
幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ 『プリン騒動』 。結婚、出産、そして離婚…双子を育てる主婦が記した壮絶な義両親とのバトル。なぜ彼女は苦しい日々を一冊の本にまとめたのか? 衝撃の実話を、連載にてお届けします。
「仕事の飲み会なら仕方ない」はずが…
夫は週三回ペースで飲みに出かけて行った。最初は、「仕事の飲み会なら仕方ない」と大目に見ていた。私は特に細かい事は聞かずに余計な詮索はしなかった。しかし、さすがに毎週頻繁に、それも同じ相手となると否が応でも疑惑は生まれる。 会社は作業服にワイシャツ・ネクタイまたは、作業服・ポロシャツで出勤していたが、いざお出かけとなると、高価なジャケットとシャツとスラックスに身を整える人だった。よそいきの服によそいきの顔を着けて出かけて行く。 確かに見栄えの良い男だった。センスの良さは認める。まるで、若い蝶がヒラヒラと夜に咲く花を探し求めるかのように。そこには色の香りが漂っていた。 案の定、今夜も飲み会らしい。 「田中さんと飲みに行くから」と夫はシャワーを浴びに着替えを持って風呂場へ向かった。私は「今日も同じ人?」と心の中で?マークをつけながら独り言を呟いていた。 するとその時、夫が脱いだ作業着のポケットの中で携帯電話が鳴った。人の携帯に断りなく出る行為は正しくないと判断していたが、十回以上鳴っているではないかとかけている相手を思い考えを改めた。 多分今夜の飲み会のお客様から急用の連絡かもしれない、私はそっと携帯を手にとり無言で出た。 女の勘が働く。「無言で出なさい」
「もしもし、私」とハスキーな女性の声がした。
すると、「もしもし、私」とハスキーな女性の声がした。やけに慣れ慣れしい。飲み屋のママかな? 女の勘はさらに仕事をした。 答えずに無言のまま相手の様子を窺っていたが、相手も同じ事を思ったのか、慌てて切った。ひたすら怪しいと直感し、頭上で電球千ワットが光った。ただの関係ではない、それ以上の親密さを声で感じとった。私は、夫には携帯のことは言わなかった。 夫は何も知らずに、夜の街へと消えて行った。ムスクの香りをかすかに残して。 一人、私はベッドに入り眠ろうとしていた。しかし、頭の中が散らかったまま、ザワついて眠れなかった。 時計を見ると、十一時を過ぎていた。明りを消して目を閉じてみる。神経は冴え渡って寝るタイミングを逃していた。私は静かに目を開いて天井を見つめた。寝室は十二畳だったが十二畳分の広さではない。 今私の感覚的に映し出された天井は宇宙より広く終わりのない無限の闇が墨汁を吸い込んでいく魔物に見えた。一寸の光も射さない。 この闇が私の全身を覆い隠してしまう。自分の存在さえも闇と融合し存在していないのと同様に感じられた。今まで感じたことがない感覚。 「何?」 淋しいとか悲しいとかの種類には属してはいない。未知との遭遇だ。その正体を暴きたかった。そうしなければ、朝は訪れないような気がした。広がる闇の奥底をひたすら深く凝視した。 やがて、私の脳裏に白く浮かび上がった文字があった。
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確かに
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