バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンさんに有名な言葉がある。「私は9千回以上、シュートを外した」▼ジョーダンさんも多くの失敗を重ねている。「約300の試合で敗れ、自分に任された決勝シュートは26回外した。私は何度も何度も失敗した。だから、成功した」▼かつての名力士の訃報に、同じ「サンパチ(昭和38年)」生まれのジョーダンさんの名言を思い出した。あのソップ型力士の生涯通算敗北数は旭天鵬に次いで歴代2位の938敗(860勝)。数多くの敗北の苦みを知り、そしてまた立ち上がった力士である。元関脇寺尾の錣山(しころやま)親方が亡くなった。60歳。同じ「サンパチ」の身はうなだれる▼次から次へと繰り出される張り手が目に浮かぶ。小気味の良い突き押し相撲と様子のよさ。若い女性ファンが相撲部屋へと足を運ぶきっかけを作った力士の一人でもあろう▼「井筒3兄弟」の末っ子。上2人の鶴嶺山、逆鉾とは違い、子どものころは相撲に興味を示さなかったそうだが、角界入りを望んでいたとされるお母さんが亡くなったことで入門。寺尾は母親の旧姓である▼苦き938敗は大きな勲章でもあろう。長く土俵にとどまらなければたどり着けない数字である。「今日一日の努力」。座右の銘だそうだ。39歳まで現役を続けた「鉄人」。その若さで、次の「一日」がやって来ないのがつらい。
関連キーワード
おすすめ情報
からの記事と詳細 ( <コラム 筆洗>バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダンさんに有名な言…:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞 )
https://ift.tt/410cGPi
No comments:
Post a Comment