最初のメッサーシュミットの車はKR 175で、1953年のジュネーヴモーターショーで公開された。KR 175は多くのファンを獲得した。その人気は、1950年代に進化版の新型KR 200にメッサーシュミット社が生産を移行するまで続いたが、最盛期はその後にやってくる。
1957年までは、メッサーシュミットの自動車部門はドイツ政府に買収されていた。そして、「Fahrzeug und Maschinebau GmbH Regensburg」、略称「F.M.R.」という社名のもとに、同じスタイルの車を製造し続けた。同社の最高のモデル「Tiger」として知られる「Tg 500」が生み出されたのは、この社名の時代である。それは、メッサーシュミットの三輪車KR 200のモノコックボディをベースにしていた。しかし、 Tigerには大型の四輪が装備されたのだ。
さらに、大型のブレーキ、大型のフロントサスペンションアーム、大型のヘッドライト、そしてもちろん、大型のエンジンもだ。20.5hp 494ccの2気筒2ストロークエンジンを搭載し、4段マニュアルトランスミッション+リバースギアも組み込まれている。0-60mph加速は28秒、最高速度は78mph(約125.5km/h)。Tigerは320台製造され、そのうち150台が現存しているといわれている。
この1958年F.M.R. TG 500「TIGER」(シャシーナンバー 20555)は、白色ボディに白のフェンダーで、クロームのトリムとリアフェンダーのストーンガードでアクセントが付けられている。ホイールはグレーのスチール製で、 F.M.R. ロゴ入りのハブキャップ付きだ。装備としては、両側サイドミラー、スライド式ウィンドウ、クラシックな「チーズ皿」スタイルのバブルルーフ、リアのトランクラックなど。
乗員は2名で、内装は青色に白色のパイピングがされ、木製のトリムが良いアクセントになっている。マッチしたカラーリングのダッシュボードにはVDO社製の計器類が収納され、航空機のようなステアリングが目をひく。
重要な点は、このTg 500が走行・運転可能な個体で、「ハイパフォーマンスなマイクロカー」としては非常に希少であることだ。その生産台数の少なさや大型の排気量のスペックから、このTg 500は現存するマイクロカーの中で最も人気のある車のひとつになることは間違いないだろう。
この車両は、2021年5月にRM サザビーズのアメリア・オークションに最低落札価格の設定なしで出品される。予想価格は12万5000〜16万5000ドル。
RM サザビーズ、アメリカ、
アメリア・アイランド、2021年5月22日
https://rmsothebys.com/
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