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Wednesday, August 10, 2022

世界一有名な「おかっぱ頭」 アナ・ウィンターのボブを整える男 | アンドレアス・アナスタシスのプロフェッショナリズム - courrier.jp

アナ・ウィンターの専属スタイリスト、アンドレアス・アナスタシス  Photo by Mark Elzey / The New York Times

アナ・ウィンターの専属スタイリスト、アンドレアス・アナスタシス  Photo by Mark Elzey / The New York Times

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米「ヴォーグ」の鬼編集長ことアナ・ウィンターのトレードマークは、あの一糸乱れぬ髪型だ。いつ見てもパーフェクトな“おかっぱ頭”を作り出す彼女のヘアスタイリストに聞いた。その完璧主義について、2人の信頼関係について、そしてウィンターは家でもサングラスなの?


毎朝、彼女の家で20分間


この6年間、アンドレアス・アナスタシスは平日の毎朝8時きっかりにアナ・ウィンターの家に着くように、自宅から歩いて出かける。ファッション界で、いやもしかしたら世界で最も有名なあのボブヘアを手入れするためだ。

ウィンターの家はグリニッジ・ビレッジにある。そこで、カット、カラーリング、スプレー、ブロードライ、スタイリングなど日によってメニューは異なるが、所要時間は約20分。

そのウィンターの家からほど近い「キャリー・ブラッドショーの家」の向かいには、アナスタシスが自身の名を冠したヘアサロンがあり、彼は週のうち2日はそこで顧客に対応する。ちなみに、サロンに置いてある雑誌は「ヴォーグ」だけだ。

一方、ミートパッキング・ディストリクトにある自宅のロフトでは、アナスタシスはまた別の作業に従事しているのだが、それについて知る人は少ない。

アナスタシスの家を訪ねたところ、壁から石膏製の筋骨たくましい背中や脚が突き出していて、さながらギリシャ神話の戦士の亡霊が現れたかのようだった。そばの台座には、彼の友人や恋人を型取りした胸部や臀部、拳、腕、腹部などが乱雑に置かれている。

いずれも、これからこの47歳の芸術家の彫刻作品の一部となるのだろうが、完成した胸像の多くはベッドルーム横のスペースに収納されていた。

この部屋だけを見れば、アナスタシスに芸術以外の仕事があるとは、誰も思わないだろう。「ロンドン」と名付けられた愛犬のヨープーの毛がきれいに結わえられていることを別にすれば、アナスタシスが美容師であることも、そもそも仕事をしているのかさえわからない。

それもそのはず、自身のインスタグラムに投稿する奇妙な写真を別にすれば、アナスタシスは自分についてほとんど語らないからだ。


「それは僕たちだけの秘密です」


1988年からアメリカ版「ヴォーグ」の編集長を務めるウィンターは、良くも悪くも常に世間の注目を集めてきた。

メリル・ストリープが、ウィンターをモデルにしたファッション雑誌の鬼編集長を演じた2006年の映画『プラダを着た悪魔』は大ヒットを記録。さらに2022年にはウィンターの伝記『アナ』が刊行され、彼女がレストランでランチに注文する「“トマト抜き”カプレーゼ」という変なこだわりまでゴシップとして広まった。

ウィンターをよく知る人々は、彼女のこうした細かいこだわりを理解している。そうしたこだわりこそが、自分たちを彼女の友人や側近たらしめていることも。

「アナは、誰よりも忠実な人です」と、彼女の他にはセレブの顧客を持たないアナスタシスは言う。「彼女の自宅に行くとわかるけど、そこにいるのは長年彼女のところで働いている人ばかりです」

コロナ禍が始まった当初、誰も美容院に行こうとしなかった頃も、アナスタシスは以前と変わらずウィンターの家に通った。変わっていたのは、彼が防護服を着用していたことぐらい。

アナスタシスは、ウィンターがパーティーなど人前に出るたびに、そこで撮られた画像を検索しては、彼女のボブが乱れていないかを確認する。

アナ・ウィンターはどこに行ってもカメラに囲まれるファッション界の大物  Photo by Ilya S. Savenok / Getty Images

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