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Thursday, April 23, 2020

第11回:新型コロナ対応にWTOも必死 組織改革は危機への取組から - Ministry of Foreign Affairs of Japan

令和2年4月23日

 先日,英紙フィナンシャル・タイムズのオンライン版に「トランプ米大統領 WTOへの資金拠出停止」という目を疑うヘッドラインが掲載された。実際にトランプ大統領が資金拠出の停止を表明したのはWHO(世界保健機関)であり,記事は後に訂正された。確かに,良くも悪くも,新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大により,その名を見聞きしない日はないほど,WHOへの注目は高まっている。
 では,WTOはどうなのか。新型コロナ感染症への対応においてWTOは我々の命と健康,日々の生活の役に立っているのか。そのような疑問が出てきても不思議ではない。
 今年6月上旬に予定されていたWTOの最高意思決定会議である,第12回WTO閣僚会議は延期された。日程はまだ決まっていない。また,当面4月末まで,とされた本部での日々の会合中止もいつまで延長されるのか不透明であるのは事実である。
 しかし,WTOは,いまこそ世の中の役に立とうと必死だ。「なぜ,今,WTO改革なのか」の連載で今回から数回にわたり,新型コロナ感染症を巡る状況にWTOがどう対応しているか,その取組をご紹介しようと思う。なぜなら,WTO改革は,ある日の会議での握手と拍手で成就されるものばかりではないからだ。国際社会が直面する未曽有の困難に際し,日々の地道な努力で実現していくものでもあるからだ。
 早速,WTOのウェブサイトをご覧頂きたい。「COVID−19と世界貿易」という特設ページ別ウィンドウで開くが立ち上げられている。新型コロナ感染症が世界貿易に与える影響に関する報告書,各国が新型コロナ関連でとっている措置,アゼベド事務局長のメッセージなどが掲載されている。

(写真1)(WTOのHPより) (WTOのホームページより)

 WTOは,この一か月の間に「医療関連品の貿易に関するWTO報告書」と「貿易統計・見通しに関するWTOプレスリリース」という二つの報告書を公表した。
 このうち,医療関連品に関する報告書ではいくつかの事実が判明した。各国が約束する医療関連品の関税率の世界平均が4.8%であるのに対し,日本は平均0.4%で世界第7位の低率であり,日本より低率なのは,無税の香港,マカオ,シンガポール,アイスランドの他,ブルネイ,セイシェルのみ。事実上主要先進国の中で最も医療関連品への関税率が低い。米国は0.9%,中国は4.5%,EUは対外共通関税の平均が1.5%である。世界的に医療関連品の関税レベルは驚くほど高いわけではなく,むしろ想像よりも低いという印象を受けるが,一部の必需物品の関税は高い事実も明らかにされている。例えば,世界的な供給不足が問題になっている防護関連品(防護服,ゴム手袋,マスク,ゴーグルなど)。これらの必需品に課されている関税は平均11.5%であり,いくつかの国では27%を超えている。また,スーパーやドラッグストアでも品薄になっているハンドソープへの関税は,世界平均でも17%であり,65%を超える高関税を課している国もある。この報告書に関連し,WTO事務局次長のアラン・ウルフ氏(米国出身)は,現在世界中で問題となっている医療関連品の不足は,各国による輸出規制がその大きな原因だと述べている。
 今,保健分野の専門家たちが人々の命と健康を守るために昼夜問わず助言しているのと同じく,WTOは貿易分野での危機を乗り切るための取組と発信を続けている。
 次回は,WTOがこれまでに公表したもう一つの報告書,世界貿易の見通しについて紹介したい。やはり,新型コロナ感染症の貿易や投資面への影響は甚大だ。(5月上旬掲載予定)  


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