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Wednesday, October 26, 2022

『Age of Empires』:コミュニティが支えるeスポーツシーン - Red Bull

1997年にリリースされた第1作『Age of Empires / エイジ オブ エンパイア』(以下、『Age of Empires』)が高く評価されたあと、このシリーズは25年に及ぶ進化、アップグレード、思い出、記録の歴史を誇るまでになった。

不鮮明だったが個性が際立っていた初期から鮮明で美しく再現されている現在までの間に、『Age of Empires』は最も有名なリアルタイムストラテジー(RTS)のひとつにまで成長し、いくつもの賞を受賞しながら、人生を通じて楽しむファンを数多く生み出し続けてきた。

「eスポーツ」と言われて真っ先にイメージするのは、走り回って撃ちまくるFPSや大観衆がスタジアムを埋めているMOBAだろう。しかし、FPSやバトルロイヤルがeスポーツ圏内で順調に成長している中、『Age of Empires』シリーズもゆっくりとだが着実にeスポーツにおけるRTSの居場所を作り上げてきた。
このシリーズはeスポーツに新たなエナジーを加えており、エキサイティングなコミュニティ主導のトーナメントと【Red Bull Wololo】のようなメジャーイベントが混在するひとつのシーンが存在する。

しかし、どうやって90年代の地味なビデオゲームがeスポーツのビッグタイトルの仲間入りを果たしたのだろうか? この成長の大きな理由のひとつは、マイクロソフトが『Age of Empires』シリーズとその未来を見守るためだけに創設した開発スタジオWorld’s Edge Studioによる資金投入とサポートだ。

この少数精鋭の開発チームは2019年に立ち上げられたあと、『Age of Empires』の開発を積極的に進めながら、活気あるファン主導のeスポーツシーンへの資金投入とサポートを行っている。

そこで今回は、World’s Edgeのスタジオビジネスリードを務めるWill McCahill(ウィル・マケーヒル)に『Age of Empires』シリーズをインターナショナルビッグタイトルに育て上げるまでのプロセスと、マイクロソフトとシリーズのグラスルーツコミュニティの間の複雑に絡み合った関係について話してもらうことにした。

始まったばかり

マケーヒルは、World’s Edgeの成功の理由としてスタジオで働くスタッフの多くが『Age of Empires』に精通していることを挙げている。「私自身も『Age of Empires』の長年のファンです。子供の頃のお気に入りのゲームでした。両親のところに『Age of Empires II』を手に持っている小学校2年生の私の写真がありますね」

World’s Edgeは最初から今の形に整っていたわけではないが、徐々に『Ages of Empires』ファンのグループとなり、現在もこのゲームを1日を終える儀式のようにプレイしている。

「2015年後半の時点では、『Age of Empires』シリーズはXbox Global Publishingの一部で、専業の開発スタジオは存在していませんでした。ですが、2019年にWorld’s Edgeが立ち上がり、世界中のパートナーたちと組んで『Age of Empires』シリーズをファンのために成長させることに専心するようになりました」

「このような経緯で私がビジネスリードを担うようになったのですが、今でもプレイしていますよ。私のチームは週に数回集まって、午後4時半から終業まで『Age of Empires』をプレイしているんです」

World’s Edgeが立ち上げられたとき、『Age of Empires』シリーズのeスポーツシーンはまだ小さく、マケーヒルたちは普通とは違う環境で開催されているトーナメントをサポートすることに時間を費やしていた。マケーヒルが説明する。

「まず、私とコミュニティチームがマイクロソフトの他のチームから予算を確保しました。『Age of Empires』で動きがありますとアピールしたのです。コミュニティがトーナメントの準備を進めていて、誰かのアパートで開催される予定だと話すと、多くの人が訝しがりましたが、必ず大きな展開に繋がって世間に受け容れられるようになるのでどうか信じて欲しいと頼み込みました。すべてはここから始まったのです」

このトーナメントが何なのか不思議に思っている人のために説明すると、マケーヒルが言及しているのは、かの有名な【Nili’s Apartment Cup】シリーズだ。

ハイデルベルク城は【Red Bull Wololo V】の会場としても使用された

© Julian Schilase/ Red Bull

マイクロソフトが『Age of Empires』シリーズのトーナメントに指図することはありません。あくまでコミュニティ主導です

ウィル・マケーヒル

コミュニティ精神

マケーヒルは、『Age of Empires』シーンを取り巻くコミュニティはマイクロソフトが参加する前からすでに自分たちで資金を調達し、自分たちでeスポーツトーナメントを運営していた。

「私たちより前のシーンの状況を見てみると、すでに賞金総額110,000ドルのトーナメントが開催されていました。マイクロソフト抜きでです。ですので、私たちは “いくらか予算を確保できたので賞金の足しにしてください” と申し出ただけでした。彼らは自力でコミュニティを育てていったのです。マイクロソフトの資金提供は、コミュニティがすでに進めていたことが自然に呼び込んだ結果だと思います」

このマイクロソフトと『Age of Empires』コミュニティの共生関係は継続され、すぐにより大規模なトーナメントが開催されるようになっていった。しかし、マケーヒルは『Age of Empires』シリーズと他のeスポーツタイトルとの違いは、前者が今もコミュニティの有機的な成長と資金調達に軸足を置いているところにあるとしている。

「マイクロソフトが『Age of Empires』シリーズのトーナメントに指図することはありません。あくまでコミュニティ主導であり、私たちはガイドとサポートを行うだけです」

このアプローチは『Age of Empires』のトーナメントだけではなくコミュニティ全体のサポートにも適用されている。マケーヒルは次のように説明している。

「注目されているストリーマーたちに資金を提供するときも、“あなたたちがやっていることが好きなので、どんどんやってください” と伝えるだけです」

「とはいえ、大規模な公式イベントを一切開催しないわけではありません。【Red Bull Wololo: Legacy】は私たちが関わっているビッグイベントです。ですが、それでもその運営方法は他のeスポーツタイトルとは異なります。関係者全員がコミュニティのメンバーで、『Age of Empires』シリーズの配信を長年続けています。ですので、イベントから受ける印象が大きく異なるのです」

夢にも思わなかった

コミュニティが備えている国際性はマケーヒルにとって嬉しいサプライズだった。本人は次のように語っている。

「世界中にコミュニティが存在していることに喜びを感じています。とてもクールですよね。たとえば、ベトナムのコミュニティは独自のシーンを作り上げています」

「彼らはeスポーツチームを用意していますし、地元企業をスポンサーにつけています。彼らは配信が今のような人気を得る前から活動しており、広告などを打ちながら自分たちで活動を支えてきました。このような世界各地のコミュニティの献身度の高さには常々驚かされています」

マケーヒルとチームは『Ages of Empires』を心から愛しており、コミュニティの成長もつぶさに見守ってきたが、それでもこのシリーズのeスポーツシーンが誇る今のサイズは想定できていなかった。

「夢が叶ったようなものです。ここまで成長するとは思ってもいませんでした。2013年にHD版がリリースされ、友人たちと興奮しながらプレイしていたファンとしては、この成長は想定外です」

「現在は大規模なトーナメントが開催されていますし、を借りられるまで成長しました! まさか『Age of Empires』シリーズのビッグイベントを開催するために城を借りるようになるとは。夢にも思わなかったことです」

2022年10月21日から29日までドイツ・ハイデルベルク城で【Red Bull Wololo: Legacy】が開催中。詳細はこちら>>

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