作業完了を記念して。見違えるほどにきれいになった松ケ浦駅(筆者撮影)
「みなさん、作業お疲れ様でした。でも、今日が最初の一歩です」――。
鹿児島県内の小さな駅で、ある男性がその日の活動をこう締めくくった。
この日、行われたのは駅の「草刈り」。単なる日常作業のように聞こえるが、今回の草刈りは規模も目的も少し異なっていた。
指宿枕崎線の厳しい現実
JR九州指宿枕崎線は始発駅となる鹿児島中央を出発すると一路南下し、車窓に錦江湾越しの桜島を映しつつ、温泉と「砂むし」で有名な指宿を目指す。その後、JR最南端駅として知られる西大山、稜線の美しさから「薩摩富士」と呼ばれる開聞岳といった見どころを経て、枕崎に至る全長87.8kmのローカル線だ。
最南端という点では沖縄を走るモノレール「ゆいレール」があるが、いわゆる鉄のレールを走る鉄道としては最南端の鉄道路線でもある。温暖な気候から1月には菜の花が咲き、沿線の緑もパワフルで、南国情緒あふれる光景が広がる。
魅力も多い同路線だが旅客輸送量に注目すると厳しい現実が見えてくる。鹿児島中央―指宿間には観光客に人気の観光列車「指宿のたまて箱」号が毎日3往復運行されているが、それでも2020年度の営業損失は2.4億円、1日あたりの利用者数は1661人(喜入―指宿間)にすぎない。その先の指宿―枕崎間はさらに深刻で、同年度の営業損益は5.2億円、1日あたりの利用者数は255人と、現在列車運行が行われているJR九州の路線でもワースト3に入る。具体的に「廃線」という単語が聞こえているわけではないが、このまま静観していても明るい将来を迎えるのは難しい。
からの記事と詳細 ( JRも協力、鉄道写真「草刈りプロジェクト」舞台裏 | 旅・趣味 - 東洋経済オンライン )
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