【ロンドン=板東和正】英国民は、英史上最長の在位期間を誇るエリザベス女王(94)を支え続けたフィリップ殿下との最後の別れを惜しんだ。国内や英連邦から広く尊敬され、99歳でこの世を去った殿下は「国家の祖父」と親しまれる存在だった。メンバーの結束をめぐる課題を抱える英王室にとって殿下を失った影響は大きい。
ロンドン郊外ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で17日にいとなまれた葬儀で、女王は他の参列者と離れて1人で座り、背中を大きく曲げてうつむく姿が目立った。殿下の9日の死去後、公の場でみせた初めての姿だった。
葬儀のテレビ中継を見たロンドン市民の女性(48)は「英国と王室が失った存在の大きさが女王の悲痛な姿に表れている」と打ちひしがれた。
殿下は戦後間もない1947年、ロンドンのウェストミンスター寺院で即位前の女王と結婚式を挙げた。英BBC放送によると、大戦で英国を勝利に導いたチャーチル前首相(当時)は、2人の結婚が戦後の物資不足などに苦しむ英国に「きらっと光る彩り」をもたらしたと語ったという。
大戦後の英国に希望を与えた殿下は52年に即位した女王を支え続け、外国への公式訪問には常に寄り添った。英王室内の近代化にも取り組み、スタッフがかつらをかぶる習慣を廃止するなどの改革を進めた。女王は結婚50年を迎えた金婚式の際、「私たちが思う以上に、私や家族、この国は(殿下から)多大な恩恵を受けている」とたたえた。
「女王の治世の成功に不可欠な存在」(BBC)だった殿下は英連邦との関係強化にも尽力した。
オーストラリアのモリソン首相は、殿下の死去を受けた声明で、殿下が同国を20回以上訪問し、オーストラリア国防軍と深いつながりがあったことを明かした。殿下が1950年代に創設した文化やスポーツなど各分野で優れた技能を持つ若者を育成するプログラム「エディンバラ公アワード」には現在、約4万人のオーストラリア人が参加している。
英王室は王位継承順位1位の長男、チャールズ皇太子(72)の不人気や殿下の孫、ヘンリー王子(36)夫妻が王室内で人種差別的な扱いを受けたと告白したことなど、国民からの信頼とメンバーの結束をめぐる課題を抱えており、女王が背負う責任は一層重くなりそうだ。
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