最近、チャームポイントだった太い眉毛をイメージチェンジし話題になった井上咲楽さんは、国会傍聴に足を運ぶほど政治に興味があることでも知られています。そんな井上さんから見て、コロナ禍で政治に関心を持つ同世代が増えたと感じるそうです。しかし、政治への関心が高まるということは、「平和じゃないからなのかな…」と複雑な思いも吐露します。10月31日に投開票を迎える衆議院選挙に向けて、自身が持つ「投票」への思い、また井上流“選挙の楽しみ方”について聞きました。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
世の中の政治への関心は確かに高まった――けど、それで良かったのだろうか
――井上さんは、今回の衆院選はどこに注目していますか。 井上咲楽: コロナ禍で、世の中の政治に対する関心が高まったんじゃないかなと感じています。実際、大学生の友だちも「ニュースを見ていないと、給付金とかワクチンとかの必要な情報が入ってこない」と言っていて、ニュースを見る人も増えたように思います。先日の自民党総裁選では、それほど政治に関心を持っていなかった子から「河野太郎さんが総理大臣になるの?」と聞かれたこともありました。そういった関心が、今回の衆院選でどれくらい“投票に行く”という行動につながるのか、ということは気になります。 ――コロナ禍で人々の暮らしが政治に近づいたところがありますし、今までの選挙とはどこか空気感が違いますよね。 井上咲楽: そうですね。ただ一方で、政治に興味を持つということがこれでいいのかなと思うこともあります。政治への関心は確かに高まったけど、それってみんなが困っているからなんじゃないかと思うんです。コロナで政治に訴えたいことができたから政治に興味を持ったわけで、平和じゃないから政治に興味を持ったということなんじゃないか、これで良かったんだろうか…と思ってしまいます。
日本は政治について“しゃべりづらい”国
――タレントの立場で政治について語ると、いろいろと誤解されることも多いのではないですか? 井上咲楽: これはものすごくありますね。政治のことをちょっとしゃべるだけで「そういう思想なのか?」と言われることがあるし、“意識高い人”というふうに捉えられることもあります。だから私はSNSでは政治のことは、つぶやかないようにしています。 「政治家になりたいのか」と言われることもすごく多くて、議員さんとかにも「君、そんなに政治の取材してて、政治家になりたいの?」と言われたことがあるんです。政治をやっている人が「政治に関心を持っている=政治家になりたい」って思うというのはどうなのかな。これは嫌だなと思っちゃいますね。 私のような仕事をしている方じゃなくても、「あの子どうしちゃったの?」って見られるのが怖くて政治の話ができないという人もいると思うんですよ。高校生ときは、私も絶対に学校では政治の話はしないようにしていました。政治のことを調べているだけで「意識高い」とか「頭いい」「偉いね」って思われちゃうのですが、それはやっぱり違和感があります。 マイケル・ムーア監督の『華氏119』を見ても思うのですが、例えば、アメリカだと学校での銃乱射事件で友だちが目の前で亡くなって、本当に政治に訴えずにはいられないっていう人がいっぱいいる。その人たちは偉いと思われたいとか、政治に関心を持たなきゃっていう意識で訴えてないですよね。訴えなきゃいられないというくらいに追い込まれているわけです。 だから、日本は「政治に関心持ってて偉いね」って言えるくらい平和なんだなって感じちゃうときもあります。
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確かに
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