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S2000のF20Cエンジンをターボ化して換装!
進化をやめない究極のエボリューション・ハチロク
アメリカの西海岸エリアで色々なJDMチューニングマシンをリサーチしていると、良く話に出てくるクルマがある。「アレは凄い」、「カーショーで見かけて目を奪われた」等々、とにかく多くの人が熱視線を送る1台、それが今回紹介するスティーブのAE86だ。
スティーブは根っからの日本車好きで、昔から日本車ばかり乗り継いできたJDMガイ。『頭文字D』の影響を受けてAE86を購入してからは、日本のチューニングカー雑誌を読んでパーツを調べ上げ、日本人の奥さんに協力してもらってパーツを購入しながら仕上げていったそう。
エアロパーツを纏い、若干ワイド化されたフェンダーにボルクレーシングTE37V(F15×9.0J-15 R15×9.5J-25)を収めたその外観はまさにJDM流儀で、我々日本人にも馴染みがあるスタイルだ。
しかしここがポイントで、アメリカ人にとってこの「日本臭さ」を出すのは意図して行うカスタム要素でもあり、実はアメリカで売られたAE86はリトラクタブルライトのトレノ顔しか存在せず、この固定ライトのレビン顔は、しっかりと「JDM仕様」へとカスタムされていることの証なのだ。
その他、カーボンフードおよびフェンダーはD-MAX、リアスポイラーはTRDと、外装はJDMパーツの使用率が高い。美しさへの追求はシャシー部分にも及んでおり、何とデフケースにもペイントを入れているほどなのだ。
そしてボンネットを開けると、そこにこのAE86の神髄が秘められている。エンジンルームに鎮座するのは、S2000用ユニットのF20C。しかもHKSのGT3037タービンをセットした過給機仕様で、実測で400psを発生させるパフォーマンスを実現している。
パワーと同時に美しさもハイレベルなエンジンで、メタルパーツは全て美しくポリッシュ。「Rywire」製ハーネスキットでワイヤーを纏め、エンジンの造形を際立たせるファブリケーションを行っている。
余分な配線を隠す「ワイヤータック」を施しているのはもちろん、余分な物を省いた時に出来た穴を全てスムージングする「シェイブドベイ」と呼ばれる作業も行い、「目を奪われる」究極のエンジンルームを作り上げた。
サスペンションはグレッディ・タイプS車高調を軸に構築。ナギサオートのシャキットプレートや植尾スタイルのコントロールアーム、クスコのテンションロッドなどを組み込んで旋回性能を高めている。
ブリッドシートにタカタハーネスという、JDM好きには定番のアイテムを組み合わせたインテリア。ミッションはS2000の6速をそのまま移植。シフト出口の位置周辺は綺麗に作り直されている。
ECUはハルテックで、それに合わせてメーターもハルテックのクラスタータイプに交換。追加メーターにはAEMなどUSパーツも使用している。
ダッシュボードや内装パネルはスエード生地で張り替えられ、上質な雰囲気を演出している。オーディオもフルカスタム仕様だ。
こうして個性的に仕上がったAE86は、カーショーに出せば必ずアワードをゲットする有名車となり、瞬く間に30個近くのトロフィーを獲得。しかしスティーブにとっては、ここまで仕上げてもまだ完成ではなく、今後も仕様変更をプランニング中だという。この進化を止めない姿勢もまた、このクルマが人々を惹きつける一因なのだろう。
Photo:Akio HIRANO TEXT:Takayoshi SUZUKI
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