なお、この記事ではエピソード1までの範囲を題材に、なるべく物語のネタバレをしないように内容や魅力を語っていきます。
2016年に発売された「ライフ イズ ストレンジ」はアメリカの田舎町であるオレゴン州のアルカディア・ベイを舞台に、時を戻す能力を手に入れたマックスが、疎遠になっていた親友のクロエと彼女の失踪した親友・レイチェルの行方を追うというストーリーが展開しました。
一方で「ライフ イズ ストレンジ 2」は、シアトルに住むごく普通の兄弟であるショーンとダニエルが主人公。兄のショーンが超能力に目覚めた弟ダニエルを連れ、父親の故郷であるメキシコのプエルト・ロボスまでの逃避行の旅をはじめるストーリーが展開します。
「ライフ イズ ストレンジ」と「ライフ イズ ストレンジ 2」はこまかい部分などでつながりがあるとはいえ、主人公が異なるまったく別のストーリーです。そのためどちらからプレイしても問題ないという利点はありますが、自分は「ライフ イズ ストレンジ」という作品に思い入れがあるため、マックスとクロエの物語ではない本作にはそれほど興味を持てませんでした。
せめてタイトルを変えてくれたら「ライフ イズ ストレンジ」を作ったクリエイターの新作として、なんの迷いもなくプレイできただろうな……と思っていました。
そんなモヤモヤを抱えながらプレイした「ライフ イズ ストレンジ 2」。しかし実際に体験してみると、いたるところで本作が確かに「ライフ イズ ストレンジ」であると感じることができました。ここでは、そのポイントについて語っていきましょう。
まず第1のポイントとして作り込まれた舞台があります。「ライフ イズ ストレンジ」では舞台となる学校や家、お店などに任意で調べられるポイントがたくさん用意されていましたが、それは本作でも同様。ストーリーと関係ないところを調べることによって「この家庭はこういう環境なのか」「この人物はこういう人生を歩んできたのか」というのがわかるようになっています。
調べなくてもストーリーを進めることはできますが、調べることでよりストーリーやキャラクターに深みがでてきます。ここは小説や映画では味わえないゲームならではの体験で、「ライフ イズ ストレンジ」が得意としているところでもありますね。
また、父親にハロウィンパーティのおこづかいをねだるときなどは、自動車の整備を手伝う操作をおこないながら会話を進めたりするなど、イベントシーンとゲームプレイが一体化した部分が多いのも特徴。本作はドラマ性の高いアドベンチャーゲームですが、あくまでゲームの体験として物語を楽しむことができます。
キャラクターに関しては「ライフ イズ ストレンジ」に登場した人々とはまったくの別人ですが、しっかり人物像が作り込まれていることや、リアルな人間に近くて、それぞれに感情移入できる点はまったく同じです。サブキャラクターも共感の持てる人物や本当に憎たらしい人物など、いちど会ったら忘れられない人物ばかり。
また、「ライフ イズ ストレンジ2」はエピソードごとに舞台が変わるため、次々と出会いと別れを繰り返していくような形になっているところが新鮮です。
主人公のショーンは絵の才能があり、スケッチを趣味にしているキャラクター。「ライフ イズ ストレンジ」のマックスと同じクリエイティブ系ですが、部活やバイトもしており、現代と同じような学生生活を送っている人物です。時代にマッチしているキャラクターで彼に感情移入できる人も多いのではないでしょうか。
エピソード1では弟に部屋に入られることを嫌がるなど、思春期であることがわかるシーンが多いほか、好きな女の子のSNSをチェックするなど現代的な描写も。
また、彼はメキシコ移民の家族ということで差別を受けています。前作にも社会問題が物語のなかに取り入れられていましたが、本作にもそういったシーンは随所に盛り込まれており、深いテーマを内包した作品になっていることがわかります。
「ライフ イズ ストレンジ」はマックスとクロエという親友の関係性をエモーショナルに描いたことに対し、「ライフ イズ ストレンジ 2」ではショーンとダニエルという2人の兄弟の物語になります。前作の「女の子同士の友情」というテーマに比べると、正直あまりフックがないと思われるかもしれませんが、実際にプレイすると……これがおもしろい！
本作ではとある理由からアメリカからメキシコに幼い2人だけで旅をしていくことになります。ショーンは物語の最序盤こそダニエルのことを疎ましく扱いますが、ふたりきりの旅が始まってからはしっかり彼のことを支えていきます。幼いながらも弟を気遣い、助けていく姿は胸を打ち、応援したくなります。
一方のダニエルは純粋無垢でお茶目な男の子。年相応にワガママな部分などもあるものの、それを遥かに上回る可愛さのある少年です。ショーンの気持ちになりきり、「なんとしてでもこの弟を自分が守らなければ」と思わせてくれるようになっています。
面倒をみるだけではなく、ダニエルがショーンの手助けをしてくれる場面も多々あり、温かい気持ちにさせてくれます。ちなみにゲームで移動しているとき、ダニエルはショーンの周辺で、AIで自動的に行動するようになっているそうですが、調べられるものが近くにあるときは教えてくれたりするため、ふたりでいっしょに旅をしている感覚がより強いです。
ショーンとダニエルの関係は兄弟でありながら親子のようでもありパートナーのようでもあります。ふたりの旅はすごく尊いもので、プレイしていてどんどん引き込まれていきます。
また、「ライフ イズ ストレンジ」は選択肢によって多彩に物語が変化するゲーム。こまかい選択肢が積み重ねになって結果が変わることもありますし、ひとつの大きな選択を迫られることもあります。ここは完全に前作「ライフ イズ ストレンジ」と同じものを期待してもらって良いと思います。
エピソード1の段階では大きな分岐はありませんが、こまかい分岐は多いです。とくに少ない軍資金を使って何を買うのか選ぶところは「ライフ イズ ストレンジ2」ならではの要素で新鮮でした。ちなみに、エピソードクリア後にはフレンドや世界のプレイヤーがどのような選択を選んだのか統計を見ることができ、自分の選択と照らし合わせるのが楽しいです。どの選択を選んでもゲームオーバーになることはないので、自由に選択できるのも自由度があって楽しいです。
また、「ライフ イズ ストレンジ」といえば海外ドラマのように先の読めない展開が魅力。エピソード1でも兄弟が旅に出る理由やエピソードのラストシーンなどは驚きの内容になっています。ネタバレになるため、あまり語ることはできませんが、ぜひプレイして確認してみてもらいたいと思います。前作「ライフ イズ ストレンジ」とは違うストーリーですが、同じように心に残る作品であることは間違いないです。
さて、今回はインプレッション記事をお届けしましたが、ゲーム発売後には物語のネタバレを含んだレビュー記事をお届けしたいと思います。そちらもぜひチェックしてみてくださいね。
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March 16, 2020 at 04:00PM
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