瑞々しさに満ちたバンドサウンドと、どこか俯きがちではありながらも、そこには確かな希望が込められた言葉たちを届ける4人組ロックバンド・Organic Call。2017年に活動をスタートさせて以降、積極的に全国各地を廻ってきた彼らが、このたびミニアルバム『箒星、残像を探して』を発表した。バンド初の全国流通盤となる本作には、ミュージックビデオの再生数が100万回を突破し再販の声が高まっていた「朝焼けに染まった街へ」のリマスター版をはじめ全7曲を収録。壮大でエヴァーグリーンな輝きを放つ楽曲達ができるまで、そして彼らがここまで歩んできた道のりについて、平田真也(Vo&G)とカワカミトモキ(G)に話を聞いた。
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■出会って最初のスタジオでほぼ曲作り
──平田さん、カワカミさん、きっつー(Dr)さんの3人が集まったところから始まったそうですが、元々面識があったんですか?
平田:いや、まったくなかったです。僕らは出会い系で知り合ったので。
カワカミ:今の言い方はアレですけど、バンドのメンバー募集サイトで知り合ったんですよ。
──ああ、なるほど(笑)。
平田:僕は青森から千葉に出てきて、大学の友達とバンドをやっていたんですけど、本気でやりたいと思ったときに、そこまでじゃないっていう感じで言われて。僕はやっぱり本気でバンドをやりたかったんですけど、繋がりがなかったんですよね。高校の頃からライヴハウスに出ていたわけでもなかったし、こっちでは友達もゼロだったので。それでメンバー募集の掲示板に書き込んでいたんですけど、ギターとドラムは元々一緒にバンドをやってたんですよ。
カワカミ:うん、ボーカルを探していて。
平田:で、2人が一緒にやっていたバンドのベースの人から連絡をもらって、4人でスタジオに入ったんです。僕はひとり、向こうは3人っていう感じで。それがよかったので、これからやっていこうかということになったけど、1ヶ月ぐらい経ったときにベースの人が抜けて、じゃあこの3人で始めようと。そこからサポートを探してスタートしました。
──そのあとにサポートされていた植木貴士さんが加入されたと。でも、まったく面識のないところから、どう距離を縮めていくのかっていうのは重要ですよね。
カワカミ:そうですね。(平田の)声がどういう感じなのかもわからなかったので、何かわかるようなものがほしいなと思って。で、僕としては「何かわかるものをください」みたいな感じで伝えたんですけど、本人からしてみたら「くれ!」って急かされたように感じたみたいで。
平田:(笑)。それで弾き語りのデータを2曲送ったんですよ。その中の1曲が、僕らが最初に出した「さよならユートピア」で。そこからわりとすぐに曲を作り出したよね?
カワカミ:最初のスタジオがほぼ曲作りだった。
平田:弾き語りで渡した曲を作ってみようっていうところから始まって……今考えてみると変だな(笑)。
カワカミ:確かに(笑)。違和感なさすぎて、今まで何も思わなかったけど。
──普通だったら、最初にちょっとだけ誰かの曲を合わせましょうか?みたいな感じになりそうなものの。
平田:そうですよね?
カワカミ:まだ一緒にやるのかもわからないのに曲を作り出すっていう。でも、俺としてはやるつもりだったんだと思います。最初にもらった弾き語りを聴いたときに、早くスタジオに入りたいと思ったし、俺もバンドができていない期間があったから、その反動もあって楽しかったし。
──平田さんも同じような感覚だったんですか?
平田:僕としては、誰でも良かったわけではないけど(笑)、バンドをやりたいっていう気持ちが勝ったというか。青森から出てきて、知り合いも本当にいなかったし、その当時はバンドをやりたい人をなかなか見つけられなかったんで。だから、とにかくバンドをやりたいと思ってましたね。
──まずはスタート地点に立たないことには、という。
カワカミ:そういう感じにはなるよね。
──最初に曲を作り出すタイミングで、こういう感じにしようみたいな話はされたんですか?
カワカミ:してなかったよね? わりと無我夢中に、でも何かを察しながらというか。
平田:うん。どういう曲を作ろうかという話は、そのときはしてなかった。
カワカミ:その後にちょっとあったとは思うけど。みんながそのときやりたいと思っていた曲が、わりと一緒だったのかも。
──集まって鳴らしたものが自然と今の形に繋がっていった、みたいな。
カワカミ:かっこよく言うとそれですね!
平田:ははははは!(笑) 確かに。
──バンド名はいつ決めたんです?
平田:初ライヴが決まったときに、期日までに(バンド名を)提出しなきゃいけなくて。それによって決まっちゃった感じですね。
──「決まっちゃった」っていう感覚なんですね(笑)。
平田:僕、バンド名を決めるのが嫌いというか。どんなものであろうと、最初に口から出たバンド名って、みんな絶対に違和感でしかないと思うんですよ。たとえば、僕が好きなASIAN KUNG-FU GENERATIONも、最初はめちゃめちゃ違和感だったけど、いずれ馴染んでいくというか。だからぶっちゃけ、何でもよかったんですよね。意味もいらないと思っていたので。
──由来みたいなものも特にはないんですね。
平田:ないですね。下北沢に行ったときに、オーガニックなんとかストアっていうスーパーがあって。なんかOrganicって語呂感いいなと思って、それに合うものって何があるだろうって考えたときに、Call……これでいいやって。
カワカミ:パパパっと決まったね。
平田:逆にそれぐらいのほうがいいなと思ってました。
──個人的には、4人の鳴らしているサウンドであり、楽曲がバンド名を物語っている印象もあったんですよね。「Organic=有機体」というところで、たとえば人間とか自然の景色といったものが目に浮かんでくるし、瑞々しい感じがあるし。そういったこととかも、特に考えておらず。
平田:そうですね。だから、これからめっちゃウソついていこうと思ってます(笑)。
カワカミ:なんでやねん(笑)。
平田:9mm(Parabellum Bullet)って、バンド名の由来をテレビ番組ごとに違うこと話してるんだよ。
カワカミ:そうなんだ?(笑) まあ、それで行くならいいけど。
平田:だから平気な顔して、めっちゃ由来がある感じで言っていこうと思ってます。
──将来すごい数になりそう(笑)。
カワカミ:毎回考えないといけないですからね。
──どんなことを言っていたのか、ゆくゆく全部まとめたいですね(笑)。アジカンや9mmの名前を挙げられていましたが、平田さんは日本のロックが好きなんですか?
平田:そうですね。やっぱり自分も歌詞を書く人間なので。洋楽もいろいろ聴いて影響を受けてはいますけど、聴き心地の良さで好きっていう感じです。ウチはみんな好みバラバラだよね?
カワカミ:うん。僕は有名どころだとSUM41とかELLEGARDENとか、ノリがよくて疾走感のある曲が好きなので。もちろんアジカンとかも聴いてましたけど、自分の中のバックグラウンドで考えると、ポップパンクとかメロコアの要素が強いのかなと思いますね。
平田:邦楽が好きなのって俺ぐらいかもね。ドラムとベースも洋楽が好きだから。
──ホームページに「強い信念を持ち、明日への微かな希望を唄う」というキャッチコピーがありますけど、それは平田さんが書く歌詞がそういうものだったのか、それともそういうものにしようと目指していたのか、どちらだったりされます?
平田:「そういうものだった」のほうですね。そこは言われて気づいたところでもあるんですけど……まあ、キャッチコピーみたいなものを出さなきゃいけないタイミングがあったんですよ(笑)。
カワカミ:そうそう(笑)。そのときに絞り出す感じで。
──音にしろ歌詞にしろ、そこに向かっていったというわけではなく。
平田:そうですね。自然とそうなっていった感じです。
──素敵だと思います。あと、タイトルが毎作素敵ですよね。『水平線、続く天青』とか、『白昼夢も何れ』とか、今回リリースされた『箒星、残像を探して』もそうですし。いつも最後に決めてます?
平田:最後ですね。レコーディングし終わって、さあどうする?っていう。
──結構話し合うんですか?
平田:いや、僕が出します。なんか、1、2作目でそうしたから続けたくて(笑)。
カワカミ:シリーズじゃないけどね。
平田:うん。なんかさ、アーティストのジャケットが統一されているバンドってめっちゃよくない?
カワカミ:ああ、確かに。
──それこそアジカンとか?
平田:そうそう。やっぱりそこなのかな(笑)。部屋に並べて飾ったりしたときにめちゃくちゃいいなと思って。意外と統一しているバンドって少ないんですよね。2作ぐらい続くことはあるけど、3作目ぐらいで変わることが多い気がしていて。こういったデザインはこれで3作目なので、できれば継続していきたいです。
▲Organic Call/『箒星、残像を探して』──『箒星、残像を探して』というタイトルは、どういうところから出てきたんですか?
平田:アルバムの最後に入っている「彗星のよう」から引っ張ってきた感じですね。箒星とか彗星って、何秒以内に願い事をすると叶うみたいな話もあるけど、現れては消えていくものというか。「彗星のよう」は“幸せ”について歌っているんですけど、取りこぼしてしまいそうな幸せとか、身近に落ちているそういったものをしっかりと自分の目で捉えたいなという想いがタイトルになってます。なんか、残像っていう見えるようで見えないものを探していくような感じというか……難しいな、タイトルの説明って(笑)。
カワカミ:いや、聞くと「なるほど」って思うよ。わかりやすい。
──ですよね。それこそ聴き終えた後にこのタイトルを見ると、すごく胸にきます。
カワカミ:腑に落ちる感じありますよね?
──うん、あります。初の全国流通盤というのもあって、制作を始めるときに、こういう作品にしたいという話はされたりしたんですか?
平田:細かい話はしてなかったですね。ただ、「彗星のよう」を作ったのが2020年の8月とか9月ぐらいだったんですけど、そのときに全国流通盤を出そうっていうのをLINEで送ったんですよ。そこから他の曲がどんどん出来上がっていったので、もしかしたら「彗星のよう」が軸になっているかもしれないです。3曲目の「朝焼けに染まった街へ」は、2枚目のシングルに入れていた曲のリマスターなので、それよりも前の曲にはなるんですけど。
からの記事と詳細 ( 【インタビュー】Organic Call、広大なスケール感で輝く『箒星、残像を探して』 - BARKS )
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確かに
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