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Saturday, July 18, 2020

北斗星(7月19日付) - 秋田魁新報

 ここには何もない。確かに、周りに目立った施設はない。その代わり、木立でうるさいほどセミが鳴く。アユの釣れる川が近くを流れる。田んぼが広がり、山が見える

▼仙北市西木町にある「農家の宿 星雪(せいせつ)館」はそんな場所にある。ホウレンソウや春菊といった野菜を作って出荷、宿泊客にあえ物などにして出す。米はあきたこまち。経営するのは門脇富士美さんだ

▼宿泊客の大半は県外と海外から。「何もない」は農家民宿を立ち上げた母の口癖だという。開業21年、県内で2番目に古い。何もないはずが、今では農山村の持つ豊かさで人を引き付ける

▼県内の農家民宿は現在100軒余。新型コロナウイルスが経営に影響を与えている。県内グリーンツーリズム団体の代表でもある門脇さんは言う。「先行きに不安はある。でも過疎の良さが見直されれば、また来てくれるのかなと思いたい」

▼近年頻発する豪雨災害に農業の防災機能を思った。田んぼは雨水をため、ゆっくりと下流に流す。畑は土の中に一時的に染み込ませる。農山村を陰で支えるのがこの働きだろう。だが長い間耕作されないと働きが損なわれる。耕作放棄地が増えているだけに心配だ

▼現状を受け入れ、無理せずにこの場所で暮らし続けたい。そんな思いを込め、門脇さんは「ここでいい」と語る。作物を育てるだけでなく、防災機能を果たす。景観を保ちながら生き物の命を育む。農業の多様な力に日々触れて生きる人の言葉は力強く響く。

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July 19, 2020 at 07:41AM
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