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Monday, November 23, 2020

<視点>いつか「永田町の常識」を変える1票に…首相指名選挙での40代女性議員への投票 政治部・坂田奈央 - 東京新聞

 「記録に残るのに何やってるんだ」「自分で入れたんだろ」―。首相指名選挙が行われた9月16日の参院本会議場はどよめきに包まれ、やじが飛び交った。無所属の寺田静参院議員(45)が強い意志を持って、同い年の女性の伊藤孝恵参院議員(45)に投じた1票が読み上げられた直後のことだった。

 「あんなにやじが飛んで批判され、言葉を失った」と寺田さん。投票後、すぐに自室へ戻り、ブログに「国会議員として1年余、私が問題意識を持つさまざまな課題は、女性が意思決定の場に増えれば確かに変わっていくことだと、議員になる前からのこの思いがさらに強くなり、今回の投票につながりました」と書き込んだ。女性が生きづらい社会を変えたい一心からの決意の1票だった。

 本会議場から出た伊藤さんは待ち構えていた記者から「自分で票を入れたんですか」と聞かれた。そんな反応の数々に「永田町の常識」を改めて思い知らされる。日本では40代の女性議員を首相に推す1票を現実のこととして受け止められないのだと。一方、世界に目を向ければ、フィンランドやニュージーランドなどで30代40代の女性首相が活躍し、ハリス米上院議員(56)の女性として初の米副大統領就任が確実になっている。

9月16日の首相指名選挙に先立ち、国民民主党の伊藤孝恵参院議員(左)に投票する旨を伝えた無所属の寺田静参院議員=東京・永田町の参院議員会館で(寺田議員事務所提供)

9月16日の首相指名選挙に先立ち、国民民主党の伊藤孝恵参院議員(左)に投票する旨を伝えた無所属の寺田静参院議員=東京・永田町の参院議員会館で(寺田議員事務所提供)

 実は首相指名選挙の前、寺田さんは伊藤さんの部屋を訪ね、投票したい思いを伝えていた。「永田町の常識」に反する投票をすれば、迷惑をかけるかもしれない。断られるかなと思ったが「そんなことして大丈夫?」と心配されただけだったという。

 あれから約2カ月。永田町では批判対象にされ、「伊藤総理」とちゃかす議員もいたが、寺田さんの元に性別や年齢を問わず、共感の声が相次ぐ。ブログを読んだ女性からは「涙が止まらなかった。渦中にいる私たち自身も問題に向き合ってこなかった。できることを真剣に考えたい」とのメールが届いた。70代の男性は「勇気ある行動に賛同します」とメールを寄せた。

 伊藤さんにも、官僚や教諭などから応援の声が後を絶たなかった。共通するのは「何かを変えたいと思っているが、声を上げられずにいる人たち」という。伊藤さんは「あの1票はリトマス試験紙のよう。何かを『変えたい』と思う人と、それに共感する人を、あぶり出してつなげてもらった」と振り返る。

 伊藤さんは最近、子連れ時に遭遇した自民党の男性議員から「いろいろあるだろうけど頑張ろうね」とグータッチを求められた。橋本聖子男女共同参画担当相は会見で、寺田さんの投票行動を「これからの世代に第一歩を示した」と前向きに評価している。

 伊藤さんに投じられた1票はしっかりと記録に残っている。そこから緩やかにつながった連帯がいずれ塊になり、近い将来に「永田町の常識」と歴史を変えるかもしれないと期待している。

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