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Friday, May 8, 2020

9月入学案 「特効薬」にはならない - 中日新聞

 コロナ禍で休校を続ける自治体も多い中、入学時期を九月とする議論が浮上している。確かに利点もあるのだろうが、学びの保障ができない現状を一気に解消できる「特効薬」にはなり得ない。

 いつ学校を再開するかは感染状況などにより、自治体によって判断が分かれる。インターネットを通じたオンライン授業も一部で試みられているものの、パソコンなどの環境が整っていない家庭も当然あり、踏み切れるかどうかは自治体の財政状況にも左右される。

 九月入学を訴える知事らは、地域による学力格差の解消につながり、秋入学が主流の欧米に合わせることで国際化も推進できると主張する。高校生や、保護者の中からも待望論がある。政府も検討を進める考えだ。

 だが、まず足元で生じている学びの停滞を少しでも解消していくことが最優先のはずだ。学校を再開できることが一番望ましい。ただ休校が長期化したり再休校の事態を想定すれば、パソコンなどの貸与をはじめオンラインの環境整備は急いだ方がよいのではないか。国も全力で支援すべきだ。

 夏休みに授業や補習を行う場合は、猛暑対応や密集回避のため学校以外の場所も確保することや、外部からの応援をあおいで指導体制を手厚くするなど、柔軟な対応が必要となるだろう。自治体と国、民間が連携し、今からさまざまな事態を想定して、知恵を絞ってほしい。

 新型コロナウイルスの脅威と向き合う期間が長期化する可能性もある中で、入学時期をずらすことの効果は不透明だ。

 明治時代、国の会計年度が曲折を経て四月からとなり、それに教育制度も足並みをそろえていった。会計年度については、税収のもととなるコメの収穫時期などが影響したという説もある。

 四月入学である必然性があるわけではないが、長い慣習の中で定まっていったさまざまな制度との整合性を図っていくには多大な労力を必要とする。今、それが可能な時期だろうか。

 グローバル化をうたい、英語の民間試験導入などを柱とした大学入試改革が昨年、制度設計の詰めの甘さで事実上破綻したことも忘れてはならない。

 学ぶ内容は、一年単位でなく、もう少し長い期間の中で補っていく必要も出てくるかもしれない。難題ばかりだが、地道に一つひとつ解いていくしかない。

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