
安倍晋三首相が官邸主導で政権を運営する「安倍1強体制」が揺らいでいる。首相が前のめりだった「9月入学」導入は与党から反対論が相次ぎ、事実上の断念を余儀なくされた。新型コロナウイルス対策の目玉にした現金給付の転換劇と同様、与党の抵抗に屈した形だ。検察庁法改正案を巡っても、与党とぎくしゃくした。一連の騒動は安倍政権の求心力が低下し、与党より力を持つ「政高党低」の構図が変わりつつあることを示している。
「法律を伴う形で改正をすることは確かに難しい」。首相は2日、9月入学に関する自民党の作業チームの柴山昌彦座長から「直近の導入は困難」との提言を受け、来年度の実施を諦める意向をにじませた。前日、公明党からも否定的な提言を突き付けられていた。
9月入学の議論は4月下旬に急浮上した。一斉休校に伴う学習の遅れを取り戻すため、各地の知事らが要求。自著で大学の9月入学を提唱したこともある首相は、4月29日の衆院予算委員会で「前広にさまざまな選択肢を検討したい」と踏み込み、官邸内に関係省庁の幹部を集めた検討チームを立ち上げた。チームを束ねる政府高官は「首相は課題が解決できればやりたいと思っている」と代弁してみせた。
当初、首相は党内議論の行方を楽観視していた。5月中旬に親しい文部科学相経験者から「党内の反対論は大きくない」と聞くと、「そうか」と笑みを浮かべたという。ところが議論が進むにつれ、制度を変更する手続きの複雑さや、教育現場の負担などの課題が浮き彫りに。5月下旬に自民内は反対論が大勢を占め、公明幹部も「先走る官邸にブレーキをかける」と、導入に慎重な党の意見の取りまとめを急ぐ考えを示した。
こうした空気を察知した官邸は「与党が慎重なら進められない」(政権幹部)。機運は一気にしぼんだ。
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4月中旬に自民党の二階俊博幹事長、公明党の山口那津男代表がタッグを組んで政権の政策をひっくり返した「1人10万円」の現金給付に続き、これまでの「政高党低」といわれた官邸主導の政権運営には見られなかった事例が相次いでいる。「もはや、党が官邸の顔色をうかがう状況じゃなくなってきた」。黒川弘務前東京高検検事長の定年延長問題や、コロナ対応の混迷で急落する支持率を引き合いに、首相に近い自民重鎮はそう分析する。
その定年延長問題が絡む検察庁法改正案を含んだ国家公務員法改正案でも官邸と与党との溝が生まれた。首相は5月18日に世論の風当たりの強かった改正案の今国会の成立見送りを表明。同日、二階氏と公明の斉藤鉄夫幹事長らは改正案の中身を変えず、継続審議とすることで合意した。
ところが、3日後に首相は唐突に改正案そのものの見直しに言及した。事前に知らされていなかった自民幹部は「何の報告もない。真意は首相に聞いてくれ」、公明幹部も「自公の幹事長の決定はそんな軽いものじゃない」と激怒した。
官邸と与党との溝は、埋まるのか。二階氏は1日の記者会見で最近の「政高党低」の変化について問われ、語気を強めて答えた。「官邸の言う通りに従う政党ではなく、自民党があって官邸が成り立ってる。そこを間違わないようにすれば答えは明らかだ」
(一ノ宮史成、下村ゆかり)
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June 08, 2020 at 04:00AM
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揺らぐ「政高党低」…首相の求心力低下 9月入学断念、現金給付修正 - 西日本新聞
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