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Sunday, June 25, 2023

濃密な高校時代は一生の宝物千春明夏の女流棋士ここだけの話 - 読売新聞オンライン

 今回は私の高校時代の話をしたいと思います。
 私はもともと中高一貫の中学校に通っていましたが、土曜日にも授業があり、院生の対局ともかぶってしまうため、高校ではスポーツの強豪校としても知られる女子校に進学しました。

 私が入ったのは、運動やそれぞれの特技を支援してくれるクラス。バスケやテニス、陸上といった全国レベルの運動部の他に、有名なアイドルグループの研究生や劇団員などなど、ホントに個性豊かなメンバーが集まっていました。

 何か一つのことに打ち込んでいるだけあって、みんなとにかくエネルギッシュ。よく食べて、よく寝て、めちゃくちゃ明るいクラスでした。特に運動部の友達は、学校に着いたら、まず朝ごはんのパンを食べて、2限目くらいになると食堂に食べ物を買いに行って食べ、昼休みにはお弁当……と、常にご飯を食べていました笑。私もまねして、一緒に早弁していましたけど、ホントに楽しかったなぁ。

 全国レベルの部活で活躍する友達は、朝練、昼のミーティング、放課後の練習などで忙しく、見かねて授業中に仮眠時間をくれる先生もいたりしましたが、勉強もよくできる人が多かったです。やっぱり集中力がすごいのか、それとも“地頭”がいいのか……。少なくとも運動部の監督が担当する授業の時は、みんなまばたきもしないぐらいの緊張感で、授業を受けていました(笑)。

 記録係などで休む日も多かった私は、定期テストの前には、過去問をもらったり、苦手な教科をつきっきりで教えてもらったり、まさにおんぶに抱っこで彼女たちにお世話になっていました。あっ、ただし、スポーツについては例外。体育の授業はもちろん超ハイレベルで、バスケットボールの試合をした時なんかは、右へ左へボールが行ったり来たりするのを、ただひたすら追いかけるので精いっぱい。最後は呆然と立ち尽くして見ていました。

 そんな楽しいクラスでしたが、その道でトップを目指す人の集まりだったので、それぞれがいろんな葛藤を抱えながらの3年間でもありました。試合でうまくいかなくて一軍のメンバーから外されたり、どんなに練習してもなかなかタイムや記録が伸びなかったり……。部活で怒られて、悔し涙を流しながら授業を受けていた友達もいました。

 もちろん私も同じで、院生で結果が出ず、なかなかプロになれなくて、何度もくじけそうになりました。でも、周りのみんなが自分のことで精いっぱいのはずなのに、「明夏ならやれる、頑張れ!」とすごく前向きに励ましてくれたので、自分も頑張ろう、と思えました。高校3年の時に結果を出せたのも、みんなのおかげ。正直、あのクラスにいなかったらプロになるのを諦めてたんじゃないかなと思います。

 卒業後は、実業団チームに入ったり、プロを目指していたり、自衛隊に入隊したりと、それぞれの道を歩むことになり、直接、話をする機会は減りましたが、SNSでいまの活躍を見たり、近況報告をしたりするたびに元気とやる気をもらっています。個性的な仲間や熱く優しい先生方に恵まれた、濃密な高校時代は一生の宝物。私もみんなに元気を届けられるように精いっぱい頑張ります!

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