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Friday, August 28, 2020

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。 | From Creators - Pen-Online

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

フランス直送のガレットパンの上で、高温でカリッと焼き上げられた生地には、黒く荒いそば粉の粒が残っている。中の食材には水分があるのに、食べ終わるまで決してへたれないガレットは、優秀なクレーピエ、中田メエさんの高度な技術の証明に違いない。

それにしても、力強くて素朴なのに、そば本来の香りや滋味が凝縮された繊細なそば粉自体の個性も際立っている。

「いったい、このそば粉はどこで栽培されているんだろう?」、目の前のメエさんに尋ねると「福井!」という答えが返って来た。

「福井にはたくさんの在来種があって、その土地の個性を大切にしてそば粉を作ってる、ワインみたいでしょ」。

確かにそれは、メエさんの店「メエボニータ」のセラーで眠っているたくさんの自然派ワインに通じる、体にスッと入っていく新鮮な衝撃に溢れていた。

そばとテロワール!?意外にも福井のそばに出会ったのは、蕎麦屋ではなく、参宮橋のガレット屋だった。

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

22ものそばの在来種を守る福井県。

実は福井県、全耕地面積におけるそばの作付け比率が日本一(作付け面積では全国6位)というそば王国。しかも、そのほとんどが福井固有の在来種なのだ。

今、全国で栽培されているそばの多くは大粒の改良品種。均一的な品種にすることで収穫時期が安定し、大粒に特化することで収穫量が飛躍的に向上する。それを機械挽き(ロール挽き)で製粉すれば生産量が増え、農業経済的には極めて合理的だ。

この方程式、そのままどこかで聞いたことがある。

本来農作物である葡萄=ワインはすべてが自然からできているはずなのに、大量消費と品質の均一化、そして大規模なマーケティングの中でいつのまにか別モノになってしまった。

そんな風潮に対するアンチテーゼとして生まれた自然派ワインは、土地ごとのテロワールを大切にし、毎日畑仕事をして、手で葡萄を摘み、自然のリズムを大切にし、野生の酵母の力で、媚びない本物のワインを作り続ける。

なんだか、自然派ワインの造り手たちと、福井のそばが重なって見える。

現在、福井県で主に栽培されているそばは22系統(種)の在来種。全国に細々と在来種のそばは存在するが、国に在来種保護の動きはなく、福井そばのテロワールを守っているのは県自治体独自の取り組みだという。

本来、そばの旨味は甘皮の内側に含まれるタンパク質にあると考えられている。

例えば、多くのミニトマトがトマトより滋味深いのは、簡単に言うと1個あたりの皮が多くなるからで、そばでも小粒な在来種ほど甘皮部分が多くなるため、そば本来の旨味を強く感じることができるわけだ。

旨味だけではない、元々うどんや米に比べて、ミネラルやビタミン、ポリフェノールの一種であるルチンが多いそばだが、在来種ではその比率も高くなっている。

しかも、福井では甘皮ごと伝統的な石臼挽きにするため、香りもコシも存分に引き出すことができる。

福井そばを代表する在来種は、大野在来、丸岡在来、今庄在来、美山南宮地在来の4種だ。

東京神楽坂にある「九頭竜蕎麦」では、大野在来を使用したそばや福井の食材をふんだんに使用した料理、福井出身のオーナー自ら買い付けた希少な福井の日本酒が揃っている。(9月1日には田町店オープン)

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

そば王国・福井のテロワールとは?

福井そばの第1章は、大野在来種を石臼で細かく挽いて細打ちにしたせいろそばの登場。運ばれた時から、もう従来のそばには感じられない華やかなのに素朴な経験したことのない香りに驚かされる。

これはまず、添えられた辛めのだしに付ける前に、そのまま味わってみるのが正解だろう。口に含むと、在来種ならではの香ばしく華やかな香りに満たされ、追いかけるように強い独特の甘みが口中に広がり、また改めて香りのロンドが押し寄せてくる。

この衝撃的な体験は、フリウリあたりの自然派ワインを最初に飲んだ時の感覚に似ている。限りなく深く豊穣なのに、口当たり自体は軽やかで、そのまま身体に滲みる渡っていくような感じ。これが在来種そばのテロワールなのだろうか!?

続いて出されたのは、福井で最もポピュラーな食べ方だという「越前おろしそば」。大根おろしと、ネギ、かつお節という三種の神器が添えられたトラディショナルな福井スタイルだ。

せいろとは違う粗挽きで仕上げられ、麺の切り幅は2mm程度の太打ちと定められている。原料は同じ大野在来だと言うが、挽き方が変わるだけでそばの性格が

一変し、野趣あふれる味わいに夢中になる。

本来のそばの醍醐味であるずるずるとすする感覚よりは、じっくりと噛み締めてそば本来の味を楽しみたい。在来種ならではの濃厚なそばの味は、添えられた大根おろしの辛味や香りに負けるどころか、より一層そばの味を際立たせる。さすがに、地元でいちばん愛されている食べ方だと納得させられる。

そばに、薬味をのせてそばつゆをかけるぶっかけ、あらかじめ大根おろしとそばつゆを混ぜる、大根おろしの絞り汁をそばつゆと混ぜておくなど、地元にはたくさんのバリエーションがあると言う。店ごとに、家庭ごとに、さまざまな越前おろしそばがあると想像するだけで、そば王国に夢が駆け巡る。

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

せいろそば

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

越前おろしそば

猛暑で疲れた身体に、自然のビタミンとミネラルを。

福井在来種そのものの味わいに瞠目したのは「むきそば」、そば米とも言われるシンプルにそばの実を茹で、かつおを効かせただしを張ったものだ。添えられたものは、福井ならではの薬味たち。福井梅のたたき、越前海岸の海苔、勝山水菜のおひたし、そばあられ、だし昆布の佃煮、本生わさび、小鯛の造り。

薬味を加える毎に変容していく、むきそばの素朴な味わいには在来種を守り続ける人たちの深い愛情が満ちている。

感慨に浸っていると、目の前にキッシュのような、卵焼きのような、生まれて初めて出会う料理が届けられた。そば粉に卵と牛乳を加えてオーブンで焼き上げた、スロヴェニアの郷土料理「ズレバンカ」。実はスロヴェニアは一大そば産地であり、そば食文化が盛んな国だ。

有機・無農薬栽培で育てられる広大なそば畑、ふと大好きなスロヴェニアの自然派ワインの造り手、ヴァルテル・ムレチニックを思い出した。来日した彼が見せてくれたスロヴェニアの葡萄畑は一面がタンポポで覆い尽くされていた。農薬や除草剤が一切使われていないことの証しだ。

ヴェネツィア・ジューリア州のフリウリから国境を越え、車で10分程のヴィパーヴァ渓谷で作られた彼のワインとズレバンカを合わせてみたい。

そばという食材を通じて、僕の中で福井とスロヴェニア、イタリアのフリウリ、渋谷の参宮橋がひとつに結ばれた。

その土地ならではの風土、土地の個性と環境=テロワールを大切に食を守り続ける人たち。そう言えば、ムレチニックのワイン作りの原点はフリウリのヨスコ・グラヴナー。以前来日した時のパーティーでも、フリウリのダリオ・プリンチッチと一緒だった。日本でも人気が高いラディコンやカステッラーダも親友らしい。

真面目で朴訥、2メートル越えの長身、彼の優しい笑顔を思い出しながら、自粛ばかりだった夏の終わりに小さな夢ができた。今度、参宮橋のメエちゃんにチーズと卵を載せたシンプルなガレットを焼いてもらおう。もちろん、福井のそば粉で、スロヴェニアのワインを開けて。お昼には、神楽坂を上がって越前おろしそばも手繰ろう。

自粛の夏で疲れた身体に、大自然のビタミンとミネラルを補給するために福井そばと自然派ワインのテロワールを。

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

むきそば

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

ズレバンカ

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

ムレチニックのシャルドネ

大自然に育まれた在来種の「福井そば」で、身体にビタミンとミネラルを。

ハム卵チーズのガレット

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