春といえば、新しいことを始めたくなる季節。新年に「よし、今年こそは!」と思い立ったものの、続かなかった、という人も、日本では新年度が4月に始まるため、再始動しやすいといえましょう。
チャレンジしたい新しいことの筆頭に挙げられることもある英会話。実践的に、つまり現地で使うなどしないとなかなか上達しないといわれていても、しょっちゅう旅行できるわけでもないことから、あきらめてしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。
そんな人にぴったりなのが、始まったばかりのイーオンの英会話レッスン「AEON VR」です。どのような内容なのでしょうか。パイロットレッスン開始を発表したタイミングで体験することができましたので、その様子を紹介します。
AEON VRとは?
AEON VRは、イーオンと米カリフォルニアのImmerse(イマース)が開発したVR英語学習プラットフォーム『immerse』を使った英会話レッスンです。
受講者は、VRヘッドマウントディスプレイ『Meta Quest2』を装着し、飛行場で搭乗手続きを行う、ファーストフード店で食べたいものを注文する、有名な観光地で出題されるクイズに答えるといったことをVR内で行いながら、英語力を身に着けていきます。
実際に、効果があるのでしょうか?
充分なウォーミングアップがあるからVR初心者でも世界に入りやすい
体験会は、パイロットレッスン実施校であるイーオン銀座校で開催されました。
専用教室には、大きなモニターがひとつ。そして、生徒たちそれぞれの机にMeta Quest2とハンドコントローラーが置いてあります。
Meta Quest2をかぶる前に、ハンドコントローラーの使い方をレクチャーしてもらいました。Engadgetの読者であれば、使い方がわからないということはなさそうですが、VRヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)初心者にとっては必要な準備です。
説明は日本語で。内容は、コントローラーの持ち方や、それぞれのボタンをどの指で操作するのかについての説明、また自分のアバターを前進・後進させたり、回転させたりする操作方法など。説明に合わせて、生徒たちが実際に操作をし、うまくできていないようであれば優しいフォローが入ります。
レクチャーが終わると、いよいよレッスンスタートです。ここからは、全て英語で行われます。
それぞれがHMDをかぶり、アバターの姿で仮想空間にダイブ。アバターは、今回の講師であるJohnny Fu先生(以下、ジョニー先生)がそれぞれの生徒にぴったりなものを選んでくれています。
とはいえ、アバターになってしまうと誰が誰だか判別しづらくなってしまいます。それで、まずは自己紹介を行っていきます。
最初にジョニー先生がアバターの姿で名乗り、次いで先生が「メガネをかけた女性」「黄色い服のジェントルマン」という具合にそれぞれのアバターに名乗るよう指示していきます。指示された人が自分の名前を言うと、先生がVRとつながったPCで名前を入力していきます。
名前は、アバターの上に表示されるので、ここからはどのアバターが誰なのか判別できるようになります。
次いで、HMD装着前に受けたレクチャーをもとに、VR内でジェスチャーの練習を行います。サムスティックだけ離した状態でハンドコントローラーを上下に小刻みに振って「いいね!」を表現、両方のハンドコントローラーをぶつけないように気をつけながら左右に振って「拍手」するといった具合です。
移動の練習も兼ねたやり取りも行いました。「好きな色はなんですか?」と先生からたずねられ、色を答えると「では、その色のところへ移動してください」と指示。サムスティックを操作して答えた色のブロックへ移動します。うまくできなくても、先生がサポートしてくれるので安心です。
ジョニー先生の教室で腹ごしらえ
ブロック内に収まったかと思ったら、いつの間にか別の空間へ移動していました。これも、VRだからできることですね。
「AEONのわたしの教室へようこそ」とジョニー先生。VR内のジョニー先生の教室は広く、ちょっとしたプレイルームのようにも見えます。
そして、奥にはケーキやピザ、りんごなど食べ物がずらり。「たくさん楽しみましょう。お腹が空いていませんか?」との先生の一言で、みんなで食べ物のところへ集まります。食べ物のピックアップの仕方、“食べ方”などを教えてもらいます。
口元にうまく食べ物を運べず、下に落ちてしまったものを見て、お互いに笑ったり、「食べるのが上手ですね」などのように自然と会話が生まれます。
腹ごしらえが終わったら、空港でのレッスンです。
空港でチェックインのロールプレイング。もちろん英語で
空港に到着すると、まずジョニー先生から各生徒へ「行きたい国は?」と聞かれます。会話に慣れてもらうため、簡単な質問を繰り返すのが特徴的です。
その後はロールプレイングです。VR内の空港に設置されたホワイトボードには、空港スタッフと乗客の会話が表示されています。「どこへ行きますか?」「預けるバッグはいくつですか?」「窓側と通路側、どちらの席がいいですか?」など。
最初に、ジョニー先生がスタッフ役として質問を読み上げ、続けて生徒たちが乗客役として英語で回答部分を音読。ロールプレイングでのやり取りの概要を把握します。
その後、スタッフ役と客役を割り当てられた生徒たちが同じやり取りを繰り返します。暗記は不要。ホワイトボードを見ながらでもOKです。
空港でのロールプレイングが終わると、いよいよ観光旅行のはじまりです。
それぞれ、イタリア、スイス、ジャマイカ、タイなど行きたい国名を事前に答えていましたが、今回の行き先はニューヨークです。
観光名所で英会話レッスン
到着したのは、年末年始に盛り上がることで有名なタイムズスクエアです。「何が見えますか」という先生の問いに答えたり、空間に突如現れたクイズに答えたりしながら、会話力を身に着けます。
タイムズスクエアにまつわる豆知識も教えてもらえ、気分は“ガイド付きツアー”。ジョニー先生が次にどんなことを言うのだろうと気になって、集中してしまいます。
最後は自由の女神の観光です。実物を目の前にしているような圧倒的存在感に、ついつい拍手やサムズアップ、「いいね」のジェスチャーをしてしまいます。「自由の女神は、どの国からプレゼントされたものですか?」との質問に、みんなで口々に「フランス」と回答するなど、盛り上がったところで、レッスンは終了。メディア向けということで、通常より20分短いものでしたが、最後は指名されなくても答えてしまうほどになっていました。
VRで英会話を学ぶことのメリットについて考えた
体験レッスン後、イーオン 経営戦略本部 マーケティング部 広報グループ 森田繁雄氏は、「通常の英会話レッスンでは想像することを強いられてしまう。例えば、先ほどのような空港でのスタッフと乗客のやり取りをしてみましょう、といったとき、自分の席で想像力を働かせながら英会話にも気を使わなければいけない。しかし、VR内であれば、そのシーンの中に身を置いているし、カウンター越しの会話も可能。なんならコスチュームも瞬時に切り替えられる」と解説しました。
言ってみれば、頭脳を英会話に“全振り”できるわけです。
HMDをかぶることによって得られる没入感も、メリットのひとつでしょう。語学学習のために、留学や長期旅行をしようとすると、時間もお金もかかってしまいます。しかし、VRであれば、国内のAEON校にいながらにして、旅行体験をすることができます。
通常の教室以上に、視覚を通して得られる情報が多く、実際の旅行を経験していなくても、擬似的に体験できることから学んだことを記憶しやすくなるのです。
国内で行えるため、気軽にくりかえしレッスンを受けることもでき、それがさらに記憶を定着させます。
まだあります。それは、羞恥心をかなぐり捨てられることです。
筆者個人の体験ではありますが、少人数制で、しかも何年も同じ英会話クラスに通っている顔見知りばかりがいる中であっても、向かいに人の顔が見えるだけで頭の中が真っ白になり、知っているはずの単語や構文が出てこず、結局、最後の1年は尻すぼみになってしまったのです。
VRであれば、お互いの顔が見えません。それぞれがアバターとしてそこにいるため、緊張することなくコミュニケーションを取ることができました。
質問に答える、ホワイトボードにある文章をみんなと一緒に読む、ロールプレイングをする、など声を出すよう導かれるうちに、いつの間にか求められてもいないのに自分から声を発するようになっていました。
「教室ではノレない」、「緊張する」、「現地ファースト」という人であれば、間違いなくAEON VRでの英会話レッスンは長続きすることでしょう。
AEON VR開始当初は、教室へ行って受講する方法しかありませんでしたが、直近4月8日のレッスンはオンラインで参加できます(ZOOMに接続可能なPCおよびQuest/Quest2所持者向け)。
今年度こそ、実践的な英会話力を身に着けてみるのはどうでしょうか。慣れ親しんだガジェットで参加できますしね!
からの記事と詳細 ( VR留学!? イーオンがはじめた『AEON VR』で実践的な英会話力をゲット - Engadget日本版 )
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