父はテレビドラマ化された著作もある有名作家
出版関係者が証言する。
「実は、逮捕された男は小説家の笹沢左保さん(02年没)の息子なんです」
笹沢左保は、テレビドラマ化もされて大ヒットした「木枯し紋次郎」シリーズをはじめ、推理、時代、風俗小説を幅広く執筆。刊行した単行本は377冊を数え、その多作ぶりも有名な作家だ。
「でも、息子の知夫は文学の道へは進みませんでした。彼は、進学校として有名な都内の私立高校から明治大学に進学し、卒業後の1991年に税理士試験に合格。事務所を開いた翌年の93年には、結婚した奥さんとの間に娘さんが産まれ、幸せな家庭を築いているように見えました」(同前)
自宅や実家を担保に借金を繰り返し…
その後、笹沢は97年に会計事務所とは別の医療コンサル会社を学生時代の友人らと設立し、新たな事業に手を伸ばしていく。
知人が言う。
「彼が始めたのは、診療科目や症状に合わせて日本全国15万件以上の医療機関が検索できる情報サイトでした。ネット黎明期の当時としては画期的なアイディアで、会社の経営も上手くまわっていたようです」
だが、19年頃から笹沢は、東京都小平市の自宅マンションや父・左保が残した実家を担保に各所から借金を繰り返すようになる。
「それでも新型コロナの影響で、サイトの訪問者が増え、広告収入が大幅にアップ。21年の売上高は4億円を超え、調子に乗って翌22年3月に新たな不動産コンサル会社を立ち上げたのです」(同前)
しかし、再び資金繰りが悪化したのだろうか。この頃から笹沢は弁護士相手に虚偽のメールを送るようになり、昨年7月には自宅マンションを売却。逮捕時には、父の残した築50年を超える実家で暮らしていたようだ。実家のインターホンを鳴らすと、笹沢の妻が対応した。
――特捜部に逮捕された件に心当たりは?
「まったくないです。私は何も知らないので」
――お金に困っていた?
「いや、それも全然分からない。とにかく何も分かりません。ごめんなさい」
息子の逮捕を、泉下の父はどう思っているのか。
「あっしには関わりのねえことでござんす」
紋次郎の決め台詞が虚しく響くばかりである。
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