは完全な間違いだが、iPad Airの前モデルとの比較では、アップルによるとCPUが40パーセント高速化し、グラフィックス性能が30パーセント向上するなと、大幅にパワーアップしている。同じくA14チップを搭載する新しい「iPhone 12」シリーズと同様に、iPad Airは前のモデルよりも明らかに速くなっている。

バッテリー駆動時間はトップクラスで、おなじみのiPad水準を維持している。酷使しなければ、充電なしで何日も使えるだろう。キーボードを組み合わせるなどしてPC代わりにすることも可能で、その場合は標準的なノートPCと比べて何時間も長く使える。バッテリーが切れそうになれば、速くなった20W充電器の出番だ。

しかし、いい話ばかりではない。iPad Proから多くのものを取り入れているが、iPad AirにはLiDARと超広角カメラがない。Face IDがない点については、Touch IDをスリムにしてトップボタンに組み込む“イノヴェイション”で対処しているが、これには少し慣れが必要だ。登録する指を増やしておかないと、指を正しくトップボタンに置くには頻繁に本体の向きを変えなければならない。カメラについては、超広角がなくて困る人はほとんどいないはずだ。

2020 iPad Air

PHOTOGRAPH BY APPLE

魅力的な点

ひとつ目はもちろんデザイン。見た目は現在いちばんのタブレット端末だ。ふたつ目は、第2世代の「Apple Pencil」と、値が張るがよくできている「Magic Keyboard」への対応がやはり大きい。Magic Keyboard対応で、入力とトラックパッドの環境はiPad Proと同じになる。

最後は、ポートがLightningポートからUSB-Cになった点だ。そう、アップルがついにProではないiPadにUSB-Cを搭載したのだが、海が荒れ狂うことも、世界が終わることもなかった(もっとも、2020年はこうしたテストにふさわしい年ではない)。

USB-Cの採用は、データ伝送速度が5Gbpsになることを意味するだけではない。残念ながら、Lightningの時代が確実に終わりに近づいていることを示している(「iPhone 12」にはまだ残っているのだが)。

不満な点

正直なところ、iPad Airは批判する点があまりない。価格が上がったことに不満な人はいるかもしれないが、それに十分に見合うものは手に入る。

保存容量の選択肢が少なく、64GBの次が256GBで中間がないことは少し気になる。スピーカーは、iPad Proの4個に対して2個しかないが、その2個のスピーカー自体はとても質が高い。

本当に気にしたほうがいいのは、画面のリフレッシュレートが60Hzであることだけかもしれない。iPad Proは120Hzであり、並べると違いは明らかだ。iPad Airだけ使うとそこまでわからないものの、個人的にはリフレッシュレートが高くて体験がスムーズなほうがいい。

結局、買いなのか

まさに買いだ。昨年のiPad Airのレヴューでは、2019年モデルの欠点として「スピーカーが2個のみ、Face IDがない、Proではないデザイン、Apple Pencil対応が第1世代のみ」と指摘したが、スピーカーを除いてすべてが修正されている(Touch IDも問題をうまく回避している)。おすすめしないわけにはいかない。

また、iPad Proと旧iPad Airの中間の製品ではあるが、あらゆる点でごまかされた感じがないのが気持ちいい。ほとんどの場面でiPad Proの感覚で使えることは間違いない。これはアップルに対する大きな褒め言葉だ。

ただ、アップルからすると、これは新しいiPad Airの最も危険な部分でもある。いまのところ、ほとんどの人はiPad Proにする必要がないということになるからだ。

※『WIRED』によるアップルの関連記事はこちら

◎WIREDな点
素晴らしいデザイン。強力な「A14 Bionic」チップ。使い勝手がいい。

△TIREDな点
新しい指紋スキャナーは、少し慣れが必要。容量に64GBと256GBの中間がない。リフレッシュレートが60Hz。

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