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Sunday, September 13, 2020

英国史上最も有名なポルシェ997 GT3 RS「へーべー」。愛にあふれた10年目のバースデードライブをレポート - GENROQ Web(ゲンロク ウェブ)

Porsche 911 GT3 RS

ポルシェ 911 GT3 RS

ポルシェGBが長年所有し続けているテストカー

史上最も有名なポルシェ911 GT3 RS(タイプ997)が、誕生日を迎えた。英国・ロンドン出身のフォトグラファーでフリーランスジャーナリストでもあるザイード・ハミッドが、この愛すべきポルシェGBが所有するテストカーについて思い出を語ってくれた。

タイプ997 GT3 RSとザイード・ハミッド

今回、タイプ997 GT3 RSをドライブする機会を得た、ロンドン出身のフォトグラファー、ザイード・ハミッド。10代の頃から雑誌で見た「ヘーベー」への憧れを募らせていたという。

憧れ続けたタイプ997 GT3 RS「へーべー」

目を閉じて、お気に入りの道を思い浮かべてみて欲しい。木々や生け垣の間から水溜りに、そっと光が差し込む様子・・・。目の前のコーナーの前でシフトダウンし、右足でスロットルを踏み込めば、力強いパワーが伝わってくるだろう。私は17歳でドライビングの虜になったが、当時はポルシェでなく、フォード フォーカスに乗っていた。

10代の頃、家に帰ると玄関先には最新のスーパースポーツが掲載された自動車雑誌が届けられていた。まさにあの自動車雑誌たちは、若い私にとって夢の入り口だったように思う。

運転教習用ハッチバックのうるさいエンジン音が、いつの間にかル・マン24時間レース参戦用に開発されたポルシェ GT1のエキゾーストノートのように聞こえてきたものだ。お気に入りの記事には、スレートグレーのボディカラーにホワイトゴールドのホイールが装着された、タイプ997の911 GT3 RSが掲載されていた。

あれから10年の月日が経っても、私自身はあまり変わっていない。目を閉じて、自分のオフィスの椅子に腰を下ろせば、それがカーボン製バケットシートであるかのように想像しているのだから。何か違いがあるとすれば、お気に入りのワインディングロードを997 GT3 RSでドライブする素晴らしさを知っていることだろうか。そう、あの有名な997 GT3 RSが外に停まっていて、私はそのキーを持っているのだ。

英国のジャーナリストからは、ナンバープレートに由来する「ヘーベー(Hebe)」の愛称で親しまれ、10代の私の夢のクルマだった997 GT3 RSが今、私のドライブウェイにある。雑誌で幾度となく取り上げられ、テレビ番組やYouTubeのスペシャル番組にも出演経験のあるこのクルマは、ポルシェGBが今も所有している。

10年目を迎えた、ポルシェGBが所有するタイプ997 GT3 RS

タイプ997 GT3 RSは、偉大なるエンジニア、ハンス・メツガーによって開発されたメツガー・エンジンを搭載した最後の世代となる。内外装に多少の劣化は見られるものの、今もその美しさは変わらない。

メツガーエンジンを搭載した最後のモデル

2020年はポルシェのGT部門にとってエポックな年となった。初代GT3であるタイプ996 GT3が誕生してから20年が経過したのである。そしてその10年後には、タイプ997 GT3 RSがデビューし、今日でも高い評価を得ている。

タイプ997は、伝説的なメツガーエンジンを搭載した最後のモデルだった。また、ポルシェがすべてのRSモデルにマニュアルミッションを搭載していた最後の世代でもある。これらの理由から、私の印象にも残く刻まれている。だからこそ、この「ヘーベー」をドライブするチャンスが訪れた時の私の興奮を、あなたも想像できるだろう。

タイプ997 GT3 RSはデビュー当時、世界各国の「カー・オブ・ザ・イヤー」を総なめにした。そして現在に至っても、ポルシェの高い技術力を象徴する1台であり続けている。モダンクラシックカーとして、フィーリングや魅力の点でこのクルマに匹敵する存在はほとんどない。『EVOマガジン』や『トップギア』を読み返えせば、ヘーベーがどのようにして伝説的な地位を確立したのか、理解できる。

10年も前のクルマだ、それなりに年季が入っていることが分かる。外側から見ると、リヤのプラスチックスクリーンはクリアーから乳白色に変化し、イエローのブレーキキャリパーは少し輝きを失っている。コクピットはハンドブレーキのアルカンターラが摩耗し、シフトレバーとステアリングホイールも交換されていた。聞けば、オリジナルのシフトレバーはポルシェGBの本社に飾られ、ステアリングホイールは元常務取締役の退任祝いとして贈られたという。

10年目を迎えた、ポルシェGBが所有するタイプ997 GT3 RS

現代の最新スーパースポーツと比較すると、ステアリングが重く、路面からのフィードバックも大きいタイプ997 GT3 RS。ひとたびステアリングを握ると、誰もがその虜になる。

ヘーベーに残る古き良きドライブフィール

「ヘーベーは、イベントや本当に特別な日のために、大切に保存されています」と、ポルシェGBのシニアプレスオフィサーを務めるロブ・デュラントが説明してくれた。2017年にはスコットランドで行われた、911の100万台生産記念のイベントに参加。このイベントには、911のヒストリーに登場するひと握りのスターたちが、ラインオフした100万台目の911を祝うために集結している。

1年後の2018年には、マン島で行われた最新のタイプ991 GT3 RSの発表会にも登場。この日は、地元マン島出身のラリードライバー、マーク・ヒギンズのレクチャーのもと、12名のジャーナリストのために7台のRSモデルが島に集められた。自由時間に好きなクルマをドライブできると知ったヒギンズは、真っ先にヘーベーのシートに飛び乗り、イベントが終わるまでずっとステアリングを手放さなかった。

タイプ997 GT3 RSは最高出力444ps・最大トルク430Nm、当時でも最もパワフルなクルマではなかった。しかし軽量化が徹底され、間違いなく最もドライブが楽しいクルマだった。ヘーベーはステアリングが重く、路面からのフィードバックに溢れており、その手の中でダイレクトに生き生きとしたドライブフィールが感じられた。

997 GT3 RSは、ドライバーに慎重かつ確実な入力を要求する。クラッチペダルはドライバーの左足の踏力を試し、さらに左肩と左腕が正確で力強い動きをしなければならない。カーボン製バケットシートのサポートとグリップが相まって、肉体的にも過酷なドライビング体験は忘れがたいものとなるだろう。

1日で300マイルのドライブを終えた私は疲れ果てていたが、改めて10年前から憧れていたヘーベーとの絆に魅了されていた。

10年目を迎えた、ポルシェGBが所有するタイプ997 GT3 RS

2010年のデビュー以来、10年目を迎えた「へーべー」。走行距離は3万2000マイルを超えているが、ポルシェGBはこれからも大切に所有し続けるという。

10年目のバースデイ、そしてこれからも・・・

そして、音だ。彼は生きている。

フライホイールからのかすかな囁き、ホイールアーチ内でデブリが跳ねる音。エンジン回転数は8500rpmをピークに、催眠術にかかったような遠吠えへと変わる。その爆音は、これが単なる機械ではなく、生きて呼吸しているということに気づかされるだろう。頑張れば頑張るほど、そしてその挙動を知れば知るほど、クルマとのコミュニケーションは親密さを増す。

ヘーベーはドライブするたびに私に強い印象を刻み付けてきた。貸し出し期間中、1日を終えてドライブのことを考えながらベッドに入り、目が覚めたらまたバケットシートに座る口実を探してしまう。このクルマは、ポルシェ・コミュニケーション・ マネージメントシステム(PCM)やエアコンディショナーが取り外されている。そう、ドライブのために必要なことだけに集中できるのだ。

この世代のGT3 RSは、シュトゥットガルトで生まれた最も偉大なスポーツカーとして、永遠に称賛され続けるだろう。10年、3万2000マイルの走行距離を経ても、その耐久性に疑う余地はない。

ヘーベー、あらためて10歳の誕生日おめでとう。これから何十年も、ポルシェが考えたとおり、その素晴らしいドライブを楽しめますように・・・。

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September 13, 2020 at 01:55PM
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