映画『死霊館 エンフィールド事件』のベースにもなった、イギリスのエンフィールドで起こった世界でもっとも有名なポルターガイスト事件。現場は一体どんな様子だったのか? 残された250時間以上の音声記録と、当時を知る人達へのインタビューをもとに、事件を再現して映像化するApple TV+オリジナルシリーズ「エンフィールドのポルターガイスト」が現在配信中だ。監督が本シリーズについて語ったインタビューをご紹介する。
1977年のエンフィールド。母と子4人で暮らすとある家で、物が浮いたり家具が動くなど様々な怪現象が発生した。ポルターガイスト事件としてはもっとも長く詳しく調査され、その音声記録が多く残されている事件だ。監督を務めたジェリー・ロースウェル監督は、事件が起きた77年当時と本作の始まりについて、こう振り返っている。
「この事件のことはよく覚えています。イギリスで最大の発行部数を誇る新聞の1面トップを飾ったニュースでした。当時のティーンエイジャーはみな、あの事件に動揺したと思います。あれから45年経ち、プロデューサーのアル・モローと私は、調査員のモリス・グロスがあの家で録音した250時間分のテープが残されていることを知りました。それがプロジェクトの出発点となると考え、私は興奮しました。音には常に曖昧さがあり、未知のものを扱う作品にしっくりくると感じられるからです」
“従来のドキュメンタリー”からも“従来のホラー”からも逸脱したハイブリッドホラー
ロースウェル監督は「僕が跳びはねる理由」などドキュメンタリー作品を多数手掛けてきた。しかし本シリーズは、通常のドキュメンタリーとは趣が異なる。
「このシリーズは、本物のオーディオ録音と、それに解釈を与えるビジュアル表現とを組み合わせたハイブリッド形式であり、従来のドキュメンタリーからも、従来のホラーからも、まったく逸脱しているのではないかと思います。リスキーだと考えてもおかしくないアプローチに対して Apple TV+は非常に協力的で、編集に関してかなり自由度を与えてくれました。
このシリーズの監督を務めるという体験は、過去に長編ドキュメンタリーを手がけた時とはまったく別物でした。家を再現し、その空間で本物の音声アーカイブを再生し、それに合わせて俳優がリップシンク(※口の動きと台詞を合わせ演じること)するという形式を選択したため、制作プロセスは非常にテクニックを要するものでした。アドリブも取り入れて臨機応変に撮影する通常のドキュメンタリーとはまったく異なり、撮影を開始する前に何もかもきっちり決めておく必要がありました」
“超常的なことが起こりそう”という予感こそが怖い
ホラー作品を手掛けるのは初めてだったというロースウェル監督は、自身が怖いと感じる要素を本作の演出にも取り入れたという。
「私たちの出発点は1977年から78年にかけて録音されたテープですが、リールが回転する時のシュルシュルというテープの音には、それ自体ぞっとする雰囲気がありました。
このシリーズでは、大部分の超常現象はカメラに写っておらず、証言によって語られています。私は出来事そのものと同じくらい、それらを語る人々の物語に興味がありました。“ジャンプスケア”などの演出や、亡霊を映すようなありふれたホラーの常套手段を避け、普通の生活の中に潜む不気味さ、自分の肩越しのよく見えない場所に、見えない何かが潜んでいるような感覚を作り出そうとしました。多くの場合、超常現象そのものよりも、“超常的なことが起こりそう”という予感の方が怖いものだからです」
そして最後に、日本のホラーファンに向けて「みなさんがこのシリーズを観てくださることに心から感謝します。私とは異なる文化を持ち、語り継がれてきた超常現象も異なる日本のみなさんが、この作品をどのようにご覧になるか、大変興味深いです」とメッセージを贈った。
Apple TV+「エンフィールドのポルターガイスト」配信中
予告編 ※日本語字幕無し
画像提供 Apple TV+
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