[10日 ロイター] - 米国のシェール生産会社と石油輸出国機構(OPEC)がそれぞれ今週のエネルギー業界の国際会議「CERAウィーク」で展開した主張で、重なった部分があった。求められても増産には飛びつけないという主張だ。それほど遠くない前に価格競争を繰り広げた両者が今、石油価格が1バレル=100ドルを優に上回って上昇する中で、気付いたら同じ立場にいたという構図だ。
シェール開発ブームを満喫する米シェール業者を市場から駆逐すべく、OPECが増産で市場の石油をあふれさせてからまだ10年もたたない。
しかし、米テキサス州ヒューストンの会議期間中の7日、OPECが2017年から主催している恒例の夕食会で象徴的な光景があった。両陣営がレストランの個室に参集し、米国のシェール業者たちがOPECのバーキンド事務局長に「正真正銘のバーネット・シェール」のラベル付きの瓶を贈呈したのだ。シェール革命の発祥の地として有名な米油田の名前だ。バーキンド氏はご満悦で、この出来事を披露しながら今週の会議を後にした。
石油が値上がりすればOPECも米シェール業者も利益が膨らむはずだ。しかし、掘削する側としては、高値で需要が引っ込むことを恐れる。世界の各政府が再生可能エネルギーへの移行計画を推進している中ではなおさらだ。OPECも米シェール業者も掘削に巨額の新規投資をして、増産できるようになった時には価格高騰の危機が過ぎ去っている事態も恐れる。
チェサピーク・エナジーのデロッソ最高経営責任者(CEO)はインタビューで「われわれが企業として避けたいのは、短期的な値上がりを追いかけようとして(増産して)、結局、その増産が無駄になることだ。業界のだれもがそう考えていると思う」と語った。
一方でパイオニア・ナチュラル・リソーシズのシェフィールドCEOは今週、ロイターに対し「われわれにはサウジアラビアの助けが必要だ」と指摘。バイデン政権の方針について、石油禁輸の制裁を米国が科しているイランやベネズエラとの間で石油獲得に向けた合意を試みるのではなく、OPECの盟主サウジに増産を働き掛けるべきだと主張した。シェフィールド氏は、石油価格高騰は石油需要の消失にまたつながる可能性があるとも警告した。
米石油会社は株主から、石油の開発や掘削に支出を増やすよりも自社株購入や配当を求める圧力を受けている。石油大手は新規生産を抑制するとの約束までさせられてきた。
サウジ側では、サウジアラムコのナセルCEOが今週、石油とガスに対する投資減少と、再生可能エネルギーへの投資家の移行が意味するのは、緊急時の世界が増産に動ける余力が需要全体の約2%しかないということだと言い切った。
オキシデンタル・ペトロリアムのボロブCEOも今週、「だれも本当には、今年に大きく増産することが必要になるとは考えていない」と総括。「企業は増産の予算も用意していないし、今ここで急旋回して増産するのは無理」と語った。
掘削に欠かせない機器や設備の不足もある。人手不足も産油コストを押し上げる。チェサピークのデロッソ氏は「新しい掘削リグ1つに数か月待たされることになるだろうし、事業者はそのリグを動かすのに新たな労働者を探しに行かなければならない。油田では労働力が極めて逼迫している」と指摘した。
からの記事と詳細 ( アングル:米シェール業者とOPECに共通点、「増産急がず」 - ロイター (Reuters Japan) )
https://ift.tt/0uelMwG
No comments:
Post a Comment