みかんが美味しい季節になりました。私の住むニューヨークでも、マンダリン・オレンジあるいはタンジェリンという名前でみかんが手に入るのですが、やはり日本で食べるみかんよりは味が落ちる気がして、日本のみかんが恋しいです。 また、残念ながらニューヨークではコタツのある生活をするのも至難の技なので、いわゆるコタツみかんがとても恋しいです。 今回は、そんなみかん好きのあなた(私?)に向けて、みかんと健康についてまとめていきます。 みなさんは正しく理解していますか?みかんって健康によいのでしょうか?みかんを食べ過ぎたら何か問題なのでしょうか?
【質問1】みかんを食べると、「がんの予防」につながりますか?
インターネットを調べると、「みかんはがんに効く」「みかんを食べるとがん予防になる」と出てきます。本当にそうなのでしょうか? そもそも少し冷静になって考えれば、もし本当にそれがわかっていたら、世界中の医師が、「もっとみかんを食べろ」とあらゆる人に推奨しているはずです。しかし、現実にはそうではありません。 「みかんががんに効く」と言われる由来は、複数ありますが、その一つがみかんに含まれる「βクリプトキサンチン」という栄養素にあるようです(参考1)。 このβクリプトキサンチンを動物モデルの実験で、投与してみるとタバコによる酸化ストレスが軽減していることが観察されました(参考2)。そして、このことががんのリスク減少につながると示唆されています。これは基礎研究で示された立派なエビデンス(科学的根拠)です。 確かにこう聞くと、「みかんはがん予防によさそうだ」「しかもエビデンスがある」と思ってしまいそうです。しかし実際には、我々がこれを現実世界で応用するにはまだ大きな隔たりがあります。 確かにこの動物モデルの実験では、少なくともみかんの中に含まれるβクリプトキサンチンの抗酸化作用が示されていますが、実際にがんを防ぐかどうかは示すことができていません。 次のステップとして、βクリプトキサンチンを例えば数年投与し続けて、がんを実際発症しなくなるのかどうかを検証する必要があります。また仮にそれが実験動物のマウスで示されたとしても、人間でもそれが証明できる保証はどこにもありません。 現実として、これまで数えきれないほどの薬がネズミでは効果を示していたものの、人間では効果はなかった、あるいは人間ではむしろ逆効果となってしまったということが経験されています。このように、実際に人間でその証拠がしっかりと証明されるまでは、分からないのです。 様々な広告で、「有効成分〇〇ががんに効く!」などと目にするかもしれませんが、そういった広告の多くは、ここでご紹介した障壁をしっかりと乗り越えられていないのです。 ちょっと理屈っぽい説明が長くなってしまいました。このような理由で、障壁がたくさんあり、みかんががん予防に有効であるとは2020年の現時点では残念ながら言えません。
からの記事と詳細 ( みかんの食べすぎは体に悪いのか?【医師の解説】(webマガジン mi-mollet) - Yahoo!ニュース )
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確かに
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