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Tuesday, September 6, 2022

イギリスは「嵐を乗り切ることができる」 トラス新首相、初演説 - BBCニュース

新首相として官邸前で初演説をするトラス氏(6日、ロンドン・ダウニング街)

画像提供, Reuters

イギリスのリズ・トラス新首相は6日、官邸前で就任後初の演説をし、自分の優先課題は経済とエネルギー、医療サービスだと述べた。エリザベス女王に任命されイギリスの第56代首相となったトラス氏は、イギリスは物価高騰に苦しみながらも「嵐を乗り切ることができる」と強調した。新内閣の閣僚もこの日、次々と決めた。

トラス氏は、自分の使命は「全員の繁栄」を確保することで、「絶対に実行すると決心している」と述べた。

急騰する光熱費対策が求められる中、トラス氏と側近たちは包括的支援策を取りまとめており、8日にも発表される見通し。これには、数十億ポンド規模の光熱費凍結が含まれるとされている。

大雨が和らぎ

イギリスでは、「10」と番号のついた官邸の有名な黒い玄関ドアの前での就任演説が恒例となっているものの、この日は直前までロンドンは大雨に見舞われ、一時は屋内での演説になるかと危ぶまれていた。

雨脚が和らいだところでトラス氏は官邸前に立ち、「この国にとってきわめて重要なこの時」に首相の責務を担うのは「光栄なこと」だと話した。

さらに、ウクライナに対するロシアの「とんでもない侵略」が引き起こす難問や、新型コロナウイルスのパンデミックによる余波に、国は直面していると指摘。それでもイギリスの人たちには「そうした課題に取り組む」ための「胆力と決意」が備わっていると述べた。

「嵐がどれだけ強力でも、イギリスの人たちの方が強いと承知している」と、新首相は強調した。

新政権にとっての初期の目標については、減税と改革を通じて経済成長を実現し、光熱費の急騰に取り組み、医療サービスの基盤を強化することだと述べた。

Downing Street

画像提供, PA Media

官邸前のこの演説に先立ち、トラス氏はスコットランド・バルモラルを訪れ、エリザベス女王から新首相に任命された。

新首相の任命は通常、ロンドンのバッキンガム宮殿で行われるが、96歳のエリザベス女王はバルモラル城に滞在中で、歩行に困難があるため、医師団の判断でロンドンには戻らなかった。代わりにトラス氏とジョンソン氏が、それぞれロンドンからアバディーン空港を経由して、バルモラル城を訪れた。

新しい閣僚

女王から組閣を要請されたトラス氏は、ロンドンに戻ると、閣僚の任命を開始した。

政権の主要閣僚では、財務相にクワジ・クワーテング・ビジネス相、保健相と副首相に盟友のテレーズ・コフィー労働・年金相、外相にジェイムズ・クレヴァリー教育相、内務相に党首選に立候補していたスエラ・ブラヴァマン法務長官、文化相にミシェル・ドネラン教育相が、それぞれ決まった。

国防相は、ベン・ウォラス氏が留任する。

閣僚ポストの与党下院院内幹事長には、ウェンディー・モートン氏が決まり、初の女性院内幹事長となる。

党首選に立候補したペニー・モーダント氏は下院院内総務に。同じく党首選に出馬したケミ・ベイデノック氏が国際貿易相になる。

労働・年金相はクロイー・スミス氏、教育相にはキット・モルトハウス氏がそれぞれ決まった。

ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)推進派でジョンソン氏とも近く、早くからトラス氏を支持したジェイコブ・リース=モグ氏は、ビジネス・エネルギー・産業政策相に就く。 財務首席政務次官のサイモン・クラーク氏がレベリング・アップ(平準化、地域活性化)担当相、アン=マリー・トレヴェリアン国際貿易省は、運輸相になる。

環境相はラニル・ジャワワーデナ氏、法相はブランドン・ルイス氏が務める。ナディム・ザハウィ財務相は、ランカスター公領担当相および政府間関係担当閣外相に決まった。

トラス内閣の初閣議は7日朝に予定されている。

最初の電話は

首相になってトラス氏がかけた最初の電話は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領へのものだった。

首相官邸によると、両首脳は「プーチンの戦争機械への軍資金を途絶えさせる」必要性を話し合った。

首相はさらに、ジョー・バイデン米大統領とも電話で協議し、両国の「特別な関係の変わらない力強さを振り返った」と、官邸は説明した。

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<解説> クリス・メイソンBBC政治編集長

Analysis box by Chris Mason, political editor

新しい首相の最初の演説は、その後のどの発言よりも、本人がどのような首相になるのか、その形を定めるものだ。

トラス氏の演説は、国への自己紹介だった。閣僚を長く務め、政界ではよく知られていても、それ以外ではあまり知られていない人なだけに。

経歴はあまり有名ではないが、確たる信念をもつトラス氏は、率いることになったイギリスという国を、語ろうとした。いかに胆力と勇気がある国か。トラス氏はさらにイギリスには「大志を抱く国」になってもらいたいのだとも述べた。

2019年総選挙で保守党に大勝をもたらしたマニフェストの内容に、この夏の党首選でトラス氏が公約してきたことを足し合わせた内容の演説だった。

病院や学校を建て、道路や通信のブロードバンドを整備するという強い意志は、かつて前任のジョンソン氏が「レベリング・アップ」と呼んだ政策に(そのスローガンは使わないまでも)よく似ている。

そして減税と光熱費支援は、トラス氏自身が党首選で繰り返してきた公約だ。

新首相は数々の巨大な課題に、直ちに取り組まなくてはならない。光熱費危機への対応は、8日にも発表される。

その前には閣僚を決めて、7日には下院で初の首相質問の時間を迎える。

国の統治という厳しい仕事が始まる。

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