解除を1週間前に決める?
2月23日、FNNオンラインに配信されたニュースが永田町で話題になった。見出しなどにはこうある。
《「3/7に東京も解除」で調整 政府“今週金曜に決定”の方向》 《新型コロナウイルスの緊急事態宣言について、政府が、東京などの首都圏も含め、3月7日に全面解除することを26日に決定する方向で調整していることが明らかになった。》 政治部デスクの解説。 「宣言の延長をしないというのはともかく、解除をその1週間前に決めるという話ですから、どういうことなの? と正直いぶかしく思って確認をしたんですが、ちゃんと官邸から取った話だということがわかりました。もう少しじっくり取材すると、どうも菅さんの意向らしいということも見えてきた。それでも信じられなかったですね。前もって解除するなら理解できますが、予定通りの日程で宣言を解除するのに、それを前もって決めるメリットってどこにあるのかと。そんな単純なことも菅さんは判断できていないのかと、いまだ疑問しかありません」 菅政権を支える側の官邸スタッフに聞いてみると、「確かに菅さんはそういう思いを持っています」として、以下のように続ける。 「とにかく焦っているんですよ。一番は長男の官僚接待問題。“そんなの誰でもやってるよ”と高を括っていたのですが、キャリア官僚側が国家公務員の倫理規程に抵触する以上、言い逃れはできなくなってしまった。録音があるとなった途端、“オレも”と手をあげる者が増えて大量処分に発展したわけです。そしてワクチンについても懸念しかない。菅さんが国会で“2月中旬に接種開始”と言ってしまったので、それをウソにしないようにスタートだけは帳尻を合わせましたが、その後が続かない。24日の時点で接種回数は2万回に満たない状態ですから、笛ふけど踊らずと言ってもいいのではないでしょうか」
羽交い締めしてでも
安倍政権時代、官房長官として様々な危機に見舞われる中でも、持ち前の危機管理能力を発揮してそれを乗り越えてきた菅首相。 それだけに、何がどう支持率に影響するかは誰よりも深く知っているはずだ。 「そうですねぇ。このまま悪材料ばかりだと支持率改善の展望を見出せないということです。その中で宣言解除は唯一と言ってもいいほどの良い材料なので、それを最大限に利用したいということでしょう。気持ちは分からなくはないのですが、26日には記者会見が予定されていて、その場で『宣言解除予告』なんてしてしまったら国民はゆるむだけですよね。だから官邸では、“菅さんを羽交い締めしてでも止めなければ”という空気になっています」 仮にその“羽交い締め”が奏功したとしても、3月7日の宣言解除はほぼ間違いない。しかし、ワクチン接種が一向に進まない中で、多くの人々が街へ繰り出すことになれば……。 前出デスクによると、 「季節性があるのかもしれませんし、宣言中はそれなりに抑えこんだので杞憂に終われば良いのですが、新規感染者数がまた右肩上がりになってしまうことを官邸はもちろん警戒しています。東京都で一旦1000人を超えてしまったら、そのレベルで済まないくらい増えていく可能性も否定できない。3月は学校が休みになりますし、卒業旅行なんかもあるし、社会人なら歓送迎会もあるし、なんだかんだ人が動く季節です。もちろん、そういったことは控えてほしいというアナウンスはするわけですが、緊急事態宣言が明けた後にその全てを規制するのは無理でしょう。ワクチンの大規模接種なしで街に出かける人が増えるという嫌な状況が最低1ヶ月は続くわけなので、新規感染者数の爆発もあながちないシナリオではありません」 ところで、差し当たって、「菅下ろし」の動きは表面化していないという。 自民党の国会議員が圧倒的多数で推した候補を半年も経たずに引きずり下ろすのはナンセンスだという考え方、そして後を襲う強力なライバルがいないということがその理由だが、自民党の閣僚経験者は、「この政権のドタバタを見ていると、いろんなピンチに対応できるとは思えない。そんなに長くないかもね」と漏らし始めている。 デイリー新潮取材班 2021年2月26日 掲載
新潮社
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確かに
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