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Thursday, August 20, 2020

ロシアの野党指導者が毒により昏睡状態~真相は?(廣瀬陽子) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

ロシアの野党指導者アレクセイ・ナヴァルヌイ氏が、西シベリアの都市トムスクからモスクワに向かう旅客機内で気分が悪くなり、そのまま昏睡状態に陥るという事件が起きた。旅客機はトムスク西方の都市オムスクに緊急着陸し、ナヴァルヌイは病院に運ばれたが、危険な状態が続いているという。トムスクの空港で購入したお茶に毒が混入されていた可能性が高いとされている。ドイツやフランスが治療の受け入れを表明しているが、21日朝時点では、今後、彼がどのような治療を受けるのかは不明である。

ナヴァルヌイは、政権サイドの暗部を暴くようなYouTube動画を度々投稿するなど(とりわけ、メドヴェージェフ前首相の特権濫用と豪華な生活を暴いたビデオの再生回数は記録的であった)、現在、プーチン大統領の最大の政敵だとされており、政権サイドからは様々な弾圧を受けてきた。でっち上げの告訴により大統領選挙への立候補が認められなかったのはもちろん、これまでも逮捕、自宅軟禁、防腐剤の緑色の液体による攻撃、事務所の強制捜査など、多くの弾圧を受けてきた。

また、ロシアにおいて、反体制的な政治家やジャーナリスト、弁護士などが毒など様々な手段で多数の攻撃を受けてきた。そのため、ナヴァルヌイが毒を盛られても、そこに驚きはない。

しかし、今回については、ナヴァルヌイに毒を盛ったのがプーチン大統領や政権サイドによるものだとは断言できないと考えている。

現在、隣国ベラルーシでは、「欧州最後の独裁者」と言われる、アレクサンドル・ルカシェンコが6選を決めた大統領選挙の不正やこれまでの抑圧的な政治に対して、国民の怒りがピークに達し、連日、抗議行動が行われて、政権側がその動きを弾圧し、多くの抗議行動参加者が逮捕され、死傷者も出ている状態だ。欧米がルカシェンコを批判する一方、ロシアはとりあえず静観していた。

だが、ルカシェンコは8月15日にプーチン大統領と電話会談し、事態沈静化に向けて支援を要請した。なお、その電話会談に先立ち、ルカシェンコは政府会議で「抗議デモはベラルーシだけの脅威ではない」と主張し、ベラルーシが持ちこたえられなければ、混乱はロシアに波及すると警告していた。プーチンが支援をしてくれなければ、ロシアも危ういと脅迫をしているとも取れる発言である。

ただし、プーチンは、支援を約束したようだが、ベラルーシに軍事介入することはないだろう。ロシアは、ウクライナ危機による欧米からの制裁で苦しんでおり、これ以上国際的に孤立することは避けたいはずだ。そしてロシアにはその余力もない。もし、介入めいたものがあるとすれば、民間軍事会社(P M C)などを使って、あくまでも非公式に若干の脅迫目いたことを行う程度ではないかと思う。

とはいえ、確かに、ベラルーシが崩れれば、ロシアにも大きな影響が及ぶのも事実だ。特に、ロシアでは、7月9日に極東のハバロフスク地方のセルゲイ・フルガール知事が殺人と殺人未遂容疑で逮捕され、知事職が解任されたしたことに端を発し、同地方で抗議行動が始まり、それは異例の規模・長さになっている。ハバロフスクの抗議行動がベラルーシの抗議行動を応援するなど、そこに精神的な一体感も生まれている。

ロシアはハバロフスクの抗議行動に対しては大きな弾圧はしていないが、ナヴァルヌイや、亡命したオリガルヒのミハイル・ホドルコフスキーが主宰する「オープン・ロシア財団」と関係があるハバロフスクの反政府活動家たちが、正体不明の男たちに襲われる事件もおきており(当局によるものだと考えられている)、政権サイドは抗議行動には当然神経質になっており、他地域、ひいてはロシア全土への波及を恐れているのは間違いない。

そのため、現在のロシアは、コロナ渦でただでさえ、厳しい社会状況がある中、ベラルーシおよびハバロフスクでの抗議行動という爆弾を二つ抱えている。これらがロシア全土に波及するようなことがあれば、政権運営は極めて難しくなる。

そこで疑問に思えるのが、そのような厳しい局面で、当局サイドがあえてナヴァルヌイを攻撃するだろうか、ということなのだ。確かに、ナヴァルヌイはベラルーシの抗議行動についてもYouTubeに動画をアップしており、その抗議行動の詳細を語ったり、支援したりする一方、明日のロシアだと揶揄したりもしていた。このような動画は、ロシア当局にとっては、当然鼻につくものであろうが、しかし、ナヴァルヌイのこれまでの政権側の人間を攻撃する動画に比べれば、大した打撃ではない。

他方、ナヴァルヌイがこれで死亡するようなことがあれば、ナヴァルヌイの支持者はもとより、政権に対して反発していた人々が一斉に抗議行動に乗り出し、ただでさえ、コロナ渦での人々の鬱積、ベラルーシ、ハバロフスクという火種もある中で、その波は相当なものになると思われる。

そのため、支持者も多いナヴァルヌイを攻撃し、国内の反体制派の怒りを増幅させることを、あえてこの時期に行うことの合理性が感じられないのだ。メディア報道では、プーチンや当局が行ったという説が多いが、仮に政権側が行っていたとしても、プーチンの意思によるものではなかったと思われる。他方、プーチンや政権を陥れようとする者の犯行であった可能性も否めない。

このように現状では真相は不明であるが、ベラルーシやハバロフスクの抗議行動の動き、国内外の動きなどにも目を配りながら、注視して行く必要がありそうだ。

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August 21, 2020 at 08:30AM
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