私たちは、自分が幸せとは思えない状況でも他人を幸せにすることができ、さらにそうすることで自分も幸福な状態へと近づくことができるという。それは、今日からあなたも始めることができる簡単なステップだ。 【画像】ノーマン・ロックウェルの描いた絵画 ノーマン・ロックウェルは、20世紀アメリカの象徴的なイメージの数々を絵に描いた。第二次世界大戦中の「ロージー・ザ・リベッター」や「4つの自由」シリーズ、公民権運動に寄せた「The Problem We All Live With(私たちすべての問題)」や「Murder in Mississippi(ミシシッピの殺人)」など、彼の絵は出会った人々の最良の部分を引き出そうとしている──希望、団結、勇気、正義、そして何よりも、幸福を。 彼の作品の大半は、喜びで溢れる場面を見事に捉えているのだ。 私は生涯を通じて、こうした彼の絵を眺めてきた。最初に出会ったのは、ページの隅が折れた祖父のお気に入りの豪華版ロックウェル傑作集だった。ワシントン州ロングビューで印刷機オペレーターをしていた祖父は、いわゆる美術通ではなかったが、ロックウェルについてこう評価していた。 「この絵を見ていると幸せな気持ちになれるんだよ」 だがロックウェル自身は、幸せを求めて格闘していた。 彼は1953年に、マサチューセッツ州バークシャー郡のストックブリッジという牧歌的な町に引っ越した。自然の美しさや穏やかさに惹かれたわけではない。たまたまこの地に、妻と自分が慢性的な鬱病の治療を受けることができる精神病院があったからだ。 この病院で、ロックウェルは世界的に有名な精神分析家エリク・エリクソンの患者となった。そして治療費があまりにもかさんだため、彼は「ケロッグ」社コーンフレークの雑誌広告の仕事を引き受けなくてはならなかった。
「幸せのセオリー」を再考する
幸福面でこれほど重大な問題を抱えていた人物が、紛れもない幸福を描いた絵画によって知られているのは、皮肉に思えるかもしれない。だが実のところ、まったく不思議ではないのだ。ある調査によれば、人は自分が不幸なときでさえ他人に喜びを与えられることがわかっている。さらにそれだけではなく、不幸にあって他人を喜ばせることで、自分も幸福感が増すというのだ。 だが多くの人にとって、そう簡単なことではない。変化を起こすにはまずメカニズムを理解し、より良い習慣を築き、最も幸福を必要としているときにそれを他人に与えるよう、意識的に努めることだろう。 自分のネガティブな気分によって、他人まで落ち込ませたいと望む人は少ない。だが現実には、多くの人がある「幸せのセオリー」に従って生きている。それは航空会社の機内安全ビデオのよく知られた一節に要約できるかもしれない──「ほかのお客様を手伝う前に、まずご自分のマスクを着用してください」。 言い換えるなら「人は自分自身が幸せでなければ、そして幸せになるまでは、他人を幸せにすることはできない」。その推論はもっともである。不幸な人たちは、よく周囲の人々を悲惨な気分にさせる。あなたがこれまでに出会った最もみじめな上司について考えてみれば、私の言葉の意味がわかるだろう。 私の信条は学術的調査に裏づけられている。2011年にレイン・ウォレスが「アトランティック」誌に書いた通り、縦断的家族調査の結果、一人の人間の不幸が、ごく近しい関係にあるほかの人たちにとって「毒」となり得ることを示している。ウォレスはこう書いている。 不幸な男性と結婚している女性たちは、幸福な男性と結婚している女性に比べ、不健康で寿命が短い傾向がある。母親が幸せな結婚生活を送っている子供たちは、不幸な結婚生活を送る母親の子供よりも、家庭で幸福を感じられる度合いが18ポイント高い。古いことわざによれば「同病相憐れむ」。そして手当てをされずにいる人もまた、仲間を「作り出す」のだ。 毒の調達人になりたい人はいない。とりわけ愛する人たちに毒を届けたい人などいるはずがない。だが幸いにも、学術的調査は次の事実も明らかにしている。 私たちは、他人と自分に与える影響を自分が思っている以上にコントロールできる。その秘訣は、幸福な人がするように振る舞うこと──たとえあなたが幸福とは思えないときでも。
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