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Thursday, August 25, 2022

著名なBBC元司会者、自分の発言へのBBC対応を批判 政府を「安心させようとしたのか」 - BBCニュース

Emily Maitlis

元BBC司会者として有名なエミリー・メイトリス氏が24日、イギリス政府に関する番組内での発言をBBC幹部から強く非難されたことについて、「理屈に合わない」と講演で述べた。さらに、政治的圧力の高まりがメディアによる自主検閲につながっていると批判した。

メイトリス氏をめぐっては2020年5月、ニュース番組「ニューズナイト」の番組内で、ボリス・ジョンソン英首相の上級顧問を当時務めていたドミニク・カミングス氏に対する発言が問題となった。

この発言についてBBCは当時、メイトリス氏が同社の中立性ガイドラインに違反したとしていた。

現在はBBCを退社しているメイトリス氏は、BBCが「一切の適正手続きを経ずに」自分の発言をガイドライン違反だとしたのは、政府を「安心させるためのメッセージ」だったかもしれないと語った。

これに対しBBCの広報担当は、「BBCは適切な中立性と正確性を最も重視しており、あらゆる報道にこの原則を適用している」と説明した。

「以前にも『ニュースナイト』について明示したように、我々は首相官邸や政府からの圧力の結果、行動を起こしたわけではない。そうではないかのように示唆するのも、間違っている。BBCは同番組が編集基準に違反していたと判断し、その決定は今も有効だ」と、BBC広報は述べている。

政府を「安心させる」ため

エディンバラで開かれた毎年恒例のテレビ・フェスティバルに登壇したメイトリス氏は、「なぜBBCは、一切の適正手続きを経ずに、即座に公然と政府報道官の意見を認めるようなことをしたのか」と基調講演で話した。

また、番組の翌朝、「首相官邸からBBCニュース上層部に苦情の電話があり」、その後あっという間に、メイトリス氏の発言が「適切な中立性」のルールに違反していると判断されたと主張した。

「見事なほど手続きに厳格なことで有名な組織としては、理屈に合わない。それとも、政府に直接、安心させようとメッセージを送ったのか」

「このことをBBC理事会の文脈に当てはめてみる。BBC理事会には現在、かつて首相官邸の情報操作担当だった人物がいる。この人はかつて、BBCの競合相手GBニュースの元顧問でもあり、今でも保守党の関係者として現役だ。その人が今や、BBCが中立かどうかを決める立場にある」

これは、テリーザ・メイ前首相のコミュニケーション主任だったサー・ロビー・ギブのことを指した発言だと思われる。

メイトリス氏はまた、当時の騒動の最中にカミングス氏自身から連絡があり、応援の言葉をかけられたと明らかにした。

カミングス氏もジョンソン首相も当時、カミングス氏の行動はロックダウン違反ではないと主張していた。

メイトリス氏の番組内での発言について、BBCには当時2万件以上の苦情が寄せられた。

Emily Maitlis presenting Tuesday's Newsnight

「自主検閲」を批判

この基調講演の中でメイトリス氏は、ポピュリスト(大衆主義者)の政治家による攻撃に報道機関が適切に対処しなければ、視聴者の信頼を失いかねないと指摘した。

また、大西洋の両岸で近年、ジャーナリズムに対する攻撃が広がっており、その中でメディア組織は「自分たちがいかに報道機関や記者として公正かを証明するために、(批判に対して)引き下がったり、謝罪さえするようになっている」と述べた。

メイトリス氏は、多くのジャーナリストが、バランスを取っているように見せたり、批判を回避するため、自主検閲を行っていると指摘。

「ポピュリストのレトリックがジャーナリストの信用を落とすために使われており、それが洗練された『ソフトな検閲』に変わっている」と述べた。

同氏はブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)を例に挙げ、BBCや他のメディアがブレグジットの影響に真正面から取り組むことを恐れているのなら、それは「イギリス国民に対する陰謀のように思える」とも話した。

表面的な「バランス」

「ニューズナイト」のブレグジット報道にも触れ、メイトリス氏は「番組のプロデューサーたちは5分もあれば、ブレグジットについて心配するエコノミストを60人は見つけられただろう。一方で、ブレグジット推進派のエコノミストを探しても、5時間かけてやっと1人だ」と説明。

「だが結局、あの番組では単純に、反対派と推進派を1人ずつ出演させた。番組側の努力は同じではなかったのに、それをバランスと呼んで、視聴者に提供した。これはバランスではない」と述べた。

Former President Donald Trump

画像提供, Getty Images

メイトリス氏は、こうした「近視眼的なジャーナリズムの形」を「どっちもどっち主義」と呼び、メディアが「必死になって」、「表面的なバランスを取ろうとした結果、より深い真実をぼかしてしまっている」と指摘した。

メイトリス氏は、ドナルド・トランプ前米大統領にも言及した。

「私たちはすでに『フェイクニュース』という言葉の意味を、こう理解している。トランプ氏はこの表現を使って、対象の信頼をわざと失わせ、おとしめようとしていたのだと。なので、その批判が当を得ているのか必死になって悩んだりしないようにしよう」と述べた。

「こうしたやり口は、古臭くて少し残念な、悪意のある友人のようなものだ。そう認識すれば、まともに相手にする必要などないと、きっぱり指摘できるようになる」

メイトリス氏は、自分のような現代のジャーナリストは「馬鹿げたことの正常化」を助けてしまったと付け加え、ジャーナリストは今後「活動家になる必要はないものの、お人よしの傍観者として問題に加担するべきでもない」と述べた。

メイトリス氏は今年2月、BBCの北米編集長を務めていたジョン・ソープル氏と共に退社を発表。共同でラジオ局LBCのポッドキャストと番組を立ち上げた。

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