9月23日、府中市美術館で「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」が開幕しました!
本展はアーツ・アンド・クラフツ運動の中心となったモリスの作品をはじめ、やがてアメリカにまで広がったその活動を約150点の作品から展覧します。
モリスのさまざまなデザイン
産業革命で大きく変化した19世紀後半のイギリス。便利になった反面、自然が失われ、人々の生活も機械的になっていきました。これを危惧したモリスは「すべての人の生活に美を」と暮らしのデザインに踏み出します。会場ではモリスが手がけた様々なデザイン全20点から、彼の哲学を紐解きます。
「いちご泥棒」も
当時流通していた粗悪品が許せなかったモリスは、素材や製法にもこだわりました。 かの有名な「いちご泥棒」もそのひとつ。この作品には当時は大変な手間がかかったインディゴ染めが用いられています。 このようなモリスの美意識は、壁紙や布、そしてブックデザインに至るまで貫かれました。
アーツ・アンド・クラフツ展覧会協会
モリスの理念に共感した若い世代の建築家やデザイナー達は「アーツ・アンド・クラフツ展覧会協会」を設立し、さらなる啓蒙と芸術と工芸の向上に努めました。 ここではウォルター・クレインやC・F・A・ヴォイジーなど主要メンバー5人の作品を通して協会の活動を紹介します。
「すべての人の生活に美を」
アーツ・アンド・クラフツ運動は次第に商会やメーカーにも波及していきました。「リバティプリント」で知られるリバティ商会などが参入することで、より多くの人々に美しい商品を提供することに成功します。モリスの掲げた「すべての人の生活に美を」の理想が、次第に現実的になっていきました。
フランク・ロイド・ライトらアメリカのアーツ・アンド・クラフツ運動
イギリスで興ったデザインの革命は、アメリカへと広がります。「すべての人に美を」という民主的な芸術は、アメリカの風土に合った美意識でした。 展覧会の終盤ではティファニー・スタジオやフランク・ロイド・ライトら、アメリカにおけるアーツ・アンド・クラフツ運動の旗手を取り上げます。
前述の通り、産業革命によって人々から創造性が失われることを危惧したモリスは、「すべての人々の暮らしに美を」備えるために、「良質なものを職人の手仕事で」普及させたかったのですが、そのやり方では限界があることに頭を悩ませていました。
ところがアメリカでのアーツ・アンド・クラフツ運動は、手工芸に限らず、機械を導入することの重要性にも目を向けていました。これは図らずもモリスがこの運動を始めたきっかけである産業革命の「手頃な価格で供給=機械で大量生産」という構造をなぞることになってしまうため、当初の理念に矛盾します。
とはいえ、すべての人々の暮らしに美をという目的は引き継がれる──このように本展では、モリスの理想が抱える相反する問題についても触れていました。
「体験」も充実
さて、府中市美術館といえば、展覧会出口で体験できるプチワークショップが名物。今回はスタンプで作るオリジナルしおりが登場。他にもダウンロードして作るブックカバーなど、モリスファンにはたまらないプログラムが用意されています。
そして展覧会期間中はソファが!
オリジナルグッズやモリステーマのカフェメニューも
気になるミュージアムグッズ、今回はいつものショップに加えてもうひとつ特設会場が登場!本展オリジナルグッズはポストカードとA5クリアファイルです。
また、カフェではモリスをテーマにしたメニューも。 モリスにならい、自分の生活ももう少し美しくしてみようか…そんな気持ちになる展覧会です。(ライター・虹)
からの記事と詳細 ( 【レビュー】「アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで」府中市… - 読売新聞社 )
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