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Tuesday, February 20, 2024

Google検索して上位に出る有名雑誌のレビュー記事は信頼性が低いかもしれない、その理由とは? - GIGAZINE(ギガジン)


特定の製品を買う前に、Googleで検索してその評価を知るため、さまざまなレビューサイトを参考にするという人は多いはず。レビューサイトのHouseFreshが「Googleの検索結果に登場するレビューの信頼性が、有名雑誌や有名メディアによって下がっている」と訴えています。

How Google is killing independent sites like ours - HouseFresh
https://housefresh.com/david-vs-digital-goliaths/

Googleは2021年4月に、「自身の体験や独自の調査結果に基づいたレビューを扱うコンテンツの評価を上げる」というプロダクトレビューアップデートを発表しました。

2021 年 4 月の Google 商品レビューの更新情報についてクリエイターが知っておくべきこと  |  Google 検索セントラル ブログ  |  Google for Developers
https://developers.google.com/search/blog/2021/04/product-reviews-update

それまでは、特定の製品の評価を知りたくてGoogleで検索しても、その製品に関する情報が大量に検索結果に表示されるため、その中から製品のレビューを探し出す必要がありました。特に大手パブリッシャーのサイトが製品を宣伝するページが多く、実際にその製品を使っているレビューにたどり着けないということもよくありました。しかし、2021年に発表されたプロダクトレビューアップデートによって、製品を実際に使った上でその評価をまとめたさまざまなレビューサイトや記事が検索結果の上位に表示されやすくなりました。

検索エンジン最適化(SEO)の専門家であるリリー・レイ氏は「2021年から2年にわたって、多くのパブリッシャーサイトで損失が続いています。プロダクトレビューなどの新しい収益化戦略が登場し、Googleトラフィックが減少しています。その後、レビューの更新がブームになって、Googleトラフィックは減り続ける一方です」とコメントしています。また、レイ氏はクライアントであるパブリッシャーにプロダクトレビューについて語ったところ、「それは文字通り、当社では不可能です」という答えが返ってきたそうです。

The past 2 years have been lose/lose for so many publisher sites.

Decaying Google traffic = branching out into new monetization strategies, like product reviews

Then boom - the Reviews updates come along and take away that traffic too.

— Lily Ray ???? is on vacation ???????? (@lilyraynyc)


HouseFreshは、「プロダクトレビューアップデートが発表された直後、製品をおすすめする前に実際に時間や労力、資金を費やして製品をテストするサイトやライターに利益がもたらされました」と述べています。


HouseFreshによると、ユーザーが特定の製品についていきなり検索することはなく、実際はおすすめリストから目に付いた製品を検索するケースがほとんど。例えば、「ペットの毛を除去できるような空気清浄機がほしい」と考えるユーザーはまずGoogleで空気清浄機について検索し、そこでヒットした「おすすめの空気清浄機まとめ」といったページにたどり着き、そこにリストアップされている製品を再びGoogleで検索するわけです。プロダクトレビューアップデートによって、本来であればHouseFreshのような独立系レビューサイトが検索結果上位に表示されるようになるはず。しかし、近年はそういった動線からのトラフィックも減っているそうです。

HouseFreshは、SEOによって有名雑誌や有名メディアが実際に製品をテストしていないにもかかわらず、あたかもレビューしたかのように装って製品をおすすめするページを作成していると主張しています。

プロダクトレビューアップデートの対象となるサイトであるかどうかは、手動チェックによって確認されているとのこと。しかし、問題となるサイトはこうした手動チェックをかいくぐるために、ページ内に「厳格なテストプロセス」「レビューチーム」「対象分野の専門家」「レビュー方法」をまとめた内容を掲載しているとのこと。しかし、掲載されている写真は「巻き尺を持っている人」「大量の付せんが貼られた製品」「科学的なイメージを想起させるようなクリップボードを持つ人」のもので、具体的に製品をレビューしているものはほとんどないそうです。

例えば「ペット用空気清浄機」を英語で検索した時にヒットするトップ10件が以下。そのほとんどが有名雑誌や有名メディアが掲載する記事です。


トップにある「Better Homes & Gardens」はアメリカでも有名なガーデニング・工芸に関する雑誌のサイト。該当ページには、「アイオワ州にある研究室で67台の空気清浄機をテストした」「専門家としてケネス・メンデス氏を招いた」と書かれているものの、製品レビューは書かれておらず、テストデータは公開されていません。また、使われている写真はすべて「ヘンリー・ウォートック」という人物が撮影したと書かれています。


HouseFreshによると、Better Homes & Gardensはプロダクトレビューアップデートが発表されるまでは空気清浄機レビューに関する記事を掲載したことがなく、発表直前の7月3日に「空気清浄機のおすすめトップ10」という記事を発表していたのみ。それが、プロダクトアップデートレビュー施行直前の7月26日に突然「38台の空気清浄機をレビュー」という記事を発表したとのこと。

さらに、Better Homes & Gardensが「小さい部屋におすすめ」として紹介した空気清浄機は、虚偽広告に対する集団訴訟が行われたほか、レビューサイトのWirecutterConsumer Reportsで酷評されていたものでした。実際にHouseFreshが問題の空気清浄機をテストしたところ、「テストルームから煙を除去すると、3分の1の価格帯のものと比べて3倍の時間がかかった」「信じられないほど動作音が大きく、最高速度だと88dbの騒音が発生した」「6カ月ごとのフィルターの交換には99.99ドル(約1万5000円)の費用がかかる」「最高速度で61Wもの電力を消費する」といった問題点が見つかったそうです。

そして、検索結果上位に表示されていた他のサイトでも、この問題の空気清浄機がおすすめされていたとのこと。さらに、ヘンリー・ウォートックなる人物が撮影した写真が使われていたり、専門家にケネス・メンデスを招いたという文言が掲載されていたりと、多くの共通点が見つかったそうです。

さらに、ヘンリー・ウォートックが撮影したという写真を見ると、まったく異なるサイトであるにもかかわらず、同じ場所で同じ人物が製品を使っているものだったとのこと。


そして、検索結果上位に掲載されていたBuzzFeedに至っては、酷評されていた空気清浄機をおすすめしていただけでなく、レビュー部分はAmazonから引用していたことが判明。


加えて、オンライン掲示板サイトのRedditに「ペット用の空気清浄機で一番いいのは何ですか?やはりダイソンが一番なのでしょうか?」という投稿があったのですが、BuzzFeedの記事が公開された直後に大量のコメントがついていたとのこと。


このコメントの中には、検索結果に表示されるような偽レビューページに書かれている文言をそのままコピーしたようなサイトのリンクも埋め込まれていたそうです。


なお、このコメントをつけたRedditユーザーのプロフィールをクリックすると、アカウントが停止されていました。


HouseFreshは、問題の空気清浄機をおすすめしている「Better Homes & Gardens」や「Popular Science」などの有名雑誌はすべて同じ投資企業が親会社であると指摘し、減少する広告収入を補うために雑誌の出版社が、投資会社傘下のデジタルメディア企業とアフィリエイトマーケティング契約を結んでいる可能性を示唆しました。

Googleは、経験(Experience)・専門知識(Expertise)・権威性(Authoritativeness)・信頼性(Trustworthiness)の4つを「EEAT」と呼び、コンテンツの評価軸にしています。しかし、上記のような偽レビューページは有名な雑誌やメディアブランドに乗っかって展開されているため、HouseFreshのような独立系レビューサイトよりも高く評価されてしまうという問題があります。投資会社やデジタルメディア企業は、長年培ってきた雑誌のブランドに乗っかって特定の製品を宣伝しているだけだとHouseFreshは主張しています。

HouseFreshは「プロダクトレビューのシステムは、人々が最終的に『多数の製品やサービスなどをまとめただけの薄いコンテンツ』にたどり着かないようにすべきものではないでしょうか。Googleが永遠にゴールキーパーであるわけではありませんが、今はGoogleがゴールキーパーです。ボールは大手メディアサイトのコートにあります」と述べました。

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