山岳団体が連名で登山など山岳スポーツの自粛を呼び掛け
いよいよ本格的なGWが始まったが、やはり今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、引き続き外出自粛が叫ばれている。
それでも「連休ぐらいはリフレッシュしたい。“3密”にならないような広大な自然の中に出かけるのなら良いのでは?」と思う人もいるかもしれない。だが、いま一度考え直した方がよいだろう。
実は、日本勤労者山岳連盟をはじめ山岳に関する4つの団体が、4月20日に連名で登山など山岳スポーツの自粛を呼び掛けているのだ。
「山岳スポーツ愛好者の皆様へ」と題したお知らせでは、すでに山小屋やスポーツクライミング施設の多くは感染を防ぐため閉鎖していると紹介。そのうえで、自然を求めて登山やクライミングをすることは、関係者や自分自身が感染するリスクを高めるとして、事態が収束するまでの自粛をお願いしている。
この声明を受けて、登山家の野口健さんはTwitterに賛同のツイートを投稿した。
確かにこんな時こそ山で癒されたくなる。しかし、山に登るためには移動をしなければならない。山が混み合えば他の登山者に感染させるかもしれない。仮に遭難者が感染していたらレスキュー隊に移してしまうかもしれない。自然を相手にしている山屋には「待つ力」があるはず! https://t.co/9w9xRumvjG
— 野口健 (@kennoguchi0821) April 21, 2020
確かにこんな時こそ山で癒されたくなる。しかし、山に登るためには移動をしなければならない。山が混み合えば他の登山者に感染させるかもしれない。仮に遭難者が感染していたらレスキュー隊に移してしまうかもしれない。自然を相手にしている山屋には「待つ力」があるはず!
野口さんのツイートには一部から疑問の声も寄せられたが、その後、4月25日に八ヶ岳連峰で救助された遭難者が“新型コロナ”の感染を疑われ、救助にあたった隊員10人ほどが一時自宅待機になっていたことが分かった。結果的に救助された人は感染していなかったが、まさに山岳4団体や野口さんが危惧していた事態が起きてしまったのだ。
その他にも、登山ではどういう感染リスクがあるのか?そして緊急事態宣言後のいま、登山する人は減っているのだろうか?
本来なら4団体の統一見解を伺いたいところだが、現在は連休のために叶わなかった。そこで日本勤労者山岳連盟・事務局長の川嶋高志さんに個人的な見解とした上で、話を聞いてみた。
例年GWは人気のある山域に登山者が集中
――登山は「3密」と無縁のように思える。この「お知らせ」の狙いは?
例年、ゴールデンウイークには人気のある山域に登山者が集中しています。公共交通機関はもちろん自家用車でも経費節約のため、乗り合わせをおこなえば、感染のリスクは高まります。
山小屋での宿泊は完全な「3密」になります。営業している山小屋や閉鎖していない避難小屋などに集中することも考えられます。
この季節は天候によって大きく難易度が変化します。このため山岳遭難が多発する場合もでてきます。休業する山小屋も多く、例年以上に不測の事態への対応ができなくなるのです。先日の八ヶ岳での遭難事例でもわかる通り、山岳救助は濃厚接触となり、救助関係者は感染防止することが難しいと思います。
このため今回のように「緊急事態宣言」が全国にだされて国民すべてがウイルスの感染拡大を少しでも減らそうとしている中で、登山により感染拡大する可能性があるなら、自粛してほしいと考えています。
上記の感染リスクが考えられることと、登山者は同じことを考える場合が多いので、「3密」を避けるために普段は人が少ない場所を選んでいくと多くの登山者がいたり、単独や少ない人数で山へ行くと急病をはじめ遭難事故への対応が自力でできなくなる可能性がより高くなります。
――いまは登山者は減っている?
私どもの加盟団体(山岳会・ハイキングクラブ)では山行自粛の案内が行われています。4月の第2週の土日までは高尾山など人気のハイキングコースでは健康に良いということで普段より人出が多いという報告もありました。
また室内クライミングジムがほとんど営業していないため、首都圏近郊の岩登りゲレンデでは込み合っているという報告も聞きましたが、現在は多くの自治体や関係団体が、駐車場の閉鎖や人気登山道の閉鎖、岩場の利用禁止をしているようです。
――この「お知らせ」は登山する人にどうやって広めているの?
私ども団体では加盟団体の会報や機関紙を通じて会員に周知していきます。私どものホームページを見て、岐阜県は登山自粛、北海道の占冠・村づくり観光協会では岩登り禁止を決めています。他にも観光面から躊躇していた自治体や団体が同じように自粛や禁止の告知をしているようです。
山は逃げません!
――緊急事態宣言が解除されたら、登山の自粛も解除される?
そうなると思いますが、他の3団体と協議していきます。
――登山愛好家に改めてメッセージをお願いします!
山は逃げません!栄養バランスの取れた食事を欠かさず、充分な睡眠をとり、「山筋ゴーゴー体操(登山のための筋力アップトレーニング)」など室内で効果的におこなえる運動をして、自粛明けの山行計画を練りましょう!
大自然の中に出かける登山と言えば「3密」とは無縁のように思っていたが、聞いてみればたしかにさまざまな感染リスクが予想される。
ここは歴史的な中国の武将である孫子が残した「動かざること山のごとし」という言葉にならい、感染が収束するまで待ってみてはいかがだろう。
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May 02, 2020 at 09:00AM
https://www.fnn.jp/articles/-/38013
新型コロナ対策で山岳団体が登山の“自粛要請”…自然の中でもやはりダメ?理由を聞いた - www.fnn.jp
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