米国ワシントンD.C.にある連邦議会議事堂の西側正面(キャピトル・グラウンド)には、毎年“みんなの木”と呼ばれるクリスマスツリーが飾られる。ニューヨークのマンハッタンにあるロックフェラーセンターのツリーは1933年からの名物で、サウスダコタ州ピアのツリーは屋内展示されるものとしては米国最大級だ。毎年、米国や世界中の人々が、ホリデーシーズンを祝うために飾り付けるこうした巨木は、いったいどのようにして選ばれるのだろうか。(参考記事:「クリスマスツリーはいつ、どこで生まれたのか?」)
ツリーの由来と選定基準
みんなの木のはじまりは1964年のこと。マサチューセッツ州選出の上院議員ジョン・マコーマック氏が、議事堂西側の芝生の公園に高さ7.3メートルのベイマツ(ダグラスファー)の木を植え、飾りつけを行った。しかし、風と根の損傷により、この木は3年で枯れてしまった。
1970年には、みんなの木がはじめて国有林から選ばれた。場所は2023年と同じく、混交林といくつかの小さな町を含む約3700平方キロメートル(ほぼ奈良県の面積に相当)のウェストバージニア州のモノンガヒラ国有林で、木も同じオウシュウトウヒだった。
今、この「キャピトル・クリスマスツリー(キャピトルは連邦議会議事堂の意)」を選ぶという大役を務めるのが、ジム・カウフマン氏だ。「議事堂建築監」と呼ばれる連邦職員で、キャピトル・グラウンドの責任者である同氏が今年選んだのは、高さ19.2メートルのオウシュウトウヒだ。
「大仕事ですよ」とカウフマン氏は言う。「1年以上にわたって、(モノンガヒラの担当者と)話してきました」
しかし、キャピトル・クリスマスツリーは必ずモノンガヒラから選ばれるというわけではない。候補になるのは、国中の国有林だ。
カウフマン氏のチームは、国有林の中から、ツリーに適した種が育つ場所や過去の候補地などを踏まえて検討している。
一般の家庭でツリーを選ぶ際と同じように、公共の場で展示するツリーも、高さ、形、種、枝がいっぱいついているかといった基準で検討する。ただし、連邦議会議事堂やロックフェラーセンター、サウスダコタ州ピアのような場所に飾られるツリーの選定には、巨木ならではの特有の条件もある。輸送に使う大型トラックが近づけて、伐採しても生育環境に最低限の影響しか与えてはならない。(参考記事:「NYの巨大クリスマスツリーに隠れていたフクロウ、森へ帰る」)
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からの記事と詳細 ( 有名なクリスマスツリーは木を選ぶのも大変、米議事堂ほか - ナショナル ジオグラフィック日本版 )
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