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Sunday, April 26, 2020

「iPhone SE」(第2世代)は安くて機能十分、幅広い層におすすめな一台だ - ケータイ Watch

iPhone SE(第2世代)

 iPhone SE(第2世代)が発売された。従来のiPhoneと比べ、かなり入手しやすい価格で、確かにハイスペックモデルと異なる点が多い。

 たとえばカメラはシングル、ディスプレイのアスペクト比は16:9だ。だが、プロセッサは最新。FeliCaなどにも対応し、選んで困ることがない、堅実な製品というスペックだ。もし「iPhone 11シリーズはちょっと高い」あるいは「iPhone 11シリーズはちょっと大きすぎる」と感じているのであれば、特に刺さるモデルだろう。

 iPhone SE(第2世代)の概要や過去モデルとのスペック比較は、別記事で解説している。キャリア版はこれから発売を迎えるということで、実機をもとにレビューしよう。

デザインはiPhone 8とほとんど同じ

iPhone SE(第2世代)(左)とiPhone 8(右)。ロゴの位置が異なる。よくよくみるとアップルロゴが大きくなっている

 iPhone SE(第2世代)のデザインは、iPhone 8とほとんど同じだ。サイズ感は4.7インチディスプレイ搭載のiPhone 6/6s/7/8と同じである。

 細かいところで言うと、「背面のiPhoneロゴがなくなり、アップルロゴが中央に下りてきている」「白系のカラーバリエーションでも前面のベゼルが黒い」そして、 ボディカラーがブラック、ホワイト、(PRODUCT)REDの3種と言う違いがあるが、形状はほぼほぼ同じだ。

ねっとり触るとiPhone SEの方がフロントパネルと側面フレームのギャップが小さくなっている気がする

 筆者個人の主観かもしれないが、より細かな点ではiPhone 8とiPhone SE(第2世代)では、フロントパネルと側面フレームの境目の手触りが若干違い、iPhone 8の方がギャップが大きいように感じる。ただ実際にノギスで厚みを測っても同じサイズで、ケースなどのアクセサリー類の互換性に影響が出るような違いはなさそうだが、フィルム類だけは対応状況を確認した方が良さそうだ。

側面のボタンやコネクター類は変わらず。イヤホンマイク端子もない

 iPhoneというとサードパーティによる豊富なアクセサリ製品群が大きな魅力のひとつだ。iPhone SE(第2世代)の場合、すでに存在するiPhone 8向けのアクセサリーを流用できそう。これもまた魅力と言えるだろう。

片手で使いやすい? ほどよいサイズ感

 iPhone SE(第2世代)の大きさは、138.4×67.3×7.3mmで重さは148g。iPhone 8と同じだ。

左からiPhone 11、iPhone SE(第2世代)、iPhone SE(第1世代)
iPhoneのサイズと重さ
世代 大きさ 重さ
iPhone SE(第1世代) 123.8×58.6×7.6mm 113g
iPhone SE(第2世代) 138.4×67.3×7.3mm 148g
iPhone 11 150.9×75.7×8.3mm 194g
iPhone 11 Pro 144.0×71.4×8.1mm 188g

 iPhone SE(第1世代)の123.8×58.6×7.6mm、113gよりは大きいが(重量比76%)、iPhone 11の150.9×75.7×8.3mm、194g(重量比131%)やiPhone 11 Proの144.0×71.4×8.1mm、188g(重量比127%)よりはかなり軽く感じられる。

筆者の場合、iPhone 11は片手で使おうとしても、指が隅々まで届きにくい

 iPhone 11シリーズなどは手が大きな方でも、片手で使うにあたってはたとえばスマホリングがないと危ういのではないだろうか。一方、iPhone SE(第2世代)の4.7インチディスプレイというサイズは、人によって感じ方が違うところだろうが、多くの方にとって扱いやすいサイズに思える。

iPhone SE(第1世代)はホント小さく、隅々まで指が届く。このコンパクトさは魅力だが、欠点でもあるかもしれない

 4インチのiPhone SE(第1世代)は、いま触ると本当にコンパクトに感じられる。画面の隅まで指が届くので、片手で使うなら4インチの方が良い、とも思うのだが、その一方で最近のアプリやコンテンツは、メインストリームの大画面スマホを前提でデザインされるようになったようだ。大画面スマホの使い勝手に慣れていると、4インチは小さすぎるかな、と思う場面もある。そう言ったことを考えると、iPhone SE(第2世代)の4.7インチはコンパクトさと利便性のバランスが取れたサイズとも感じる。

iPhone SE(第2世代)は片手でも操作しやすいサイズ感だが、小柄な女性だとちょっと辛いかも

 ディスプレイサイズによる表示できる情報量の差については、以前の記事で細かく解説しているので、そちらも参照いただければと思う。

プロセッサパワーはiPhone 11シリーズと同等!

iPhone SE(第2世代)のベンチマークスコア
iPhone 11 Proのベンチマークスコア

 プロセッサーにはA13 Bionicを使っている。価格的に倍以上のiPhone 11 Proモデルとも同じというのは、けっこう凄いポイントだ。ベンチマークアプリ「Geekbench 5」によると、iPhone 11シリーズは4GB、iPhone SE(第2世代)は3GBとシステムメモリーに差があり、マルチコアのスコアには差が出ているが、シングルコアのスコアはほぼ同等となっている。

 標準的なアプリを使うだけならば、iPhone SEでも重たさを感じる場面は少ない。差があるとすれば、一部のゲームなど“重ため”のアプリを使うときくらいだろう。しかしゲームはなるべく多くのプレーヤーにプレイしてもらうために、限られたスペックなスマートフォンでも動くようにデザインされることが多く、現時点でA13 Bionicの性能を100%求められる場面は少ないと思う。

 将来に目を向けると、最新プロセッサーというのは大きなポイントとなる。これまでの歴史を踏まえると、iPhoneの場合、CPUの世代は「いつまでiOSのアップデートが提供されるか」という問題に直結する。過去の例では、iPhoneは発売から5〜6年目でiOSアップデートが終了するパターンが多い。実際にどうなるかはわからないが、iPhone SE(第2世代)の場合、プロセッサーは“2019年秋世代”。仮にそこから5年とすれば、2024年秋まで使い続けられる、と期待できる。

 iPhoneはもともと長く使いやすいスマートフォンだが、比較的安価なiPhone SE(第2世代)でもその特長が失われていないというのは、かなり嬉しいポイントだ。この辺りのポイントについても、別の記事で解説しているので、細かくはそちらもご参照いただければと思う。

そのほかのスペックも最新仕様。「××ができない」で困ることはナシ

iPhone SE(第2世代)のTouch ID内蔵ホームボタン。Face IDとどちらが良いかは、個人の好みの問題かもだが、個人的にはFace IDの方が便利とも思う

 そのほかの細かいスペックもiPhone 11シリーズに近い最新スペックで、通信機能面では「ギガビット級LTE」や「Wi-Fi 6」、「eSIM」に対応している点は大きな特徴。LTEの対応バンドもiPhone 11シリーズと同等だ。たとえばeSIM対応は、海外で利用するとき、SIMカードを差し替えずに比較的安価なデータローミング回線を使えたりするのが便利。国内の通信サービスではまだまだiPhoneで使えるeSIMは限られるところだが、iPhone SE(第2世代)は今後の広がりにも対応できる一台と言えそうだ。

 「FeliCa」や「防水」、「非接触充電」などにも対応する。Apple Payも使えるお店がすっかり増えてきているので、機能が省略されていない点は非常にありがたい。「防水」は慣れた人にとっても買い替えやすいポイントだろう。いま非防水端末を使うと雨や台所で故障させてしまいそうで怖い。

 バッテリーの持ちに関しては、iPhone 8とほぼ同等で、iPhone 11など大型端末よりはやや弱い。スペック表の「ビデオ再生」の項目で比較すると、iPhone 8/SE(第2世代)は最大13時間に対し、iPhone 11は最大17時間、iPhone 11 Proは最大18時間だ。ここは本体サイズ=内蔵バッテリーの差が大きいのだろう。

 iPhone 11シリーズと比較すると、顔認証のFace IDは搭載されず、代わりに指紋認証のTouch ID内蔵のホームボタンを搭載している。Touch IDは第2世代なので、iPhone SE(第1世代)やiPhone 6より前のモデルに比べると、より高速に認証される。

 あとはiPhone 8などと異なり、感圧タッチの3D Touchには対応しないが、ほかの非対応端末同様、ほとんどの場合、長押し操作で代用できるので、あまり困ることはないと思う。

広い層におすすめできる、お買い得感の高いiPhone SE(第2世代)

 iPhone SE(第2世代)のSIMフリー版の価格は、64GBモデルで4万4800円(税込で4万9280円)、128GBモデルで4万9800円(同5万4780円)、256GBで6万800円(同6万6880円)となっている。

 iPhone SE(第2世代)のSIMフリー版は、すでに一部の家電量販店でも売られていて、在庫があれば、非常に購入しやすい環境だ。NTTドコモ、au、ソフトバンクのユーザーにとっては、機種購入にあたって、将来の返却(下取り)を含む“下取り割引”があり、そちらもメリットがあるだろうが、この価格ならばSIMフリー版を買うのも有力な選択肢だろう。すでにMVNOに移行済みのiPhoneユーザーにとっても、これを期にMVNOに移行するという人にとっても、SIMフリー版が購入しやすいというのはありがたいポイントだ。販売方法については別記事でも扱っているので、そちらも参照いただきたい。

 これだけ安いのに、A13 Bionicなど最新スペックを搭載しているのは、やはり特筆すべきポイントだ。たとえば2019年春発売の「iPad(第7世代)」は、2016年秋登場のA10 Fusionを搭載していた。安価な分、CPUの世代から予測できる“使い続けられる期間”がおそらく短いだろうという気になる点があったが、iPhone SE(第2世代)はそう言った心配がない。

 ほかの現行モデルと比較してみると、iPhone 11は64GBで7万4800円~、iPhone 11 Proは64GBで10万6800円~なので、それに比べると、iPhone SE(第2世代)はやはり安い。

 iPhone 11とiPhone SE(第2世代)の主な違いは、「Face ID」「画面とサイズの大型化」と「デュアルカメラで超広角対応」あたり。カメラやディスプレイと言ったスマホの基本部分がiPhone 11では上位機種としての特徴だ。iPhone SE(第2世代)を選ぶか、iPhone 11を選ぶかは、この機能差に3万円を払えるか、という言い方もできる。

筆者は仕事中もドラクエウォーク起動放置してるので、使用時間はヤバいレベル

 個人的には、毎日iPhoneを数時間も使うようなヘビーユーザーであれば、この3万円を払ってiPhone 11を選ぶべきだと思う。既存のiPhoneユーザーであれば、設定アプリ内の「スクリーンタイム」を確認してみよう。もし1日1時間以上といった人であれば、3万円の価格差くらいは元が取れるだろうから、iPhone 11を検討するべきだ。

 しかしヘビーユーザーでも、超広角カメラやディスプレイに魅力を感じないのであれば、iPhone SE(第2世代)を選ぶ価値はあると思う。浮いた3万円でApple Watchなどアクセサリーを買った方が幸せになるかもしれない。

 そこまでiPhoneを使っていない、あるいは初めてiPhoneを買うというのであれば、iPhone SE(第2世代)は最適なiPhoneだ。購入しやすい価格ながら、プロセッサーは最新世代でFeliCaなどにも対応し、「〇〇ができない」とか「2年後にはOSアプデがなくなって使えない」などと困ることがない。「とりあえず生ビール」の感覚で選んで良いと思う。とくに初心者で、家族や友人にiPhoneユーザーが多い場合は、使い方やおすすめアプリの情報交換がしやすいので、iPhone SE(第2世代)はかなりおすすめだ。

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