「プレデター」といえば、SFアクション映画に登場する宇宙人を思い起こす方も多かろう。訳すと「捕食者」。その中でもトップ・プレデターは、自分自身を捕食するものがいない、生態系の頂点に立つ動物のこと▼そのトップの新種が見つかった、と先日の本紙にあった。静岡県沖の駿河湾深海に生息するセキトリイワシの仲間で、最大で全長140センチ、重さ25キロもあることから「ヨコヅナイワシ」と名付けられた。写真を見れば、確かに横綱級である▼セキトリの主な餌はプランクトンだが、ヨコヅナは魚を食べるらしい。海洋研究開発機構によれば、食物連鎖の最上位にいるトップ・プレデター。トップは一般的に個体数が少ないといわれ、その増減が生態系に大きな影響を与えるという▼深海だけでなく、森林や砂漠、湿地や干潟と、地球上にはさまざまな生態系が存在する。それらが、利便性を追求し大量消費を続ける人間の活動によって急速に破壊されている、と生態学者の五箇公一さんは『世界』2月号で警鐘を鳴らす▼すべての生物の頂点に君臨する人間こそが「地球最大の寄生生物」と五箇さん。そして、その個体数を調節するために自然界から送り込まれたのが新型コロナウイルスだ、と。少々強引な気もするが、世界の感染状況を思えば説得力はある▼もちろんウイルスに降参するわけにはいかない。だが、コロナが収まったとしても、また新たな天敵が現れる可能性はある。問われているのは、人間の生き方そのものなのだろう。
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確かに
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