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Saturday, February 27, 2021

社説(2/28):英国のTPP加盟/国内農業のガード維持して - 河北新報オンライン

 日本など11カ国から成る環太平洋連携協定(TPP)に、英国が加盟したいと正式に申し入れた。
 欧州連合(EU)から離脱して独自の通商外交に乗りだす中で、成長の見込まれるアジアに目を向けたとみられている。
 TPPの特性は、投資や関税について自由度が高いことや、知的財産権の保護などを細かく定めたルールの厳しさにある。
 2010年の交渉開始から発効まで8年を要し、日本でも国会などで賛否両論が飛び交った。
 この点において、日本と中国、韓国、東南アジア諸国が参加する「地域的な包括的経済連携(RCEP)」と異なる。RCEPは他の多国間協定と比べて、自由化の水準は低い。
 加盟国の拡大を急いで条件のハードルを下げ、ルールを緩めるとなれば、なし崩しになる恐れがある。
 日本は今年の議長国を務める。調整力を発揮し、譲れない線を守りつつ、確かな方向に導いてほしい。
 日本と英国は先月、関税を優遇する経済連携協定(EPA)を発効させたばかりだ。
 全体として日本に有利な内容となっている。懸念されたブルーチーズの輸入については、数量を低く抑えるなど国内農家への影響は限定的とみられている。
 EUから離れ、主体的に動けるようになったのを受け、新たなパートナー探しを急いでいたことが、日本にはプラスに働いた。
 TPP加盟を認める場合でも、日英2国間の取り決めを崩さず、現行協定を続けられるよう目配りを怠らないでもらいたい。
 英国の輸出品は、チーズのほか、自動車とウイスキーに代表される。ジョンソン首相は「国民に大きな利益をもたらす経済連携を築きたい」と意欲を語る。
 このところ、英国はアジアへの関与を強めているようだ。民主化弾圧の香港情勢もあるだろう。覇権をちらつかせる中国を取り囲む狙いが見え隠れする。
 確かにTPPの参加国は、自国一国主義からの脱却と民主主義の価値観を共有するパートナーという位置付けになっている。
 中国は近年、経済圏の拡張を目指してRCEPに加入、さらにTPP参加にも積極姿勢とされる。
 しかし、国内産業を保護する補助金や政府による管理など、自由貿易にそぐわない実態がある。中国の思惑通りに進むとは思えない。
 英国も事情は分かっているはずで、自由貿易を守る役割を期待されている。加盟交渉では、今のルールを緩めず、条件を満たすことを前提にしてほしい。
 枠組みの拡大と現行基準の維持とのはざまで、日本は指導力を問われることとなる。

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確かに

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