国民に一律10万円を配る特別定額給付金の申請受け付けが、長野県内でもあすから始まる。国や自治体の緊急経済支援策に便乗した商法による金銭トラブル、特殊詐欺被害の増加が懸念される。
感染や暮らしへの不安が広がっている上に、外出自粛で在宅する人が多く、被害につながりやすいとの見方もある。被害を増やさないための対策が急務だ。
「マスクがインターネットで買える」という広告を見て注文したが不審なのでキャンセルしたい。保健所の依頼と名乗る人物が家に来て新型コロナが検査できる商品を安く売ると言われた―。
国民生活センターに集まった全国各地の相談事例だ。息子を名乗る男からの電話で「会社の上司から新型コロナで困っているので金を返してほしいと頼まれた」と言われ、現金を渡してしまったという内容もあった。
定額給付金の代理申請を委託されている団体を名乗る電話で口座番号などを聞かれた例もある。
長野県内でも、注文した覚えのない使い捨てマスクが自宅に何十枚も送られてきたという相談が4月半ば以降、警察署などに相次いでいる。後で代金を請求する送り付け商法だとすれば、不安に付け入る悪質な手口だ。
不審な物が届いた場合、2週間を過ぎて業者が引き取らなければ処分して構わない。定額給付金についても、窓口の市町村が住民に個人情報を問い合わせるようなことは一切ない。消費者庁や自治体はこうした情報をウェブサイトに掲示し注意を促している。
いきなり物が届き、勧誘の電話やメールが来れば確かに不安だ。一般の人はどう対処すればよいのか戸惑うだろう。仕組みを分かりやすく周知し、相談窓口にすぐ連絡できる態勢も工夫したい。
生計に不安を覚え、お金や物が不足して困れば警戒心も薄れがちになる。高齢者に多い特殊詐欺の被害が若い世代にも広がりかねない。状況は切迫している。
身に覚えのない品物やメールが届いても慌てない、個人情報を聞き出す電話には応じない、金を無心する電話はまず疑う。被害を防ぐための基本を確認したい。
親族間や知人同士の日常的な情報交換も大切だ。不安に付け入らせない手だてを地域や家族ぐるみで備えておきたい。
(4月30日)
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April 30, 2020 at 07:18AM
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社説 コロナ便乗商法 不安に付け入らせない - 信濃毎日新聞
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