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Tuesday, May 12, 2020

日本一有名なネットニュース編集者が「もう疲れた」と引退を決めた理由 - BLOGOS

「ネットニュース編集者」で検索すると、中川淳一郎さんの名前が真っ先に出てくる。そんな中川さんは「2020年8月31日をもって、ネットニュース編集の一線から退き、半ば隠居する」と宣言している。14年以上もネットニュースの第一線に立ち続けてきた中川さんが、いま考えていることとは──。

新聞・ノートパソコン※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Fedor Kozyr

老人はリモートワークに対応できるのか

47歳、社会人24年目。そろそろ「撤退戦」を考えるようになった。

何が「生涯現役」だ。何が「75歳定年が当たり前の社会になる」だ。何が「勤労意欲のある人が100歳まで安心して働ける仕組みをつくる」だ。勘弁してほしい。

ここに、某企業に勤める74歳の山田さん(仮名)がいたとしよう。新型コロナの影響でいきなりリモートワークが導入され、「当面、会議はすべてZoomを用いたオンライン形式で実施すべし」と会社から指定されてしまった。

会議の準備を取り仕切る若手社員からのメールには「参加案内のメールを会議開始10分前に送りますので、山田さんもミーティングルームに入ってください。できればマイク付きイヤホンを使うほうがいいですね。

資料は各自、画面共有機能でメンバーに公開してもらうので、事前の作成をお願いします」などと、簡単な説明が書いてあるのみ。

いや、ちょっと待ってほしい。これまでまったく触れたことがないITツールを唐突に押し付けられても、山田さんは言うとおりに使いこなせるかっつーの! スマホは必要最低限の機能しか使わない、パソコンもサイト閲覧と特定のアプリで定形書類を作成する程度しかできない、なんて老人はごまんと存在するのだ。

山田さんは半泣き状態で「ワシ、やり方わからんのですよ。設定したいから家に来てもらえませんかのぉ~?」なんて、若手社員に請うしかない。仕方なくその要望に応えてレクチャーに出向いたところ、まさかの感染……なんて事態に陥ったら、それこそ本末転倒である。

「老い」と「衰え」はセット。だから「引き際」が存在する

手仕事系の職人や農作業といった家業の手伝いなどはさておき、大半の人にとって「生涯現役」「75歳まで働く」は正直、キツくないだろうか? 人間の社会には本来、ある程度の年齢になったら労働の現場から退き、経済活動の土俵から下りるという「引退」「撤退」「引き際」という節目が存在していた。

「年寄りの冷や水」「老害」「若づくり」といった言葉が昔からあるように、もともと「老い」というものは「衰え」とセットであることを、先人も理解していたのである。

これは別に老人差別というわけではない。誰もが老人になるし、一線級のプレイヤーとして活躍できなくなる。それが道理なのだ。私はただ、「無理して頑張るな」と言いたいだけである。

いったい何歳まで働かせるつもりなのだろう

厚労省の資料によると、男性の平均寿命は81.25歳、女性は87.31歳(どちらも2018年の値)である。ということは、75歳まで働いたら、男性の場合、人生の残りは平均で6年間程度しかないのだ。

しかも、健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均。2016年の値)は男性72.14歳、女性74.79歳なので、最後の数年は身体のどこかに悪いところを抱えて働かなきゃならない可能性がある。

そもそも、いくら平均寿命、健康寿命が延びたとはいえ、人は誰しも60歳を過ぎたら体力、認知力、集中力など、仕事に取り組む際に求められるさまざまな能力が衰えていく。現在40代後半の私ですら、20代、30代までの自分と比べてかなり劣化したと感じている。

昔は初対面で名刺交換をしたら、後日、その名刺を見返すだけで相手の風貌や声、会った際の状況や交わした会話を瞬時に思い出せたのだが、最近は誰が誰だかわからないことが増えた。

ひどいときなど、名前すら覚えていないまま次回の会議に臨み、テキトーに話を合わせてお茶を濁すこともある。加齢による衰えは、驚くほど急激に進んでいく。

一方、政府は「公的年金の受給開始年齢を75歳まで遅らせる選択をした者は、受け取れる年金の年額が84%増になる」という法改正を目指しているという。

……って、おいおい、それまで節約しながら働いてきた後期高齢者が、いったい何にカネを使うんだよ! クルーズ船で世界一周でもするのか? まぁ、感染症にはくれぐれもお気を付けいただきたい。

というか、人生において明らかにカネがかかるのは、遊びまくりたい20~30代、および子どもの養育や教育で出費がかさむ40~50代だろう。

そうした時期を経て、いよいよ迎えた60代くらいは自分のためにちょっぴり贅沢をしたいところだろうに、「年金の受給開始を遅らせると、得だよ」「まだまだ働いてくださいね」と我慢を求められる。

75歳を過ぎたら体力も気力も衰えてしまい、そこまでアクティブに遊べないだろうから、年金を84%増やされても大した使い道などないはずだ。

もはや異性にモテても仕方がないし、サークル活動を活発に行うのも億劫だし、冒険家になるのも現実的ではないし、芥川賞が突然取れるわけでもないし、漫画家としての才能が花開くわけでもない。

2020年8月31日をもってセミリタイア生活に

それはさておき、新型コロナの影響で働き方が変化したことにより「もう組織には頼れない」「本当に大事なものがわかった」という思いを強くした方も多いのではなかろうか。私はそうである。

私は以前から「2020年8月31日、セミリタイア」を宣言していた。コロナ禍の影響で今後の見通しが若干立たなくなった部分もないわけではないが、30代のうちから「できるだけ早い段階でのセミリタイア」を見越して準備をしてきたので、問題はない。

今年8月31日でネットニュース編集やPRプランニングといった業務の一線からは退き、コラム連載といった一部の仕事を除いて、半ば隠居するという決意は変わらない。

47歳でのセミリタイアなど、諸先輩から「甘~い!」「人生をナメておるのか!」と怒られそうだが、「潮時」ってヤツを私は感じたのだ。そのひとつの兆候は「仕事相手の90%が自分よりも年下」という状況になったことである。

各地にある商工会議所の青年部では、加入条件として「45歳以下」「50歳以下」なんて規定を掲げているところも多く、商工会議所に所属するような地場企業の経営者、後継者といった人々のなかでは、私なんてまだまだナウなヤング的扱いかもしれない。

だが、私が従事するメディア系、IT系のビジネスでは、率直なところ47歳はもはや「長老」の域なのである。

実際、ここ数年で、自ら音頭を取ってプロジェクト全体を取りまとめ、ガシガシと推進するような役割よりも、企画について意見を求められたり、困ったときにアドバイスしたり、といった“相談役”的な役割を依頼されることが増えてきたと感じている。

ウェブメディアは修羅の世界。もう疲れた

ネットニュースの編集業務に就いたのは、32歳のときだ。この段階で、すでに一緒に仕事をする人の80%は年下だった。

そんな環境で14年以上仕事をしてきたが、数年前、インターネットが名実ともにメディアの覇権を握りつつあることが明らかになってきたころ、「あっ、オレはもう“終わった”」と強烈に感じるようになった。そして2019年、インターネットの年間広告費が初めてテレビのそれを超えた。

ウェブメディアは動きが速い業界である。それまで「成功法則」と持てはやされてきた手法が急に通用しなくなることもあれば、グーグルが検索アルゴリズムを変更した途端、サイトの広告収益が激減し、窮地に追い込まれるようなこともある。

こうした修羅の世界でなんとか14年間やってきたが、正直、最前線でウェブメディアの運営・編集に従事するのが、いいかげんキツくなってきたのだ。依頼された原稿を書く程度であれば、まだまだ対応できる。

ただ、これからますます競争が激化するであろうウェブメディアの、ヒリつくような編集現場で中心に立ち、強力なライバルと対峙する熱意をどこまで持ち続けられるか。私は自信を持って「できる」と言えなくなってしまった。

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